【2026年版】AIエージェント研究の最新動向|MCP・A2A・Agentic AI
AIサマリー
2026年のAIエージェント研究では、MCP、A2A、Agentic AIが本格普及し、標準化と自律化が進展しています。MCPはツール接続の標準化を実現し、A2Aはエージェント間の協調を促進。Agentic AIは自律的な目標設定と実行能力を持つAIシステムとして実用化されています。安全性と評価のフレームワークも重要な課題として定着しています。

2026年、AIエージェント技術は実用化フェーズに入りました。AnthropicのMCP、GoogleのA2A、そしてAgentic AIが本格普及しています。本記事では、2026年のAIエージェント研究における最新動向を解説します。
本記事の表記について
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この記事でわかること
- MCP・A2Aの仕組み: Anthropic のツール接続標準と Google のエージェント間通信プロトコルの役割と違い
- Agentic AI の特徴: 自律的に目標設定・計画・実行する AI システムの4つの核心機能
- 安全性と評価の最新動向: エージェント導入時のリスク管理フレームワークとベンチマーク
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トピック | AIエージェント研究動向 |
| カテゴリ | 技術解説 |
| キープレイヤー | Anthropic, Google, OpenAI, Microsoft |
| 時点 | 2026年1月 |
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2026年のAIエージェント研究トレンド概要
2026年のAIエージェント研究は、5つの大きなトレンドに集約されます。
2025年AIエージェント研究トレンド概念図主要トレンド一覧
| トレンド | キープレイヤー | 特徴 |
|---|---|---|
| MCP | Anthropic | ツール接続の標準化 |
| A2A | エージェント間通信 | |
| Agentic AI | OpenAI, Microsoft | 自律的な意思決定 |
| マルチモーダル | 各社 | 視覚・音声の統合 |
| 安全性・評価 | 学術界・産業界 | リスク管理と品質保証 |
これらのトレンドは相互に関連しています。2026年には統合された形でのAIエージェント基盤が本格運用されています。
MCP(Model Context Protocol)- Anthropicの標準プロトコル
MCPとは
MCP(Model Context Protocol) は、Anthropicが2024年11月に発表したオープンプロトコルです。AIモデルと外部ツール・データソースを接続するための標準規格として設計されました。
MCPの3つの核心概念
- Tools(ツール): 外部機能の呼び出し(API、データベース操作など)
- Resources(リソース): 外部データへのアクセス(ファイル、データベース)
- Prompts(プロンプト): 再利用可能なプロンプトテンプレート
MCPアーキテクチャ
[AI Application] <---> [MCP Client] <---> [MCP Server] <---> [External Service]
MCPはクライアント-サーバーモデルを採用しています。AIアプリケーションはMCPクライアントを通じて、様々なMCPサーバーに接続できます。
MCPの実装例
やっていること: MCPサーバーを作成し、ツール(天気取得)とリソース(ファイル読み込み)を定義
<details> <summary>💻 実装コードを見る(スキップ可)</summary># MCP Server の簡単な実装例
from mcp import Server
server = Server("example-server")
@server.tool()
async def get_weather(city: str) -> str:
# 指定した都市の天気を取得
# 天気API呼び出し
return f"都市の天気: 晴れ、気温20度"
@server.resource("file://path")
async def read_file(path: str) -> str:
# ファイルを読み込む
with open(path) as f:
return f.read()
MCPの導入状況(2026年1月時点)
| 企業・サービス | 対応状況 |
|---|---|
| Claude Desktop | 公式対応 |
| VS Code (Copilot) | 対応済み |
| Cursor | 対応済み |
| Replit | 対応予定 |
| Sourcegraph | 対応済み |
なぜMCPが重要か
MCPが重要な理由は3つあります。
- 相互運用性: 一度作ったMCPサーバーは、どのMCP対応AIでも使える
- セキュリティ: 権限管理の標準化により安全な外部接続を実現
- 開発効率: ツール統合のための再実装が不要に
MCPはAIエージェントの「USB規格」のような存在になりつつあります。
A2A(Agent-to-Agent)- Googleのエージェント間通信
A2Aとは
A2A(Agent-to-Agent Protocol) は、Googleが発表したエージェント間通信のためのオープンプロトコルです。複数のAIエージェントが協調して動作するための標準規格として普及が進んでいます。
A2AとMCPの違い
| 観点 | MCP | A2A |
|---|---|---|
| 目的 | AI-ツール接続 | エージェント間協調 |
| 通信対象 | 外部サービス | 他のAIエージェント |
| 提唱企業 | Anthropic | |
| 関係性 | 補完関係 | 補完関係 |
MCPが「AIと外部ツールの接続」を担うのに対し、A2Aは「AIエージェント同士の連携」を担います。両者は競合ではなく補完関係にあります。
A2Aの主要機能
