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ホーム/ブログ/【論文解説】Transformer: 全てのLLMの原点「Attention Is All You Need」
最終更新: 2026/01/11

【論文解説】Transformer: 全てのLLMの原点「Attention Is All You Need」

AI新技術革新データ分析

AIサマリー

Transformerアーキテクチャは、全ての現代の大規模言語モデル(LLM)の基盤であり、Self-Attentionにより並列処理を実現し、長距離依存を直接モデリングすることで性能を向上させました。機械翻訳タスクでのSOTA達成や、GPT、BERT、Claudeなどのモデルへの影響を通じて、AI分野に革命をもたらしました。理解することで、適切なモデル選択や限界の把握が可能になります。

目次
01Transformerとは?3行でわかる論文の要点─論文情報02Transformerの仕組みを図解で理解─Self-Attention:全ての単語が全ての単語を参照─Multi-Head Attention:複数の視点で同時に注目─Positional Encoding:単語の位置情報を付与─Encoder-Decoder構造03なぜTransformerは革新的だったのか─RNN/LSTMの問題点─CNNの問題点─Transformerが解決したこと04実験結果:どれくらい性能が出たのか─機械翻訳タスク─学習効率05後続への影響:現代AIの基盤─Encoder系モデル─Decoder系モデル─Encoder-Decoder系モデル─現在のLLM06【ネクサフローでの活用視点】─DX支援での適用可能性─なぜTransformerの理解が重要か07FAQ─Q1. なぜ「Attention Is All You Need」というタイトルなのか?─Q2. Self-AttentionとAttentionの違いは?─Q3. なぜTransformerは長い文脈が苦手なのか?─Q4. TransformerとBERT/GPTの関係は?─Q5. 商用利用は可能?08まとめ09次に読むべき論文10参考リソース

現代のLLM(大規模言語モデル)は、すべてTransformerアーキテクチャを基盤としています。GPT、BERT、Claude、Geminiなど、名前は違えど、その核心技術は2017年に発表された1本の論文に遡ります。本記事では、このAI革命の原点となった「Attention Is All You Need」を徹底解説します。

関連記事: 本記事は「AIエージェント論文おすすめ9選」の詳細解説記事です。他の論文も合わせてご覧ください。


Transformerとは?3行でわかる論文の要点

  1. 従来手法の課題: RNN/LSTMは逐次処理のため遅く、長い文脈を扱えなかった
  2. Transformerのアプローチ: Self-Attentionにより全ての単語を同時に参照し、並列処理を実現
  3. なぜ重要か: 翻訳タスクでSOTAを達成し、BERT・GPT・Claudeなど全ての現代LLMの基盤となった

論文情報

項目内容
タイトルAttention Is All You Need
著者Vaswani et al. (Google Brain, Google Research)
発表NeurIPS 2017
arXiv1706.03762

Transformerの仕組みを図解で理解

Transformerの核心は、Self-Attentionメカニズムです。従来のRNNが「順番に処理する」のに対し、Transformerは「全体を一度に見る」ことができます。

Self-Attention:全ての単語が全ての単語を参照

Self-Attentionは、入力文の各単語が他の全ての単語との関連性を計算する仕組みです。

入力: "猫がマットの上に座った"

[猫] → [猫, が, マット, の, 上, に, 座った] との関連度を計算
[が] → [猫, が, マット, の, 上, に, 座った] との関連度を計算
...

計算式:

Attention(Q, K, V) = softmax(QK^T / sqrt(d_k)) V
  • Q (Query): 「何を探しているか」を表すベクトル
  • K (Key): 「何を持っているか」を表すベクトル
  • V (Value): 実際の情報を持つベクトル

Multi-Head Attention:複数の視点で同時に注目

1つのAttentionだけでは、1つの観点からしか関係性を捉えられません。Multi-Head Attentionは、複数のAttentionを並列実行することで、様々な観点からの関係性を同時に学習します。

Head 1: 文法的な関係(主語-動詞)
Head 2: 意味的な関係(猫-座る)
Head 3: 位置的な関係(近くの単語)
...

論文では8つのHeadを使用しています。

Positional Encoding:単語の位置情報を付与

Self-Attentionは全ての単語を同時に処理するため、単語の順序情報が失われます。これを補うのがPositional Encodingです。

PE(pos, 2i) = sin(pos / 10000^(2i/d_model))
PE(pos, 2i+1) = cos(pos / 10000^(2i/d_model))

三角関数を使うことで、以下のメリットがあります。

  • どんな長さの文でも対応可能
  • 相対的な位置関係を学習しやすい
  • 学習パラメータが不要

Encoder-Decoder構造

Transformerは、**Encoder(入力を理解)とDecoder(出力を生成)**の2つの部分から構成されます。

Encoder(6層):

  • Self-Attention層
  • Feed Forward層
  • 各層の後にLayer Normalization

Decoder(6層):

  • Masked Self-Attention層(未来の情報を見せない)
  • Encoder-Decoder Attention層
  • Feed Forward層

なぜTransformerは革新的だったのか

RNN/LSTMの問題点

問題内容
逐次処理単語を1つずつ処理するため、並列化ができない
長距離依存文が長くなると、最初の情報が失われる(勾配消失)
学習の遅さGPUの並列性能を活かせない

