AI、データ活用、業務改善に関する最新情報やNexaflowの取り組みをお届けします

AIサマリー
a16z創業者Marc AndreessenとBen Horowitzが語るAIの本質。LLMは創造的か?IQと成功の相関はわずか0.4。転移学習ができる人間は1万人中3人。AIバブルは本当か?中国とのAI競争、ロボティクス革命の現実を徹底解説。
LLMは本当に創造的なのか。知能が高ければ成功するのか。AIバブルは本当に来ているのか。シリコンバレーの伝説的投資家Marc AndreessenとBen Horowitzが、AIの本質を問い直します。
本記事は、a16zファイヤーサイドチャット動画(視聴はこちら)の内容を基に再構成したものです。元動画の視聴を強く推奨します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トピック | AI知能・創造性の本質 |
| カテゴリ | 対談解説 |
| 難易度 | 中級 |
Marc Andreessenは、1990年代にWebブラウザ「Netscape Navigator」を開発し、インターネット革命の立役者となった人物です。その後、2009年にBen Horowitzと共に**Andreessen Horowitz(a16z)**を設立。Meta(旧Facebook)、Airbnb、GitHub、Slack、Coinbaseなど、シリコンバレーを代表するスタートアップに投資してきました。
Ben Horowitzは、著書『HARD THINGS』で知られる経営思想家です。自身の起業経験から、経営の本質を「適切な対立の処理」「従業員の視点で物事を見る力」と定義しています。また、ヒップホップ文化の支援活動でも知られ、Paid in Full Foundationを通じてアーティストへの支援を行っています。
a16zは、シリコンバレーで最も影響力のあるVCの一つです。AI、Web3、ヘルスケア、フィンテックなど幅広い領域に投資し、スタートアップに資金だけでなく戦略的支援を提供しています。
「LLMは創造的ですか?」という質問に対して、Marcは問い返します。
"Can people do these things? I've only met a few, some of them are here in the room, but not that many. Most people never do."
「人間はそんなことができるのか?私が会った中で、真に独創的な概念的ブレークスルーができる人はほんの数人だけだ。この部屋にもいるが、多くはない。ほとんどの人は一度もできない。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
真の創造的天才の割合
図: 人類全体 vs ベートーベン・ゴッホレベルの天才 vs LLMが目指すライン真に創造的な天才(ベートーベン、ゴッホ)は、人類史上ごく僅かです。Marcは「LLMが人類の99.99%を超えれば十分実用的」と指摘します。
技術革新は突然生まれるものではありません。LLM自体も、80年間の研究の積み重ねの結果です。音楽においても、ベートーベンにはモーツァルトやハイドンの影響が色濃く見られます。
Marcは言います。「真のゼロからの創造など、歴史上どれほどあったのか?ほとんどの革新は、既存のアイデアの『リミックス』に過ぎない。」
AIが「真の天才」になる必要はありません。人類の99.99%を超える能力があれば、実用上は十分です。
ネクサフローの観点: AI開発では「完璧な創造性」ではなく「99.99%の実用性」を目指すことが重要です。多くの企業が求めているのは、天才的な飛躍ではなく、着実な自動化と効率化です。
分布外推論とは、学習したデータの範囲外で推論する能力のことです。人間でいえば「異分野の知識を横断的に使える力」に相当します。
"I know three people who can [do transfer learning] reliably out of the 10,000 in my address book."
「私のアドレス帳には1万人いるが、その中で信頼して転移学習(異分野の知識を横断的に使う)ができる人は3人だけだ。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
Marcが知る1万人のうち、ファイナンスの質問に心理学の答えを持ってくる人、心理学の質問に生物学の答えを持ってくる人は、わずか3人しかいません。
"Look at what humanity has been able to build, despite all of our limitations."
「我々人類がこれまで成し遂げてきたことを見てほしい。すべての限界にもかかわらず、だ。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
この事実は、むしろ励みになります。99.97%の人が転移学習できなくても、人類は素晴らしい成果を上げてきました。LLMも同じレベルに達すれば十分です。
社会科学の研究では、IQと成功の相関係数は0.4です。つまり、IQが説明できる成功要因は40%のみ。残り60%は何なのでしょうか?
知能と成功の相関
図: IQが説明できる成功要因は40%のみ。残り60%は勇気・動機・感情理解・状況判断"PhDs all work for MBAs. Do you think we're being ruled by the smart ones? Like, is that your big conclusion from current events?"
「博士号取得者は全員MBA取得者のために働いている。今の世の中、頭のいい人たちに支配されていると思うか?それが現代社会から導き出される結論か?」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
Theory of Mindとは、他者の視点・感情・意図を理解する能力です。米軍の研究では、リーダーとフォロワーのIQ差が1標準偏差以上あると、Theory of Mindが機能しなくなることがわかっています。
"If the leader is more than one standard deviation of IQ away from the followers, it's a real problem. That's true in both directions."
