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ホーム/スタートアップ分析/Ada徹底解説:評価額12億ドル、ノーコードAIエージェントの先駆者を完全分析

Ada徹底解説:評価額12億ドル、ノーコードAIエージェントの先駆者を完全分析

54分で読める|2026/01/18|
AIカスタマーサポートノーコードスタートアップAda

AIサマリー

評価額12億ドルに到達したAdaの全貌を徹底解説。脳損傷から復活した創業者、最後の9ヶ月に賭けたピボット、パンデミック危機からのV字回復。55億以上の会話を自動化した革新と、Trustpilot 2.0の厳しい現実に迫ります。

Ada徹底解説:評価額12億ドル、ノーコードAIエージェントの先駆者を完全分析

2007年、トロント大学1年生のMike Murchisonは緊急治療室で目を覚ましました。

頭頂葉の重度出血。医師の診断は厳しいものでした。「短期記憶の欠損」「認知機能の制限」「生涯にわたる障害の可能性」——19歳の彼の人生は、一瞬で崩壊しかけました。

しかし12ヶ月後、世界トップクラスの神経学者と共に闘い抜いた彼は、大学に復学します。そして偶然聴講した一つの講義が、彼の人生を変えました。

Geoffrey Hinton教授——2024年にノーベル物理学賞を受賞する「深層学習の父」の授業でした。

さらに8年後の2025年。彼が創業したAdaは、55億以上の会話を自動化し、トップ顧客では80%以上の問い合わせを自動解決。評価額は12億ドル(約1,800億円) に到達します。

本記事は、脳損傷から復活した創業者Mike Murchisonと、彼が作り上げたAdaの物語です。

本記事の表記について

  • 金額の日本円換算は1ドル=150円で計算しています
  • 下線付きの用語にカーソルを合わせると解説が表示されます

この記事でわかること

  1. 創業者の物語: 脳損傷からの復活、Geoffrey Hintonとの出会い、Volleyピボットの全貌
  2. 技術的差別化: ノーコードでAIカスタマーサービスを実現する仕組み
  3. パンデミック危機からのV字回復: レイオフから記録的成長への転換
  4. 批判と現実: Trustpilot 2.0/5.0評価と「Endless Loop」問題
  5. 実績と導入事例: Loop Earplugs ROI 357%、55億会話を自動化した方法

基本情報

項目内容
会社名Ada Support Inc.
設立年2016年
本社トロント、カナダ
従業員数約454-558名
評価額$1.2B(約1,800億円、2021年5月)
総調達額$200M(約300億円)
自動化会話数55億以上

※日本円換算は1ドル=150円で計算

Adaの全体像Adaの全体像

なぜこのような「AIカスタマーサービス革命」が生まれたのか? その答えは、創業者の壮絶な経験にあります。


Mike Murchison:「壊れた脳」から生まれた問い

外傷性脳損傷——19歳で人生が止まった日

Mike Murchisonがプログラミングやビジネスに出会う前、彼は別の戦いをしていました。

2007年、トロント大学1年生だったMikeは、外傷性脳損傷(Traumatic Brain Injury) を負いました。頭頂葉が重度に出血し、緊急治療室で目を覚ましました。

医師からの診断は絶望的でした:

  • 短期記憶の欠損
  • 認知機能の制限
  • 生涯にわたる障害の可能性

大学を休学し、その後12ヶ月間、病院と自宅を往復する日々が続きました。世界トップクラスの神経学者、神経心理学者と共に、長く、苛立たしい回復期間を過ごしました。

"When faced with a broken mind, he grew intimately aware of his own cognition and how one can build, shape and form new intelligence."

