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AIサマリー
AIカスタマーサポート市場を牽引する注目企業5社(Sierra AI、Intercom、Ada、Forethought、Kustomer)の戦略・プロダクト・創業者を徹底比較。評価額100億ドルのSierraから21ヶ月で1億ドルARR達成まで、業界の最前線を解説します。
AIカスタマーサポート市場は、生成AIとエージェントAIの急速な進化により、かつてないほどの変革期を迎えています。従来の「チャットボット」は顧客を苛立たせるだけの存在でしたが、2024年以降のAIエージェントは質問に答えるだけでなく、返品処理、サブスクリプション管理、トラブルシューティングといった実際のアクションを自律的に実行できるようになりました。
Deloitteの予測によると、2025年には生成AIを使用する企業の25%がエージェントAIのパイロットを開始し、2027年にはその割合が50%に達するとされています。
本記事では、この急成長市場をリードする5社の戦略、プロダクト、創業者、そして成長指標を徹底的に比較・分析します。
AIカスタマーサポート全体像
AIカスタマーサポート5社概要| 企業名 | 設立年 | 本社 | 評価額/時価総額 | 主力プロダクト |
|---|---|---|---|---|
| Sierra AI | 2023年 | サンフランシスコ | $10B | 会話型AIエージェント |
| Intercom | 2011年 | サンフランシスコ | $1.28B | Fin AIエージェント |
| Ada | 2016年 | トロント | $1.2B | Ada AIエージェント |
| Forethought | 2017年 | サンフランシスコ | 非公開 | Solve・Triage・Assist |
| Kustomer | 2015年 | ニューヨーク | $250M* | AI-Native CRM |
*2023年Meta スピンオフ時の評価額
AIカスタマーサービス市場は、2024年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)約25%で成長すると予測されています。この急成長の背景には以下の要因があります:
従来 vs AI活用の比較2024年以降、カスタマーサポートAIは「質問に答えるチャットボット」から「アクションを実行するAIエージェント」へと進化しました:
Sierra AIは、企業向けにカスタマイズされた会話型AIエージェントを提供するプラットフォームです。従来のチャットボットとは異なり、単なる質問回答だけでなく、返品処理、サブスクリプション更新、注文管理といった実際のアクションを自律的に実行できます。
主要機能:
競合との差別化:
| 比較軸 | Sierra | Zendesk | Intercom Fin |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 自律型AIエージェント | エージェント支援 | Q&A・問い合わせ削減 |
| アクション実行 | ◎ 高度 | △ 限定的 | ○ 中程度 |
| カスタマイズ | ◎ ハイタッチ | ○ テンプレート | ○ テンプレート |
| ターゲット | 大企業・消費者ブランド | 全規模 | SaaS・テック企業 |
Bret Taylor(CEO)
Bret Taylorは、シリコンバレーで最も華麗な経歴を持つ起業家の一人です。
Clay Bavor(共同創業者)
Sierra AIの創業者については以下の記事で詳しく解説しています Sierra AI創業者分析:Bret TaylorとClay Bavorがなぜ「最強コンビ」なのか
| ラウンド | 日付 | 調達額 | 評価額 | 主要投資家 |
|---|---|---|---|---|
| Seed | 2024年2月 | $110M | $1B | Sequoia Capital、Benchmark |
| Series A | 2024年10月 | $175M | $4.5B | Greenoaks Capital |
| Series B | 2025年9月 | $350M | $10B | Greenoaks Capital |
| 追加 | 2025年12月 | 非公開 | - | SoftBank Vision Fund 2 |
総調達額:$635M(約950億円)
2025年12月にはSoftBank Vision Fund 2からの投資を受け、日本市場への進出を発表しました。
WeightWatchers、SiriusXM、Sonos、ADT、SoFi、Ramp、Brex、Casper、AG1
WeightWatchers導入事例:
創業者の言葉 「すべての企業が独自のAIエージェントを持ちたいと思うようになり、ウェブサイトやモバイルアプリを構築するのと同じくらいの注意と労力をAIエージェントに注ぐようになるでしょう。」— Bret Taylor, CEO