「リーダーとフォロワーのIQ差が1標準偏差以上離れると、大きな問題になる。これは両方向に当てはまる。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
リーダーが部下より2標準偏差以上IQが高いと、部下の思考プロセスをモデル化できません。逆に低すぎても管理できません。
Benは経営の本質をこう語ります。
"A lot of it is being able to have a confrontation in the correct way and really understanding who you're talking to... seeing decisions through the eyes of the people working in the company, not through your eyes."
「経営の多くは、適切な方法で対立を処理することと、相手を本当に理解することだ。従業員の視点で意思決定を見ること。自分の視点ではなく。」
— Ben Horowitz, Andreessen Horowitz 共同創業者
"The fact that it's a question means we're not in a bubble. In order to get to a bubble, everybody has to believe it's not a bubble."
「バブルかどうか議論されている時点で、それはバブルではない。真のバブルになるには、全員が『これはバブルではない』と信じなければならない。」
— Ben Horowitz, Andreessen Horowitz 共同創業者
真のバブルとは、「キャピチュレーション(降伏)」が起きた状態です。例えば、ウォーレン・バフェットが「テクノロジーには投資しない」と宣言していたのに、ドットコムバブル末期に投資を始めた瞬間がそれです。
AIには現在、圧倒的な需要があります。供給が追いついていない状況です。Benは「5年後に需要不足になるとは考えにくい」と指摘します。
インターネットバブルは、ネットワーク上のユーザー数が不足していたために起きました。一方、AI市場には既に十分なユーザーがいます。
ネクサフローの観点: VCからは「AIバブルだ」と言われることがありますが、実際にはエンタープライズ向けAIソリューションの需要は旺盛です。むしろ、供給側(開発体制)が追いついていない状況です。
"The personal computer from 1975 through to 1992 was a text prompt system. 17 years in, the whole industry took a left turn into GUIs and never looked back."
「パーソナルコンピュータは1975年から1992年までテキストプロンプトシステムだった。17年経って、業界全体がGUIに大転換し、二度と振り返らなかった。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
PC製品形態の進化
図: PC製品形態の進化タイムラインPCは17年間、テキストプロンプトシステムでした。それが1992年にGUIへ、1997年にWebブラウザへと劇的に進化しました。
現在のチャットボットや検索エンジンは、1970年代のMS-DOSのようなものかもしれません。今後20年で、我々が想像できない形に進化する可能性が高いです。
"This is a full-on race. It's a foot race. It's a game of inches. We're not going to have a 5-year lead. We're going to have like maybe a six-month lead."
「これは全力疾走のレースだ。1インチを争うゲームだ。我々は5年のリードなど持っていない。おそらく6ヶ月程度のリードがあるかないかだ。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
米中AI競争の構図
図: 米国は概念的イノベーション、中国は実装・スケール・製造エコシステムに優位中国からは、Deepseek、Qwen(通义千問)、Kimiなど、優れたLLMが次々と登場しています。これらのモデルは、米国のモデルと遜色ない性能を持っています。
米国のリードは5年ではありません。6ヶ月程度です。この僅差を維持するには、全力疾走が必要です。
Marcは警告します。「中国政府が自国企業にかけていない制約を、米国企業にかけてはならない。そうすれば負ける。」
"Even if the US stays ahead in software, the robots have got to get built and that's not an easy thing. By default, sitting here today, that's all going to happen in China."