「壊れた脳と向き合ったとき、彼は自分自身の認知を深く理解し、人間がどのように知性を構築し、形作り、形成するかを知りました」

— Bessemer Venture Partners

この経験が、Mikeを人間の認知という分野に深く興味を持たせました。そして、後のAdaのビジョンに繋がります。

Geoffrey Hintonの講義——「潜り込んだ」運命の授業

回復後、Mikeはトロント大学に復学し、認知科学、心理学、HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション) を専攻しました。

そこで彼は、運命的な授業を「潜り込んで(crash)」聴講します。

Geoffrey Hinton教授——2024年にノーベル物理学賞を受賞した、深層学習の父と呼ばれる人物の講義でした。

"I was very lucky to be able to crash his courses."

「彼の講義に潜り込めたのは、とても幸運でした」

— Mike Murchison

Mike自身が学生に向けて語ったアドバイスは印象的です:

"U of T gives you an incredible level of access to world-renowned research that's at your fingertips."

「トロント大学は、世界的に有名な研究への信じられないレベルのアクセスを与えてくれます。それはあなたの指先にあるのです」

脳損傷で「人間の認知」を身をもって学び、深層学習の父から「AIの認知」を学ぶ。この2つの経験が、「AIで人間の会話を拡張する」というAdaのビジョンの原点になりました。

Volleyの栄光と破綻——最後の9ヶ月に賭けた決断

Mike MurchisonとDavid Haririは、Adaの前にVolley Industriesというソーシャルネットワークを創業していました。

Volleyは「テック業界のクリエイターを繋ぐ」プラットフォームで、7,000人以上の創業者と開発者のグローバルコミュニティを育てました。$500,000以上の資金を調達し、順調に成長していました。

しかし、ある日を境に状況は一変します。

"Volley struggled to scale due to the high number of customer service inquiries."

「Volleyは、大量のカスタマーサービス問い合わせのためにスケールできませんでした」

顧客からの問い合わせが、制御不能なほど急増したのです。

  • サポートチームを増員しても追いつかない
  • 人件費が膨らむ
  • 顧客満足度は下がる一方

Volleyは破綻寸前に追い込まれました。

2015年末、MikeとDavidは難しい決断を下します。

"The founders almost shut down Volley, and then bet their last 9 months of runway into pivoting into what became Ada."

「創業者たちはVolleyをほぼ閉鎖しかけましたが、その後、最後の9ヶ月の滑走路を、後にAdaとなるものへのピボットに賭けました」

これは素早い転換ではありませんでした:

"It wasn't a quick shift from Volley to Ada Support but instead a tedious, risky, hands-on effort to bounce back from an idea that couldn't scale."

「VolleyからAda Supportへの転換は素早いものではなく、スケールできないアイデアから立ち直るための、退屈で、リスクの高い、実践的な努力でした」

残りわずか9ヶ月の資金。失敗すれば、すべてが終わる。その状況で、彼らは「カスタマーサービスの自動化」に賭けました。

7社で同時にカスタマーサービス担当として働いた1年間

答えを見つけるため、MikeとDavidは異常な行動に出ます。

7つの異なる企業で、カスタマーサービス担当として1年間働いたのです。

"The duo spent a year conducting field research by working as customer service agents for seven different companies, holding off on developing a solution until they fully understood the challenges of working in customer service."

「二人は1年間、7つの異なる企業でカスタマーサービス担当として働き、フィールド調査を実施しました。カスタマーサービスで働くことの課題を完全に理解するまで、ソリューション開発を保留したのです」

トロント東端の薄汚いオフィスから、7社のカスタマーサービスチームにリモートで参加。1通話ごとに報酬を得る形で働き、数万件の顧客電話に対応しました。

そして、午前3時。

"They were waking up at three in the morning to answer yet another, 'How do I reset my password inquiry?'"

「彼らは午前3時に起きて、また別の『パスワードをリセットするにはどうすればいいですか?』という問い合わせに答えていました」

この経験から、彼らは重要な発見をします。

問い合わせの30%以上が、反復的で単調なものだった。

「パスワードのリセット方法は?」「注文状況を確認したい」「返品手続きを知りたい」——これらはAIで自動化できるはずだ。

さらに、同僚のオペレーターの離職率の高さにも気づきました:

"Half their colleagues, at least in some cases, 80% of their colleagues, would leave in the next 12 months - the attrition rates in customer service continue to be that high."

