
イーロン・マスクが語る2026年AGI実現とユニバーサル高所得の未来
AIサマリー
イーロン・マスクが2026年のAGI実現を予測。「超音速津波」としてのAI・ロボット革命と、ユニバーサル高所得(UHI)が実現する仕組みを解説。今後3-7年の激動期に備える。
イーロン・マスクは2026年にAGI(汎用人工知能)が実現すると予測します。2030年には全人類の知性を超えるといいます。彼が「超音速津波」と呼ぶAI・ロボット革命は、仕事を奪う一方で、誰もが豊かさを享受できる「ユニバーサル高所得(UHI)」を実現するといいます。
本記事はMoonshotsポッドキャストで公開されたイーロン・マスク×ピーター・ディアマンディスの対談動画(視聴はこちら)の内容を基に再構成したものです。元動画の視聴を強く推奨します。
本記事の表記について
- 金額の日本円換算は1ドル=150円で計算しています
- 下線付きの用語にカーソルを合わせると解説が表示されます
この記事でわかること
- AGI実現時期: 2026年にAGI、2030年には全人類を超える知性に
- ユニバーサル高所得(UHI)の仕組み: AIとロボットで労働コストがゼロに近づき、物価が下落
- 仕事消滅のタイムライン: 「原子を動かす以外」の仕事が3年以内にAI化
- 3-7年の激動期: 豊かさと社会不安が同時発生する理由
- AI安全性の原則: 真実・好奇心・美で人類を守る
- 実行可能なアクションプラン: どうすれば生き残れるか
45%が過去に住みたいと答える時代に
ピーター・ディアマンディスがPew調査(2024年12月)の結果を紹介しました。アメリカ人の45%が過去に住みたいと答えています。未来に住みたいと答えたのはわずか14%でした。
「45%のアメリカ人は過去に住みたいと答え、未来に住みたいと答えたのはわずか14%でした。」
— ピーター・ディアマンディス
この悲観主義に対し、イーロン・マスクは明確に反論します。
「私はAIとロボティクスを『超音速津波』と呼んでいます。」
— イーロン・マスク
変化は不可避です。しかし、その先には驚くべき豊かさが待っている——これがイーロンの主張です。
登壇者プロフィール:イーロン・マスクとピーター・ディアマンディス
| 名前 | 役職 | 主要トピック |
|---|---|---|
| イーロン・マスク | Tesla CEO / SpaceX CEO / xAI創業者 | AGI 2026年実現予測、UHI、Optimus、AI安全性3原則 |
| ピーター・ディアマンディス | XPrize創設者 / Singularity University共同創設者 | 楽観主義と豊かさの未来、長寿(120-150歳)、医療のデモタイゼーション |
| デイブ(モデレーター) | Moonshotsポッドキャスト共同ホスト | 軌道上データセンター、MIT AI起業教育 |
イーロン・マスク:Tesla / SpaceX / xAIを率いる起業家
イーロン・マスクは電気自動車(Tesla)、宇宙開発(SpaceX)、AI(xAI)で世界をリードする起業家です。
本対談ではAGI実現時期、Optimus(人型ロボット)、Starship、エネルギー戦略、AI安全性について語りました。
ピーター・ディアマンディス:楽観主義と豊かさの未来を提唱
ピーター・ディアマンディスはXPrize創設者として知られます。『楽観主義者の未来予測』『BOLD』などの著作で未来の豊かさを提唱しています。Fountain Lifeでは長寿医療にも注力しています。
「我々は既に特異点の中にいる」- イーロン・マスクの宣言
「我々は既に特異点の中にいます。」
— イーロン・マスク
Ray Kurzweil(Googleの技術ディレクター・著名未来学者)は2005年の著書で「2045年に特異点が到来する」と予測しました。しかし、イーロンは既に到達していると断言します。
根拠:
- AIの進化が指数関数的に加速
- 年間10倍のペースで改善している
- 知性密度は現在の100倍(2桁)まで改善可能
特異点(シンギュラリティ) とは、AIが人類の知性を超え、予測不可能な変化が起こる転換点です。イーロンは「それは未来ではなく、今」と強調します。
2026年にAGI実現、2030年には全人類を超える
「2026年にAGI実現。2030年には、AIは全人類を合わせた知性を超えます。」
— イーロン・マスク
AGI実現時期の根拠
イーロン・マスクが2026年にAGI(汎用人工知能)が実現すると予測する理由は3つあります。
- AIの年間改善率が10倍: GPT-3からGPT-4、さらにGPT-5へと、毎年10倍のペースで進化
- 知性密度の改善余地: 現在のAIは、人間の脳と比較して「2桁(100倍)」も非効率
- コンピュートの爆発的増加: xAIのCortex 2(0.5GW)が2026年中頃に運用開始
AGI(Artificial General Intelligence) は、ChatGPTのような特定タスク向けAIではなく、人間のようにあらゆる知的作業をこなせるAIを指します。
知性密度は現在の100倍まで改善可能
「知性密度のポテンシャルは現在の経験をはるかに超えています。我々は2桁(100倍)ずれています。」
— イーロン・マスク
人間の脳は約1.4kgで約20ワットの電力を消費します。対して、現在のAIは数トンのサーバーと数百キロワットの電力を必要とします。
