レベニューマネジメント導入ガイド|システム選定から運用まで
AIサマリー
レベニューマネジメントシステム(RMS)の導入方法を5ステップで解説。主要ベンダー比較と、97%が成果を実感する運用のポイント。

レベニューマネジメントシステム(RMS)を導入したホテルの**97%**が成果を実感しています。
RevPAR(客室単価)の向上は平均15-20%。適切なシステムを選び、正しく運用すれば、収益は確実に向上します。
本記事では、RMS導入の5ステップと、主要ベンダーの比較、成功する運用のポイントを解説します。
この記事でわかること
- RMSとは: 役割と導入効果
- 導入5ステップ: 現状分析からのチェックリスト
- ベンダー比較: 主要RMS7社の特徴
- 運用のポイント: 成功する運用の秘訣
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トピック | RMS導入の実践ガイド |
| カテゴリ | プライシング戦略 |
| 難易度 | 中級 |
| 対象読者 | 事業責任者、IT部門、経営企画 |
レベニューマネジメントシステム(RMS)とは
定義と役割
**RMS(Revenue Management System)**は、需要予測と価格最適化を自動化し、収益を最大化するシステムです。
主な機能:
- 需要予測: 過去データ、競合価格、イベントなどから需要を予測
- 価格最適化: 収益最大化の価格を算出
- 自動更新: 決定した価格を各チャネルに反映
- レポート: KPI(RevPAR、ADR、稼働率)のモニタリング
手動管理との違い
| 観点 | 手動管理 | RMS |
|---|---|---|
| 価格更新頻度 | 週1-2回 | リアルタイム |
| 考慮する変数 | 限定的 | 多数(競合、天気、イベント等) |
| 対応速度 | 遅い | 即座 |
| 人的工数 | 高い | 低い |
| 精度 | 属人的 | 一貫性がある |
導入効果
| 効果 | 数値 |
|---|---|
| RevPAR向上 | 15-20% |
| ROI改善 | 5-10% |
| 成果を実感する企業 | 97% |
| 導入期間(クラウド型) | 数日 |
出典: Hotel Tech Report, AltexSoft
導入の5ステップ
Step 1: 現状分析
まず、現在の価格設定プロセスを分析します。
チェックポイント:
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 価格設定方法 | 属人的?ルールベース?競合追従? |
| 更新頻度 | 日次?週次?不定期? |
| 使用データ | 過去実績のみ?外部データは? |
| 課題 | 売れ残り?機会損失?価格設定の遅れ? |
成功の指標:
- 現在のRevPARと業界平均の比較
- 稼働率と平均単価のバランス
- 競合との価格ポジション
Step 2: 要件定義
RMSに求める要件を明確にします。
必須要件の例:
| カテゴリ | 要件 |
|---|---|
| 機能 | 需要予測、価格推奨、自動更新 |
| 連携 | 既存PMS、OTA、自社サイト |
| 対象 | 客室タイプ数、物件数 |
| 精度 | 予測精度の許容範囲 |
| サポート | 日本語対応、トレーニング |
予算の目安:
- 初期費用: 無料〜数十万円
- 月額費用: 客室数 × 数百円〜数千円
- 年間予算: 50万円〜500万円(規模による)
Step 3: ベンダー選定
複数のベンダーを比較検討します。
選定プロセス:
- 情報収集: 候補リストアップ(3-5社)
- デモ依頼: 各社のデモを受ける
- PoC(概念実証): 可能なら試験導入
- 評価: 機能、価格、サポートを比較
- 決定: 最終選定と契約
評価基準:
- 自社規模・業態との適合性
- 既存システムとの連携容易性
- 導入実績と評判
- サポート体制
- コストパフォーマンス
Step 4: 導入・設定
選定したRMSを導入します。
導入フェーズ:
| フェーズ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| データ移行 | 過去の販売データをインポート | 1-2週間 |
| 連携設定 | PMS、OTAとのAPI連携 | 1-2週間 |
| パラメータ設定 | 最低価格、変動幅、ルールなど | 1週間 |
| トレーニング | スタッフへの操作研修 | 数日 |
| 並行運用 | 手動と自動を並行で検証 | 2-4週間 |
注意点:
- データ品質の確認(欠損、異常値)
- 連携テストの十分な実施
- スタッフの理解と協力
Step 5: 運用・改善
導入後の継続的な運用と改善が成功のカギです。
日次:
- 推奨価格の確認とオーバーライド判断
- 競合価格のモニタリング
- 予約状況のチェック
週次:
- KPIレビュー(RevPAR、ADR、稼働率)
- 需要予測精度の確認
- 異常値の調査
月次:
- パラメータの見直し
- 競合分析レポート
- 改善施策の検討
主要RMSベンダー比較
概要比較
| ベンダー | 特徴 | 対象規模 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| Duetto | リアルタイムデータインサイト | 中〜大規模 | 高 |