「同僚の半分、場合によっては80%が、今後12ヶ月以内に辞めていく。カスタマーサービスの離職率は、それほど高いのです」

そしてこの経験から、Mike Murchisonは一つの疑問を抱きます。

"David and I started Ada in 2016 with a simple question: why do companies talk to their customers less as they grow?"

「デビッドと私は2016年にシンプルな疑問からAdaを始めました。なぜ企業は大きくなるほど顧客との会話が減るのか?」

— Mike Murchison, CEO

Adaの原点は、この発見にありました。

「秘密裏に」AIを人間のふりさせてテストした日

1年間、7社でカスタマーサービス担当として働いた後、MikeとDavidは秘密裏にAdaの初期プロトタイプをテストしました。

"Murchison and Hariri 'secretly' tested the first version of Ada software. The result was so successful that 'neither managers nor colleagues objected, and customers didn't notice the difference between AI and manual responses.'"

「マーチソンとハリリは、Adaソフトウェアの初版を『秘密裏に』テストしました。その結果は非常に成功し、『マネージャーも同僚も異議を唱えず、顧客もAIと手作業の応答の違いに気づきませんでした』」

マネージャーも、同僚も、顧客も、誰もAIだと気づかなかったのです。

このテストが、彼らに「これはいける」という確信を与えました。

なぜ「ノーコード」にこだわったのか? その答えは、この現場経験から生まれた思想にあります。


「ノーコード」への執着——エンジニアなしで導入できる理由

プログラミング知識不要という革新

Adaの最大の特徴は、エンジニアリングサポートなしでAIチャットボットを展開できることです。

なぜこれが重要なのか?

Mike Murchisonが7社で働いた経験から、彼は一つの真実を知っていました。カスタマーサービスチームには、エンジニアがいない。

多くのAIツールは、導入にエンジニアリングリソースを必要とします。しかし、サポートチームがAIを使いたいと思っても、IT部門のリソースは他のプロジェクトで埋まっている。結果、導入は後回しにされる。

Adaは、この問題を解決しました。

ドラッグ&ドロップで会話フローを設計し、数週間で本番運用を開始できる。プログラミング知識は一切不要です。

Ada Reasoning Engine——推論エンジンの仕組み

機能説明
Ada Reasoning Engine推論エンジンによるAIエージェント
50+言語対応翻訳レイヤーではなくネイティブ理解
マルチチャネルチャット、メール、電話、音声
Coaching機能AIの継続的な改善(自動学習)
Scorecardsパフォーマンス評価(解決率・応答時間などを可視化)

50以上の言語をネイティブに理解する

多くの多言語チャットボットは、ユーザーの入力を英語に翻訳し、英語で処理してから、元の言語に再翻訳します。

Adaは違います。各言語をネイティブに理解します。

これは、グローバル企業にとって大きな差別化ポイントです。日本語の微妙なニュアンス、敬語と丁寧語の使い分け——翻訳レイヤーでは失われる情報を、Adaは保持できます。

統合先

  • CRM(顧客管理システム): Zendesk、Salesforce
  • Eコマース: Shopify
  • コミュニケーション: Slack
  • コンプライアンス: HIPAA、SOC2、GDPR対応

ここまでがAdaの技術的な強みです。しかし、2020年、Adaは存亡の危機に立たされます。


パンデミック危機——レイオフから記録的成長へのV字回復

2020年初頭:暗雲

2020年、COVID-19パンデミックが始まったとき、Adaはレイオフを実施しました。

不確実な市場環境で、企業はソフトウェア投資を控えると予想されていました。特に、新しいAI自動化ツールのような「新しい技術」への投資は後回しにされるだろうと。

転機——Zoomの爆発的成長

しかし、状況は一変します。

"During the COVID-19 pandemic, when digital emerged as the primary means of communication, Ada helped companies like Zoom, Shopify, Upwork and AirAsia scale customer service with an automation-first strategy."