「たとえ米国がソフトウェアでリードを保っても、ロボットは製造されなければならない。それは簡単なことではない。現状のまま進めば、それはすべて中国で起きる。」
— Marc Andreessen, Andreessen Horowitz 共同創業者
米国は過去40年間で脱工業化を進めました。その結果、ハードウェア製造エコシステムは中国に移りました。
自動車産業は、3社の自動車メーカーだけでは成り立ちません。数千の部品サプライヤーが必要です。ロボット産業も同じです。
Marcは、米国が脱工業化を見直す必要があると主張します。ソフトウェアで勝っても、ハードウェアで負ければ意味がありません。
日本市場への示唆: 日本は製造業の強みを持っています。ロボティクス革命において、日本企業は中国との協業・競争戦略を再考すべきタイミングです。
AI時代のリーダーシップスキル
図: AI時代のリーダーシップには、IQだけでなく多様なスキルが必要リーダーシップには、IQだけでなく適切な対立を処理する能力が必要です。
Benは強調します。「従業員の視点で意思決定を見ること。自分の視点ではなく。」
経営書が役に立たないのは、状況依存性を無視しているからです。「あなたの会社、あなたの製品、あなたの組織は、他と全く異なる」とBenは言います。
AIは個人の行動パターンをモデル化できます。しかし、「ビジネスの正しい方向性」と「人心掌握」を統合することは、現時点では困難です。
Marcは、LLMに複数のペルソナを作らせ、ソクラテス対話をさせることを好んでいます。
英国のスタートアップは、政治家向けのフォーカスグループをLLM内で再現できることを発見しました。LLMは、ケンタッキー州の大学生、テネシー州の主婦など、異なるペルソナを正確にモデル化できます。
LLMには、「全員を満足させたがる」傾向があります。デフォルトでは、議論が短時間で合意に達します。Marcは「緊張感を高めろ、対立を激化させろ、罵倒し合え」と指示することで、より現実的な議論を引き出しています。
ネクサフローの実践: AI開発では、LLMに意図的に「対立」や「批判的視点」を持たせることで、より深い洞察を引き出せます。デフォルトの「全員満足」モードは、実務では使えません。
Marcは、最新の科学研究を引用します。「人間の認知は、脳だけでなく全身体験である。」
人間の意思決定には、腸内細菌、嗅覚、ホルモンなどの生化学的要素が影響します。
現在のLLMは、デカルトの「心身二元論」的な存在です。脳(知能)だけがあり、身体がありません。
ロボティクス革命によって、AIが物理世界と統合されることで、より人間的な知性に近づく可能性があります。
Marcによると、真に創造的な天才(ベートーベン、ゴッホレベル)は人類史上ごく僅かです。技術・芸術の革新は40-80年の積み重ねの結果であり、すべては「リミックス」です。LLMが人類の99.99%を超えれば十分実用的と言えます。
転移学習や分布外推論ができる人間は極めて少数です。Marcは「私のアドレス帳1万人中、異分野の知識を横断的に使える人は3人だけ」と述べています。AIが同等のレベルに達すれば、多くの実用的場面で人間を超えることになります。
知能と成果の相関は**0.4(40%)**しかありません。米軍の研究では、リーダーとフォロワーのIQ差が1標準偏差以上あるとTheory of Mind(心の理論)が機能しなくなります。IQが高すぎても低すぎてもリーダーシップは機能せず、勇気・動機・感情理解が必要です。
Benは「バブルかどうか議論されている時点でバブルではない」と主張します。真のバブルは誰もバブルだと思わない状態(キャピチュレーション)です。現在は需要が旺盛で、5年後も需要不足になるとは考えにくいとのことです。
Marcによると、米国は概念的イノベーションをリードし、中国は実装・スケール・製造エコシステムに優れています。競争は「数ヶ月単位」の僅差で、米国のリードは6ヶ月程度しかありません。中国からはDeepseek、Qwen、Kimiなど優れたモデルが登場しています。
Theory of Mind(心の理論)とは、他者の視点・感情・意図を理解する能力です。現在のLLMはペルソナ作成とソクラテス対話が得意で、フォーカスグループをLLM内で再現できるレベルに達しています。ただし「全員を満足させたがる」傾向があり、意図的に緊張感や対立を指示する必要があります。
Benによると、経営にはIQだけでなく、適切な対立の処理能力、従業員の視点で物事を見る力、状況判断力が必要です。経営書が役に立たないのは「状況依存性」を無視しているからです。AIは個人をモデル化できても、ビジネスの正しい方向性と人心掌握の統合は困難です。
Marcによると、AI革命のフェーズ2はロボティクスです。たとえ米国がソフトウェアでリードを保っても、ハードウェア製造エコシステムは中国に圧倒的優位性があります。自動車産業が示すように、ロボット産業には数千の部品サプライヤーが必要であり、現状では中国にアドバンテージがあります。
本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。
こちらの記事も参考にしてください

2025年のAIエージェント研究では、MCP、A2A、Agentic AIなどの新たな技術が登場し、標準化と自律化が進展しています。MCPはツール接続の標準化を目指し、A2Aはエージェント間の協調を促進。Agentic AIは自律的な目標設定と実行能力を持つAIシステムを指し、マルチモーダルエージェントは視覚・音声・テキストを統合的に扱う能力を持つようになりました。安全性と評価のフレームワークも重要な課題として浮上しています。

PayPal創業者Peter Thielが語る技術停滞論。AIは停滞を終わらせない、規制が最大のリスク。シリコンバレーがトランプ支持に転じた理由と反キリスト論を解説。2025年最新対談。

イーロン・マスクが2026年のAGI実現を予測。「超音速津波」としてのAI・ロボット革命と、ユニバーサル高所得(UHI)が実現する仕組みを解説。今後3-7年の激動期に備える。