- タスク委譲: あるエージェントが別のエージェントにサブタスクを依頼
- 情報共有: エージェント間でコンテキストや結果を共有
- 協調実行: 複数エージェントが同時に作業し、結果を統合
A2Aの実装イメージ
やっていること: 3つの専門エージェント(リサーチ・分析・レポート)を登録し、順次タスクを委譲してレポートを作成
<details> <summary>💻 実装コードを見る(スキップ可)</summary># A2A による複数エージェント協調の例
from a2a import AgentNetwork, Task
network = AgentNetwork()
# 各エージェントの登録
research_agent = network.register("research", capabilities=["web_search", "summarize"])
analysis_agent = network.register("analysis", capabilities=["data_analysis", "visualization"])
report_agent = network.register("report", capabilities=["document_generation"])
# タスクの実行(自動的に適切なエージェントにルーティング)
async def create_market_report(topic: str):
# リサーチエージェントが情報収集
research_result = await network.execute(
Task("research", f"{topic}の最新情報を収集")
)
# 分析エージェントがデータ分析
analysis_result = await network.execute(
Task("analysis", f"以下のデータを分析: {research_result}")
)
# レポートエージェントが文書作成
report = await network.execute(
Task("report", f"以下の分析結果からレポートを作成: {analysis_result}")
)
return report
A2Aの将来展望
A2Aは今後さらに発展します。
- エコシステムの拡大: 主要クラウドベンダーが対応済み
- MCPとの統合: MCPでツール接続、A2Aでエージェント連携という役割分担
- 企業内マルチエージェント: 部門ごとの専門エージェントが協調するシステム
Agentic AI - 自律型AIの進化
Agentic AIとは
Agentic AI は、従来のチャットボット型AIとは異なります。自律的に目標を設定し、計画を立て、実行する能力を持つAIシステムを指します。2026年、この概念が本格的に実用化されています。
Agentic AIの4つの特徴
- Goal-oriented(目標指向): 与えられたゴールに向けて自律的に行動
- Planning(計画能力): 複雑なタスクを分解し、実行順序を決定
- Tool Use(ツール使用): 必要に応じて外部ツールを活用
- Self-correction(自己修正): 失敗から学習し、アプローチを改善
従来のAIとの違い
AIエージェント進化の比較:従来 vs 2026年| 観点 | 従来のチャットボット | Agentic AI |
|---|---|---|
| 対話形式 | 1問1答 | 継続的なタスク遂行 |
| 自律性 | 指示に従う | 自ら判断・行動 |
| 実行能力 | 回答のみ | 実際のアクション実行 |
| エラー対応 | ユーザー任せ | 自動リトライ・改善 |
Agentic AIの実装パターン
[ユーザー目標]
↓
[計画フェーズ] → タスク分解、優先順位付け
↓
[実行フェーズ] → ツール呼び出し、外部連携
↓
[評価フェーズ] → 結果確認、必要に応じて再計画
↓
[完了報告]
主要なAgentic AIフレームワーク
| フレームワーク | 開発元 | 特徴 |
|---|---|---|
| LangGraph | LangChain | グラフベースのワークフロー |
| AutoGen | Microsoft | マルチエージェント会話 |
| CrewAI | CrewAI | 役割ベースのチーム構成 |
| OpenAI Assistants | OpenAI | シンプルなAPI |
Agentic AIの実用例
コード生成エージェント
- 要件定義からコード生成、テスト、デプロイまでを自動化
- Claude Code、GitHub Copilot Workspace など
リサーチエージェント
- 特定トピックの調査、情報整理、レポート作成
- Perplexity、Gemini Deep Research など
業務プロセス自動化
- 定型業務の自律実行
- 例外処理時のエスカレーション判断
マルチモーダルエージェント
2026年のマルチモーダル進化
2026年、AIエージェントは視覚・音声・テキストを統合的に扱えるようになりました。より人間に近い形でのタスク遂行が可能になっています。
Computer Use(GUI操作)
Computer Use(コンピューター操作機能) は、AIがスクリーンショットを認識し、マウス・キーボード操作を行う機能です。
| モデル | 対応状況 |
|---|---|
| Claude 3.5 Sonnet | 対応済み(2024年10月〜) |
| GPT-4V | 画像認識のみ |
| Gemini 2.0 | 対応済み(2024年12月〜) |
活用シナリオ:
- レガシーシステム操作の自動化: APIがない古いシステムをGUI経由で操作
- GUIテストの自動化: 画面操作の自動テスト実行
- ブラウザ操作による情報収集: Webページから情報を自動抽出
音声対話エージェント
リアルタイム音声対話も2024年後半から急速に進化しています。
- GPT-4o Voice: 低遅延での音声対話
- Gemini Live: マルチモーダル会話
- Claude Voice: 音声対話に対応
マルチモーダル統合の例
[音声入力] "この書類の内容を要約して、Slackに投稿して"