「COVID-19パンデミック中、デジタルが主要なコミュニケーション手段として浮上したとき、Adaは、Zoom、Shopify、Upwork、AirAsiaなどの企業が自動化ファーストの戦略でカスタマーサービスをスケールするのを支援しました」

Zoomの月間アクティブユーザーは、2019年12月の1,000万人から、2020年4月には3億人に急増しました。

このZoomを含む顧客企業の爆発的成長が、Adaへの需要を急増させました。

記録的成長:前年比5倍

"The five-year-old startup powered 1.5 billion customer interactions over the past year, more than five times its total from the year prior."

「この5年目のスタートアップは、過去1年間で15億の顧客インタラクションを支援しました。これは前年の総数の5倍以上です」

  • 会話数: 前年比5倍以上
  • 売上: 3桁成長
  • チーム規模: 2倍以上に拡大

レイオフから記録的成長へ

"Ada went from layoffs into record growth in Q2 2020 as companies figured out how to buy automation software in the remote work environment."

「Adaは、企業がリモートワーク環境で自動化ソフトウェアを購入する方法を見つけ出したため、2020年第2四半期にレイオフから記録的成長に移行しました」

わずか数ヶ月で、Adaはレイオフから記録的成長へのV字回復を遂げたのです。

このV字回復を見て、投資家たちは動きました。では、競合と比べて何が違うのか?


競合との差別化——なぜAdaが選ばれるのか

3つのアプローチの違い

AIカスタマーサービス市場には、3つのアプローチがあります。

項目AdaIntercomZendesk
アプローチ完全自律型AIハイブリッドエージェント支援
導入難易度低(ノーコード)中高
多言語50+(ネイティブ)45言語制限あり
ターゲット全規模、eコマース強みSaaS・テック大企業
  • Zendeskは「エージェント支援」。人間のオペレーターをAIがサポートする形式です。導入には専門知識が必要で、大企業向けです。
  • Intercomは「ハイブリッド」。AIと人間のシームレスな連携を目指しています。SaaSやテック企業に強みがあります。
  • Adaは「完全自律型AI」。AIが最初から最後まで対応し、人間はエスカレーションが必要な場合のみ介入します。
競合比較競合比較

Adaが選ばれる4つの理由

  1. ノーコード: 技術チームなしで導入・運用可能
  2. 多言語ネイティブ: 翻訳ではなく、各言語をネイティブに理解
  3. 高解決率: トップ顧客で80%以上を自動解決
  4. 迅速な導入: 数週間で本番運用開始

競争優位性は明確です。しかし、実際に導入した企業はどのような成果を上げているのか?


導入事例——「課題から解決まで」のストーリー

Loop Earplugs——ROI 357%、応答時間194.52%改善

Loop Earplugsは、Adaの最も成功した導入事例の一つです。

導入前の課題:

  • チケットバックログ: ピーク時には5-6日間の遅延
  • CSAT(顧客満足度): 低迷
  • 人的リソース不足: 急成長に人員が追いつかない

導入後の具体的成果:

指標改善結果
ROI(投資対効果)357%
応答時間194.52%改善(5-6日→最大2時間)
CSAT(顧客満足度)80%達成

"With Aura managing chat, email, and social DMs, Loop achieved a 357% return on investment, proving the efficiency and cost savings of automation."