Intercomは、2011年に「インアプリチャットバブル」のパイオニアとして創業し、現在はAIファーストのカスタマーサービスプラットフォームへと進化しています。
主力製品:Fin AIエージェント
| バージョン | リリース | 特徴 |
|---|---|---|
| Fin 1 | 2023年 | OpenAI GPT搭載、基本的なQ&A |
| Fin 2 | 2024年10月 | Anthropic Claude搭載、51%→66%解決率、99.9%精度 |
| Fin 3 | 2025年10月 | Procedures機能、Simulations、複雑なクエリの完全解決 |
マルチモーダル機能(2025年3月追加):
競合との差別化:
Eoghan McCabe(CEO)
Des Traynor(CSO・共同創業者)
創業のきっかけ: ダブリンのコーヒーショップで、店主が顧客の好みを覚えて個人的なつながりを築いている様子を観察。「オンラインビジネスにも同様の体験を提供したい」という想いからIntercomが生まれました。
Intercomの詳細分析については以下の記事をご覧ください Intercom深掘り:なぜ「$250M/年」のAI賭けが成功しているのか
| ラウンド | 日付 | 調達額 | 主要投資家 |
|---|---|---|---|
| Seed | 2011-2012年 | $1M | 500 Global、David Sacks |
| Series D | 2018年3月 | $125M | Kleiner Perkins、Google Ventures |
| (累計) | - | $242M | - |
評価額:$1.28B(2018年3月〜)
創業者の言葉 「オンラインのカスタマーサービスの基準は最悪だ。もしコーヒーショップで質問をして『水曜日にお返事します』と言われたら想像できるだろうか。それが今のカスタマーサービスの標準なのだ。」— Eoghan McCabe, CEO
Adaは、カナダ・トロント発のAIカスタマーサービス自動化プラットフォームです。ノーコードでAIチャットボットを展開でき、50以上の言語をネイティブサポートしています。
主要機能:
競合との差別化:
Mike Murchison(CEO)
David Hariri(共同創業者・R&D責任者)
Adaの創業ストーリーについては以下の記事で詳しく解説しています Ada創業者分析:なぜ「顧客対応の30%が反復的」という発見がユニコーンを生んだのか
| ラウンド | 日付 | 調達額 | 主要投資家 |
|---|---|---|---|
| Seed | 2017年7月 | $2.5M | Version One Ventures、Bessemer |
| Series A | 2018年12月 | $19M | FirstMark Capital |
| Series C | 2021年5月 | $130M | Spark Capital、Tiger Global |
| (累計) | - | $200M | - |
評価額:$1.2B(2021年5月、ユニコーン達成)
Meta、Square、Verizon、Canva、YETI、Monday.com、Shopify、Mailchimp、Afterpay
創業者の言葉 「なぜ企業は大きくなるほど顧客との会話が減るのか?AIをカスタマーサービスチームの手に渡し、より多くの顧客を助けられるようにすれば、カスタマーサービスの未来を変えることができる。」— Mike Murchison, CEO
Forethoughtは、2018年のTechCrunch Disrupt Startup Battlefieldで優勝し、一躍注目を集めたAIカスタマーサポート企業です。
主要製品スイート:
| 製品 | 機能 |
|---|---|
| Solve | オムニチャネルAIエージェント(チャット、メール、音声、SMS) |
| Triage | スマートチケット分類・ルーティング |
| Assist | エージェント向けAIコパイロット(Chrome拡張機能) |
| Discover | AIによるインサイト・分析 |
| Voice | 音声AIエージェント(2025年3月ローンチ、Cartesia社と提携) |
| Browser Agent | ブラウザ操作AIエージェント(2025年10月ローンチ) |
コア技術:Autoflows エージェントAI推論エンジン。複雑なビジネスポリシーを理解し、意思決定ツリーなしで問題を解決。解決率70-80%(RAGベースソリューションの10-20%に対して)。
Deon Nicholas(共同創業者・プレジデント)
Sami Ghoche(CEO・共同創業者)
Forethoughtの詳細分析については以下の記事をご覧ください Forethought深掘り:TechCrunch Disrupt優勝から7年、エージェントAIの最前線
| ラウンド | 日付 | 調達額 | 主要投資家 |
|---|---|---|---|
| Series A | 2018年12月 | $9M | NEA、K9 Ventures |
| Series C | 2021年12月 | $65M | Steadfast Financial |