CNNの問題点

問題内容
限定的な受容野一度に見れる範囲が限られる
長距離依存遠くの単語を参照するには多層化が必要

Transformerが解決したこと

  1. 並列処理: 全ての単語を同時に処理でき、学習が高速化
  2. 長距離依存: Self-Attentionで任意の2単語間の関係を直接計算
  3. スケーラビリティ: パラメータを増やすほど性能が向上

実験結果:どれくらい性能が出たのか

機械翻訳タスク

ベンチマーク従来SOTATransformer改善
WMT 2014 英独翻訳25.8 BLEU28.4 BLEU+2.6
WMT 2014 英仏翻訳40.4 BLEU41.0 BLEU+0.6

学習効率

指標内容
学習時間3.5日(8 GPU)
パラメータ数65M(base)/ 213M(big)
学習コスト従来手法の1/4以下

特筆すべきは、SOTAを達成しながら学習コストが大幅に削減された点です。


後続への影響:現代AIの基盤

Encoder系モデル

モデル年特徴
BERT2018双方向理解、穴埋めタスク
RoBERTa2019BERTの最適化版
ALBERT2019軽量化BERT

Decoder系モデル

モデル年特徴
GPT2018生成特化、自己回帰
GPT-22019大規模化(1.5B)
GPT-32020Few-shot学習(175B)
GPT-42023マルチモーダル

Encoder-Decoder系モデル

モデル年特徴
T52019テキストtoテキスト統一
BART2019ノイズ除去事前学習

現在のLLM

モデル開発元ベース
ClaudeAnthropicTransformer
GPT-4oOpenAITransformer
GeminiGoogleTransformer
LlamaMetaTransformer

全ての現代LLMがTransformerを基盤としているという事実が、この論文の影響力を物語っています。


【ネクサフローでの活用視点】

Transformerは直接使うというより、その上に構築された技術(LLM、RAG、エージェント)を活用することになります。

DX支援での適用可能性

文書処理の自動化

  • 契約書の要約・分析
  • 社内文書の検索・整理
  • 多言語翻訳

顧客対応の効率化

  • チャットボットによる問い合わせ対応
  • メール自動返信・下書き生成
  • FAQ自動生成

業務プロセス改善

  • 議事録の自動生成
  • レポート作成支援
  • コードレビュー自動化

なぜTransformerの理解が重要か

  1. LLMの特性を理解できる: なぜ長い文脈が扱えるか、なぜ並列処理が速いかが分かる
  2. 適切なモデル選択: タスクに応じてEncoder系/Decoder系を選べる
  3. 限界を理解できる: Attention計算量O(n^2)によるコンテキスト長制限の理由が分かる

FAQ

Q1. なぜ「Attention Is All You Need」というタイトルなのか?

従来、RNNやCNNが必須とされていた自然言語処理において、Attentionメカニズムだけで十分(All You Need)だと示したことに由来します。実際、論文ではRNN/CNNを一切使用せず、純粋にAttentionのみで構成されたモデルがSOTAを達成しました。

Q2. Self-AttentionとAttentionの違いは?

Attention(従来): Encoder-Decoder間など、異なる系列間の関係を計算

Self-Attention: 同じ系列内での単語間の関係を計算

Self-Attentionにより、入力文の内部構造を理解できるようになりました。

Q3. なぜTransformerは長い文脈が苦手なのか?

Attentionの計算量がO(n^2)(nは系列長)のため、文が長くなると計算コストが急増します。例えば、1000トークンなら100万回、10000トークンなら1億回の計算が必要です。

この問題を解決するため、Sparse Attention、Longformer、BigBirdなどの改良手法が研究されています。

Q4. TransformerとBERT/GPTの関係は?

  • BERT: TransformerのEncoder部分のみを使用
  • GPT: TransformerのDecoder部分のみを使用
  • T5: TransformerのEncoder-Decoder両方を使用

つまり、BERT/GPTはTransformerの「派生モデル」です。

Q5. 商用利用は可能?

論文自体はApache 2.0ライセンス。Transformerアーキテクチャを使用したモデル(GPT、Claude等)は各社のライセンスに従います。基本的にAPIを通じた商用利用は可能です。


まとめ

Transformerは、2017年の発表以来、AI分野に革命をもたらしました。

技術的な革新:

  • Self-Attentionによる並列処理
  • 長距離依存の直接的なモデリング
  • スケーラブルなアーキテクチャ

産業への影響:

  • GPT、BERT、Claudeなど全LLMの基盤
  • 機械翻訳、文書処理、対話システムの飛躍的向上
  • AI産業の急成長

現代のAIを理解する上で、Transformerは避けて通れない基礎知識です。本記事が、LLMの「なぜ」を理解する一助となれば幸いです。


次に読むべき論文

前の論文次の論文
-Chain-of-Thought

→ AIエージェント論文おすすめ9選に戻る


参考リソース

  • arXiv論文
  • Google AI Blog
  • The Illustrated Transformer
  • Attention Is All You Need (動画解説)
  • Harvard NLP: The Annotated Transformer

本記事はNexaflowのAI研究チームが執筆しました。

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