「Aura(AdaのAIエージェント)がチャット、メール、ソーシャルDMを管理することで、Loopは357%の投資対効果を達成し、自動化の効率性とコスト削減を証明しました」

Loopは単なる効率化だけでなく、カスタマーサービスのキャリアを再定義しました。チケット対応から戦略的業務へのシフト。オペレーターの満足度向上。離職率の低下。

Monday.com——40-45%の自動解決を即座に達成

Monday.comは、プロジェクト管理ツールを提供するSaaS企業です。

課題: 急成長に伴い、サポートチケットが爆発的に増加。人間のオペレーターだけでは対応しきれない状況でした。

解決策: Adaを導入し、AIエージェントを展開。

結果: 導入直後から40-45%のコンテインメント率(自動解決率) を達成しました。

「Adaは運用効率に大きな影響を与えた」

— Monday.com

「導入直後から」という点が重要です。多くのAIチャットボットは学習期間が必要ですが、Adaは即座に機能しました。

Tango Card——100% SLA遵守と6.7倍のROI

Tango Cardは、報酬・インセンティブプラットフォームを提供する企業です。

課題: サービスレベル合意(SLA)の遵守が難しくなっていました。顧客からの問い合わせに、約束した時間内に対応できないケースが増えていたのです。

解決策: Adaを導入し、反復的な問い合わせを自動化。

結果:

  • 100% SLA(サービスレベル合意)遵守
  • 初年度 6.7倍のROI(投資対効果) を達成

Tilt——84%自動解決率達成

Tiltは、Adaを導入して84%の自動解決率を達成しました。これはAdaの顧客の中でも特に高い自動解決率です。

主要顧客企業

  • テック: Meta、Canva、Pinterest、Zapier
  • Eコマース: Shopify、Afterpay
  • 金融: Square、Verizon
  • その他: Monday.com、YETI、Mailchimp

これだけの企業が導入しています。しかし、すべてがうまくいっているわけではありません。


批判と現実——Trustpilot 2.0/5.0の厳しい評価

ユーザー評価の衝撃

Adaの最大の弱点は、実際のエンドユーザー評価が極めて低いことです。

プラットフォームAda競合Voiceflow
Trustpilot2.0/5.04.8/5.0

華々しい導入事例。55億会話の自動化。しかし、実際にAdaのチャットボットを使った顧客からは、厳しい声が上がっています。

「Endless Loop(終わりのないループ)」問題

"Ada's AI fails to provide useful answers, leading to an 'endless loop' and poor customer service experiences."

「AdaのAIは有用な回答を提供できず、『終わりのないループ』と劣悪なカスタマーサービス体験につながる」

ユーザーは、Adaのチャットボットが同じ質問を繰り返し、解決に至らないケースを報告しています。

「Total Disappointment(完全な失望)」

"Some negative reviews noted that Ada is a total disappointment — the agents don't see what I sent them, the bot scenarios are cranky, slow and frustrating."

「Adaは完全に失望的だ。エージェントは私が送った内容を見ていない。ボットのシナリオは不安定で、遅く、イライラする」

ベンダー変更の理由に

"Multiple reviewers describe the chatbot as inefficient, unresponsive, and causing frustration. Some customers have switched vendors specifically to avoid dealing with Ada."

「複数のレビュアーは、このチャットボットを非効率的で、応答がなく、フラストレーションを引き起こすと説明しています。一部の顧客は、Adaとの取引を避けるために特別にベンダーを変更しました」

機能面での制限

制限事項影響
画像・動画表示不可製品デモンストレーションに支障
複雑な統合とセットアップ機能拡張に時間とリソースが必要
価格の不透明性オンラインで価格非公開、見積もり依頼が必要
無料プラン・トライアルなし導入前の検証が困難

競合との比較での弱点

項目AdaIntercomZendesk
価格$500/月〜$29/月〜$19/月〜
無料プランなしありあり
統合数少数(プラグ&プレイ)300+ネイティブ統合多数
価格透明性見積もり依頼が必要オンライン公開オンライン公開

正しい期待値の設定

Adaを導入する際は、以下の期待値を持つべきです。

期待できること期待すべきでないこと
定型的な問い合わせの自動化すべての問い合わせの自動化
24時間対応人間のような共感
コスト削減人間オペレーターの完全な置き換え
スケーラビリティ複雑な問題の自律的解決

AIは人間を置き換えるものではなく、人間を拡張するもの——Mike Murchisonのこの哲学を理解した上で導入すべきです。

"You have to treat AI as an employee. It's someone working for you, and you manage it."