| Series D | 2025年5月 | $25M | Blue Cloud Ventures、NEA |
| (累計) | - | $117M+ | - |
Upwork、Grammarly、Airtable、Datadog、WordPress、Cohere
Upwork導入事例:
創業者の言葉 「素晴らしいテクノロジーは目に見えないものであるべきだと信じています。バックグラウンドで動作して生活を楽にし、人々が本当に重要な仕事により多くの時間を費やせるようにすべきです。」— Deon Nicholas, プレジデント
Kustomerは、「顧客中心」のAI駆動型カスタマーサービスCRMプラットフォームです。Zendesk(チケット中心)やIntercom(会話中心)とは異なり、全インタラクションを単一タイムラインで管理するアプローチが特徴です。
主要機能:
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 360度カスタマービュー | チャット、メール、SMS、WhatsApp、購入履歴を単一タイムラインで表示 |
| AI Agents for Customers | 問い合わせの最大40%を自動解決 |
| AI Agents for Reps | エージェントの生産性を30%以上向上させるコパイロット |
| Kustomer AI Voice | サードパーティ統合不要のネイティブAI音声チャネル |
革新的な価格モデル: シートベースではなく会話ベース課金(無制限シート)を導入。AI解決でもエージェント解決でも同一料金。
Brad Birnbaum(CEO)& Jeremy Suriel(CTO)
25年以上にわたるパートナーシップで、複数のカスタマーサービス企業を成功に導いたシリアルアントレプレナーコンビ。
共通の経歴:
創業のきっかけ: Salesforce在籍中、企業と顧客の間に広がる断絶に気づく。カスタマーサービスプラットフォームが人々を「チケット」として扱い、ツールは断片化し、テクノロジーは顧客の期待に追いついていなかった。
Kustomerの詳細分析については以下の記事をご覧ください Kustomer深掘り:Meta買収→$250Mスピンオフからの復活劇
Meta買収とスピンオフの経緯:
| 時期 | イベント |
|---|---|
| 2020年11月 | Meta(当時Facebook)が$1Bで買収発表 |
| 2022年2月 | FTC、英国、EU規制審査を経て買収完了 |
| 2023年 | Metaの「効率化の年」でスピンオフ、評価額$250M |
| 2025年8月 | Norwest主導で$30M Series B調達 |
総調達額:$264M
Ring、Glovo、Glossier、Sweetgreen、Away、Rent the Runway、UNTUCKit、Everlane
Yummy導入事例:
創業者の言葉 「世界は革命を経験している。人間がサポートを提供することから、人間と機械の組み合わせへと移行している。AIエージェントが問い合わせの処理と振り分けにおいて驚くべきことを実現しているのを目の当たりにしている。」— Brad Birnbaum, CEO
| 企業 | 最適なユースケース | 価格帯 | 導入難易度 |
|---|---|---|---|
| Sierra AI | 大企業・消費者ブランド、フルカスタマイズ希望 | ハイエンド | 高(ハイタッチ) |
| Intercom | SaaS・テック企業、プロダクト主導型成長 | 中〜高 | 中 |
| Ada | 多言語対応、ノーコード希望、eコマース | 中 | 低 |
| Forethought | Zendesk/Salesforce既存ユーザー、チケット分類重視 | 中 | 中 |
| Kustomer | 顧客中心CRM、オムニチャネル、会話ベース課金希望 | 中 | 中 |
AIカスタマーサポートの導入フローSierra AIのSoftBank Vision Fund 2からの投資と日本進出は、日本のカスタマーサポート市場にも大きな変化をもたらす可能性があります。日本語の複雑な敬語表現やニュアンスへの対応が鍵となるでしょう。
A1: 企業規模により最適な選択肢が異なります。
A2: 全5社とも日本語対応していますが、対応レベルは異なります。
A3: Forethoughtが最も深い統合を提供しています。Zendesk、Salesforce Service Cloud、Kustomer、Jira、ServiceNowと連携可能です。
AIカスタマーサポート市場は、「チャットボットが顧客を苛立たせる」時代から、「AIエージェントが顧客体験を向上させる」時代へと確実に移行しています。
本記事で紹介した5社は、それぞれ異なるアプローチでこの変革をリードしています:
導入を検討する際は、自社の規模、既存システム、求める自動化レベル、予算を考慮して最適な選択をすることをお勧めします。
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