| IDeaS | 市場トレンド対応、老舗 | 中〜大規模 | 高 |
| RoomPriceGenie | 独立系向け、シンプル | 小〜中規模 | 低 |
| Atomize | Mews連携、自動化 | 中規模 | 中 |
| FLYR Hospitality | 収益戦略最適化 | 中〜大規模 | 中〜高 |
| Cloudbeds | PMS一体型、高精度予測 | 小〜中規模 | 中 |
| Luxe Pricing | ダイナミックプライシング特化 | 中規模 | 中 |
詳細比較
Duetto
強み:
- リアルタイムのマーケットインサイト
- 柔軟なOpen Pricing(カテゴリ別最適化)
- 大手チェーン向けの実績
適した企業: 複数物件を運営する中〜大規模ホテル
IDeaS
強み:
- 業界最大手、35年以上の実績
- 高度な需要予測アルゴリズム
- グローバルサポート
適した企業: 精度を最重視する大規模ホテル
RoomPriceGenie
強み:
- 独立系ホテル向け、低コスト
- シンプルな操作性
- 迅速な導入(数日)
適した企業: 小規模〜中規模の独立系ホテル
Atomize
強み:
- Mews(PMS)との統合
- RevPAR+35%、ADR+20%の実績
- 24時間の価格最適化
適した企業: Mewsを使用する中規模ホテル
Cloudbeds
強み:
- PMS一体型でシームレス
- 95%精度で90日先まで予測
- 小規模から対応
適した企業: オールインワンを求める小〜中規模ホテル
導入コストと投資対効果
コスト構成
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 初期費用 | 無料〜50万円 |
| 月額費用 | 3万円〜50万円(規模による) |
| 連携費用 | 10万円〜30万円(PMS/OTA連携) |
| トレーニング | 無料〜20万円 |
ROI計算例
前提条件:
- 客室数: 50室
- 平均RevPAR: 8,000円
- RMS月額費用: 5万円
効果試算(RevPAR +15%の場合):
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 年間売上増加 | 8,000円 × 15% × 50室 × 365日 | 2,190万円 |
| RMS年間費用 | 5万円 × 12ヶ月 | 60万円 |
| 純増分 | 2,130万円 | |
| ROI | 3,550% |
Hotel Tech Reportによると、多くのホテルが6ヶ月以内にROIを回収しています。
運用のポイント
1. 人間の判断との併用
RMSの推奨価格を鵜呑みにせず、人間の判断と併用することが重要です。
- オーバーライド: イベント、天候など、システムが把握できない要因を反映
- ビジネスルール: 最低価格、VIP対応など、戦略的な制約
- 異常検知: 推奨価格が極端な場合の確認
2. 競合モニタリング
RMSの価格推奨だけでなく、競合の動向も把握します。
- 競合の価格変更パターン
- 新規参入や退出
- プロモーション施策
3. 定期的なパラメータ見直し
導入時の設定を放置せず、定期的に見直します。
| パラメータ | 見直し頻度 |
|---|---|
| 最低価格 | 四半期ごと |
| 変動幅上限 | 半年ごと |
| 需要予測モデル | 年1回 |
| 連携チャネル | 随時 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 小規模施設でも導入すべき?
10室以上あれば導入効果が期待できます。RoomPriceGenieなど、小規模向けの低コストツールが増えており、費用対効果は十分にあります。
Q2. 既存PMSとの連携は?
主要なPMS(Opera、Mews、Cloudbeds等)とは、Duetto、IDeaS、RoomPriceGenieなど主要RMSが連携可能です。導入前に連携実績を確認しましょう。
Q3. 導入期間は?
クラウド型RMSの場合、数日〜2週間で基本導入が可能です。ただし、並行運用期間を含めると1-2ヶ月を見込むのが安全です。
まとめ
主要ポイント
- 効果: RevPAR 15-20%向上、97%が成果を実感
- 導入ステップ: 現状分析→要件定義→ベンダー選定→導入→運用
- 成功のカギ: 人間の判断との併用、競合モニタリング、定期的な見直し
次のステップ
- 現在の価格設定プロセスを棚卸しする
- 導入要件と予算を明確にする
- 3社程度のベンダーにデモを依頼する
参考リソース
ベンダー情報
- 10 Best Revenue Management Software - Hotel Tech Report
- Revenue Management System Guide - HotelMinder
導入事例
本記事はダイナミックプライシングシリーズの一部です。
この記事の著者

猪良 幸太郎
東京理科大学卒業後、国内独立系コンサルティングファームに入社し、IT・業務コンサルタント兼マネージャーとして業務最適化やシステム導入プロジェクトを経験。その後プライシングスタジオに入社し、執行役員兼ビジネス本部長として顧客のプライシング変革支援をリードする傍ら、自社の新規事業立ち上げの推進にも従事。