「AIを従業員として扱う必要があります。あなたのために仕事をしてくれる存在であり、あなたがそれを管理するのです」

— Mike Murchison, CEO

批判はある。しかし、Adaは着実に成長を続けています。その成長の軌跡を見てみましょう。


成長の軌跡——破綻寸前から評価額12億ドルへ

資金調達の詳細

Adaの成長指標Adaの成長指標
ラウンド日付調達額主要投資家
Seed2017年7月$2.5M(約3.8億円)Version One、Bessemer
Series A2018年12月$19M(約28.5億円)FirstMark Capital
Series C2021年5月$130M(約195億円)Spark Capital、Tiger Global

総調達額:$200M(約300億円) 評価額:$1.2B(約1,800億円、2021年5月にユニコーン達成)

※日本円換算は1ドル=150円で計算

投資家が見たAdaの価値

2021年5月、AdaはSpark Capital主導で$130MのシリーズCを調達し、ユニコーン達成。

Spark CapitalのGeneral PartnerであるYasmin Razaviは、投資理由を以下のように説明しています:

"Ada has carved out an entirely new category in automated customer experience. Companies across all industries and stages increasingly see the quality of their customer experience and communication as a competitive advantage, and yet they are not able to efficiently scale their efforts to meet their customers' needs. An easy-to-deploy, no-code automation tool such as Ada is game-changing for any business."

「Adaは、自動化されたカスタマーエクスペリエンスという全く新しいカテゴリを切り開きました。あらゆる業界と段階の企業が、カスタマーエクスペリエンスの質を競争優位性として見るようになっていますが、効率的にスケールすることができません。Adaのような導入が簡単でノーコードの自動化ツールは、ゲームチェンジャーです」

— Yasmin Razavi, General Partner, Spark Capital

ARR(年間経常収益)の急成長

ARR(年間経常収益) は、サブスクリプション型ビジネスの年間売上予測額を示す指標です。

時期ARR
2018年$4.5M(約6.8億円)
2020年$17.9M(約26.9億円)
2021年$35M(約52.5億円)
2022年$46.2M(約69.3億円)
2023年$57.9M(約86.9億円)
2024年10月$70.6M(約105.9億円)

※日本円換算は1ドル=150円で計算

驚異的な成長率

  • 2019-2022年成長率: 528%(Deloitte Technology Fast 500選出)
  • 会話量成長: 6ヶ月ごとに倍増
  • 自動化会話数: 55億以上(2025年時点)
  • 解決率: トップ顧客で80%以上

2018年のARR約6.8億円から、2024年には約106億円へ。6年間で約15倍の成長です。

Ben Matthewsの追跡——Google時代から見守っていた投資家

Adaの最初の大型投資家、Bessemer Venture Partnersとの出会いには、運命的なストーリーがあります。

"The connection between Ada and Bessemer has an interesting backstory. Ben Mathews, a senior associate at BVP, had discovered Volley when he was at Google a few years back."

「AdaとBessemerの間には興味深い裏話があります。BVPのシニアアソシエイトであるBen Mathewsは、数年前にGoogleにいたときにVolleyを発見していました」

BenはVolleyが失敗した後も、MikeとDavidを追い続けていたのです。彼らがAdaにピボットしたとき、Benは迷わず投資を決めました。

成長の軌跡は明確です。では、Adaは次にどこへ向かうのか?