↓
[画像認識] 書類のスクリーンショットを分析
↓
[テキスト生成] 要約文を作成
↓
[GUI操作] Slackアプリを開いて投稿
↓
[音声出力] "投稿が完了しました"
エージェントの安全性と評価
自律AIのリスク
Agentic AIの普及に伴い、以下のリスクへの対応が急務です。
- 意図しない行動: 目標解釈の誤りによる想定外の動作
- 権限の過剰行使: 必要以上のシステムアクセス
- 連鎖的エラー: 一つのミスが大規模な問題に発展
- 説明責任の曖昧さ: AIの行動に対する責任の所在
安全性フレームワーク
NIST AI Risk Management Framework や EU AI Act を踏まえた安全性対策が進んでいます。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| Human-in-the-loop(人間による確認) | 重要な判断は人間が承認 |
| Sandboxing(サンドボックス実行) | 実行環境の隔離 |
| Audit Logging(監査ログ) | 全行動の記録・追跡 |
| Capability Limiting(能力制限) | 最小権限の原則 |
エージェント評価ベンチマーク
| ベンチマーク | 評価対象 | 提供元 |
|---|---|---|
| SWE-bench | コード生成・バグ修正 | Princeton |
| GAIA | 汎用タスク遂行 | Meta |
| WebArena | Web操作タスク | CMU |
| AgentBench | 総合的なエージェント能力 | Tsinghua |
評価結果(2026年1月時点)
| モデル | SWE-bench | GAIA |
|---|---|---|
| Claude 3.5 Sonnet | 49.0% | 75.0% |
| GPT-4o | 33.2% | 72.0% |
| Gemini 2.0 Flash | 42.0% | 70.0% |
Claude 3.5 Sonnetがエージェントタスクで高い性能を発揮しています。
今後の展望
2026年後半〜2027年の予測
- MCPとA2Aの普及: 標準プロトコルとしての地位確立
- Enterprise Agentic AI: 企業向けエージェントプラットフォームの成熟
- 規制の具体化: AI Act施行に伴うコンプライアンス対応
- マルチモーダル統合の深化: 視覚・音声・触覚の統合
DX支援での活用視点
ネクサフローでの活用可能性
- 業務プロセス自動化: MCP対応のカスタムツールを構築し、既存システムと連携
- マルチエージェントシステム: 部門別の専門エージェントをA2Aで連携
- レガシーシステム連携: Computer Useを活用したGUI操作の自動化
導入を検討する際のポイント
- 小さく始める: 単一タスクの自動化から着手
- Human-in-the-loopの維持: 重要判断は人間が最終確認
- ログと監査: 全てのエージェント行動を記録
- 段階的な権限付与: 信頼性確認後に権限を拡大
よくある質問(FAQ)
Q1. MCPとA2Aはどちらを先に導入すべきですか?
MCPから始めることをお勧めします。MCPはツール接続の標準化を担います。既に多くのツール(Claude Desktop、Cursor、VS Code等)で対応済みです。A2Aは複数エージェントの連携が必要な場合に検討してください。
Q2. Agentic AIは自社で開発する必要がありますか?
必ずしも自社開発は不要です。LangGraph、AutoGen、CrewAIなどのオープンソースフレームワークを活用できます。OpenAI Assistants APIなどを使えば、比較的簡単にAgentic AIを構築できます。
Q3. AIエージェントのセキュリティリスクはどう管理すべきですか?
Human-in-the-loop(重要な判断は人間が承認)、Sandboxing(実行環境の隔離)、Audit Logging(全行動の記録)、Capability Limiting(最小権限の原則)の4つを組み合わせて管理します。
Q4. Computer Useはどのような場面で使えますか?
レガシーシステムのGUI操作自動化、ブラウザ操作による情報収集、GUIテストの自動化などに活用できます。APIが存在しないシステムとの連携に特に有効です。
Q5. 中小企業でもAIエージェントを導入できますか?
はい、可能です。MCPやA2Aなどの標準プロトコルにより、導入コストは大幅に下がっています。小さなタスクの自動化から始めて、効果を確認しながら段階的に拡大することをお勧めします。
まとめ
2026年のAIエージェント研究は、標準化と自律化という2つの軸で大きく進展しています。
主要ポイント
- MCP が実用段階に到達: ツール接続の標準化により、Claude Desktop、Cursor、VS Code 等で既に対応済み
- A2A がエージェント間連携を実現: Google が提唱した標準プロトコルで、主要クラウドベンダーが対応済み
- 安全性フレームワークの重要性が増大: Human-in-the-loop、Sandboxing、Audit Logging が必須要件に
次のステップ
- MCP 対応ツールで小規模な自動化から試してください
- Agentic AI フレームワーク(LangGraph、AutoGen、CrewAI)を比較検討してください
- 自社の業務フローでエージェント活用可能な領域を洗い出してください
関連記事
参考リソース
- Model Context Protocol (MCP) - Anthropic
- Agent-to-Agent Protocol - Google
- LangGraph Documentation
- NIST AI Risk Management Framework
- SWE-bench Leaderboard
本記事は2026年1月時点の情報に基づいています。
この記事の著者

中村 知良
代表取締役
早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。