2024-2025年の最新動向と今後の展望

Ada導入フローAda導入フロー
時期出来事
2024年5月AIエージェント強化、100%自動解決率を目指す新機能
2024年11月Microsoft Azure OpenAI Service連携強化、200万時間以上の人的労働を削減
2025年1月Sal Uslugil氏入社、エンタープライズ拡大担当
2025年春Ada Interact 2025開催、Voice AI等新機能発表

Microsoft Azure OpenAI Serviceとの連携

2024年11月、AdaはMicrosoft Azure OpenAI Serviceとの連携を強化しました。

これにより、200万時間以上の人的労働を削減したと報告されています。GPT-4などの最新モデルを活用することで、より複雑な会話にも対応できるようになりました。

Voice AI——音声対応への進出

2025年春のAda Interact 2025では、Voice AIなど新機能の発表が予定されています。

チャットだけでなく、電話での問い合わせも自動化する。これが実現すれば、Adaの適用範囲は大幅に広がります。


創業者Mike Murchisonの哲学

本記事を締めくくる前に、Mike Murchisonの印象的な発言を紹介します。

AIへの向き合い方

"A lot of people, myself included, default to feeling threatened. It takes effort to approach AI with low ego and the expectation that it can do your job better than you, but I think those who can do that are the ones who will truly reap the rewards of AI."

「私自身を含め、多くの人がデフォルトで脅威を感じています。低い自我でAIに向き合い、自分よりうまく仕事ができるという期待を持つには努力が必要です。しかし、それができる人こそがAIの恩恵を真に受けられる人だと思います」

— Mike Murchison, CEO

カスタマーサービスの未来

"We realized if we could put AI in the hands of customer service teams to help more customers and solve more problems, we could change the future of customer service."

「AIをカスタマーサービスチームの手に渡し、より多くの顧客を助け、より多くの問題を解決できるようにすれば、カスタマーサービスの未来を変えることができると気づきました」

— Mike Murchison, CEO


まとめ:脳損傷から12億ドルへ——「規模の呪い」を解く旅

冒頭の問いに戻りましょう。

2007年、緊急治療室で目を覚ました19歳の青年。「短期記憶の欠損」「生涯にわたる障害の可能性」——絶望的な診断でした。

しかし、彼は復活しました。Geoffrey Hintonの講義に潜り込み、Volleyの失敗から「最後の9ヶ月に賭けた」ピボットで再起し、パンデミックのレイオフから記録的成長へのV字回復を遂げました。

「なぜ企業は大きくなるほど、顧客と話さなくなるのか?」

Mike Murchisonの答えは、「規模の呪い」 でした。

企業が成長すると、顧客も増える。しかし、サポートチームは同じペースでは増やせない。人件費がかさみ、利益を圧迫するからです。結果、企業は顧客との会話を減らす方向に動く。

Adaは、この「呪い」を解くために生まれました。

AIが反復的な問い合わせを自動化すれば、人間のオペレーターは複雑な問題に集中できる。

AIが24時間対応すれば、顧客は待たされることなくサポートを受けられる。

AIがスケールすれば、企業が成長しても、顧客との会話を減らす必要はない。

しかし、すべてが完璧ではありません。Trustpilot 2.0/5.0という厳しい評価。「Endless Loop」という批判。Adaは、まだ進化の途上にあります。

これがAdaの本質です。栄光と批判の両面を持つ、カスタマーサービス革命の先駆者。

主要ポイント

項目内容
創業者Mike Murchison(外傷性脳損傷からの復活、Geoffrey Hinton教授の講義を聴講)
原点「なぜ企業は大きくなるほど顧客と話さなくなるのか?」という問い
ピボットVolleyball失敗後、最後の9ヶ月の資金をAdaに賭けた
差別化ノーコード、50+言語ネイティブ対応、高解決率
実績55億会話を自動化、Loop Earplugs ROI 357%
批判Trustpilot 2.0/5.0、「Endless Loop」問題
評価額$1.2B(約1,800億円、2021年5月)
ARR$70.6M(約106億円、2024年10月)

次のステップ

  1. 導入を検討している方: Adaの公式サイトで実際のデモを確認。Trustpilotのレビューも合わせて確認を推奨
  2. 市場調査をしている方: Intercom、Zendesk、Voiceflowとの比較で最適なソリューションを検討
  3. 自社で活用したい方: 自社の問い合わせデータを分析し、「反復的で自動化可能」な領域を特定

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  • Forethought徹底解説:TechCrunch Disrupt優勝からエージェントAIリーダーへ

参考リソース

Ada公式

  • Ada公式サイト
  • Ada創業者インタビュー(TechCrunch)
  • ada raises $130M in series c round at a $1.2B valuation
  • Loop Earplugs Case Study

創業者関連

  • Bessemer is proud to back Toronto-native, Ada Support
  • Ada CEO Mike Murchison is using AI to 'make customer service extraordinary'
  • The $750 Billion AI Opportunity in Customer Service | Mike Murchison

ピボット・成長関連

  • Report: Ada's Business Breakdown & Founding Story | Contrary Research
  • David Hariri on co-founding Ada, the pivot that created a unicorn
  • How Ada piggybacked Zoom and Shopify's growth during the pandemic to become a Canadian unicorn

批判・レビュー

  • Is Ada AI Chatbot Your Best Choice? [2026 Review]
  • Ada Reviews 2026: Details, Pricing, & Features | G2

その他

  • Deloitte Technology Fast 500

本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。

この記事の著者

中村 知良

中村 知良

代表取締役

早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。

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目次

  • この記事でわかること
  • 基本情報
  • Mike Murchison:「壊れた脳」から生まれた問い
  • 外傷性脳損傷——19歳で人生が止まった日
  • Geoffrey Hintonの講義——「潜り込んだ」運命の授業
  • Volleyの栄光と破綻——最後の9ヶ月に賭けた決断
  • 7社で同時にカスタマーサービス担当として働いた1年間
  • 「秘密裏に」AIを人間のふりさせてテストした日
  • 「ノーコード」への執着——エンジニアなしで導入できる理由
  • プログラミング知識不要という革新
  • Ada Reasoning Engine——推論エンジンの仕組み
  • 50以上の言語をネイティブに理解する
  • 統合先
  • パンデミック危機——レイオフから記録的成長へのV字回復
  • 2020年初頭:暗雲
  • 転機——Zoomの爆発的成長
  • 記録的成長:前年比5倍
  • レイオフから記録的成長へ
  • 競合との差別化——なぜAdaが選ばれるのか
  • 3つのアプローチの違い
  • Adaが選ばれる4つの理由
  • 導入事例——「課題から解決まで」のストーリー
  • Loop Earplugs——ROI 357%、応答時間194.52%改善
  • Monday.com——40-45%の自動解決を即座に達成
  • Tango Card——100% SLA遵守と6.7倍のROI
  • Tilt——84%自動解決率達成
  • 主要顧客企業
  • 批判と現実——Trustpilot 2.0/5.0の厳しい評価
  • ユーザー評価の衝撃
  • 「Endless Loop(終わりのないループ)」問題
  • 「Total Disappointment(完全な失望)」
  • ベンダー変更の理由に
  • 機能面での制限
  • 競合との比較での弱点
  • 正しい期待値の設定
  • 成長の軌跡——破綻寸前から評価額12億ドルへ
  • 資金調達の詳細
  • 投資家が見たAdaの価値
  • ARR(年間経常収益)の急成長
  • 驚異的な成長率
  • Ben Matthewsの追跡——Google時代から見守っていた投資家
  • 2024-2025年の最新動向と今後の展望
  • Microsoft Azure OpenAI Serviceとの連携
  • Voice AI——音声対応への進出
  • 創業者Mike Murchisonの哲学
  • AIへの向き合い方
  • カスタマーサービスの未来
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