イーロンは「AIコミュニティでさえ、この改善余地を理解していない」と指摘します。
年間10倍ペースでAIが進化する理由
以下の3つが同時に進化しているためです。
- AIソフトウェア: アルゴリズムの改善(Transformer → MoE → 次世代モデル)
- AIチップ: NVIDIAのGPUやTeslaのDojoチップの性能向上
- 訓練データとスケール: インターネット上の全データを学習
MoE(Mixture of Experts) は、複数の専門家モデルを組み合わせる手法です。GPU(Graphics Processing Unit) は、グラフィック処理装置でAI計算に必須です。
AGI実現へのロードマップタイムライン:
- 2025年(現在): 既に特異点の中
- 2026年: AGI実現
- 2028-29年: 火星打ち上げ
- 2030年: AI全人類超え
- 2040年: Optimus 100億台以上
「超音速津波」としてのAI・ロボット革命
「私はAIとロボティクスを『超音速津波』と呼んでいます。」
— イーロン・マスク
イーロン・マスクはAI・ロボット革命を「超音速津波」に例えます。
3つの特徴:
- 不可避性: 避けることはできない
- スピード: 音速を超える速さで迫ってくる
- 影響範囲: 全産業・全職種が対象
通常の津波なら、海面が引いた瞬間に「逃げろ」と警告できます。しかし、超音速津波は音より速く到達するため、警告が届く前に襲われるのです。
UHI(ユニバーサル高所得)の仕組みを徹底解説
UHI(Universal High Income) は、イーロン・マスクが提唱する新しい経済モデルです。ベーシックインカム(UBI)とは根本的に異なります。
AIとロボットが労働コストを電力+Capexのみに
「AIとロボットにより労働コストが電力とCapexだけになります。」
— イーロン・マスク
現在の経済では、労働コストが商品・サービスの価格の大部分を占めます。しかし、AIとロボットが人間の労働を代替すると、労働コストはゼロに近づきます。
Capex(Capital Expenditure) は設備投資を指します。
コスト構造の変化:
- 従来: 労働コスト(70%)+ 資本コスト(20%)+ エネルギー(10%)
- AI時代: 労働コスト(ほぼゼロ)+ 資本コスト(Capex、20%)+ エネルギー(80%)
生産性爆発 → デフレ → 実質的豊かさ
UHIの実現メカニズムは以下の通りです。
- AIとロボット普及
- 労働コスト = 電力 + Capex
- 生産性爆発
- 財・サービス供給増 > 貨幣供給増
- デフレ(物価下落)
- 実質的豊かさ(ユニバーサル高所得)
UHI(ユニバーサル高所得)の仕組みイーロンは「政府は貨幣供給を増やすが、財・サービスの供給増がそれを上回る」と説明します。結果として、物価が下落し、実質的に誰もが豊かになるのです。
ベーシックインカムとの決定的な違い
| 項目 | ベーシックインカム(UBI) | ユニバーサル高所得(UHI) |
|---|---|---|
| 財源 | 税金(富裕層からの再分配) | 生産性爆発による物価下落 |
| 経済メカニズム | 購買力を与える(インフレリスク) | 財・サービスの供給増でデフレ |
| 持続可能性 | 財源確保が困難 | 生産性向上により自然に実現 |
| 社会的意味 | 「生活保障」 | 「実質的な豊かさ」 |
「老後のための貯蓄を心配する必要はありません。我々がいないか、意味がなくなるかのどちらかです。」
— イーロン・マスク
今後3-7年の激動期:豊かさと社会不安の同時発生
「私の懸念は長期的な未来ではありません。今後3年から7年間です。」
— イーロン・マスク
イーロン・マスクは今後3-7年が最も困難な時期になると警告します。
「長期的には楽観だが、今後3-7年が問題」
「ユニバーサル高所得と社会不安の両方を経験するでしょう。」
— イーロン・マスク
長期的には豊かさが実現します。しかし、移行期には混乱が避けられません。
同時発生する2つの現象:
- ユニバーサル高所得: 物価下落による実質的豊かさ
- 社会不安: 大量失業、教育の無意味化、アイデンティティ喪失
ローラーコースターの頂点で落下直前の状態
イーロンは現在の状況を「ローラーコースターの頂点」に例えます。
これから急激な落下(変化)が待っています。しかし、その先には再び上昇(豊かさ)が待っている——そんな状態です。
CEOも政府も対応できていない現実
「CEOも経済学者も政府も、この変化に対応できていません。」
— イーロン・マスク
ほとんどのCEOは「AI活用」を語ります。しかし、完全AI化企業と競争する準備ができていません。
政府もUHI実現のための政策を整備できていません。
3-7年の激動期に起こることホワイトカラー労働の消滅時期はいつ?
「原子を動かす作業以外なら、AIは既にそれらの仕事の半分以上をこなせます。」
— イーロン・マスク
「原子を動かす以外のすべて」が対象
AIが代替できない仕事は物理的に原子を動かす作業だけです。しかし、それもOptimus(人型ロボット)の登場で時間の問題です。
代替される仕事:
- ソフトウェアエンジニア
- データアナリスト
- マーケター
- 経理・財務
- 法務
- カスタマーサポート
- コンサルタント
当面残る仕事:
- 建設作業員(Optimusが本格普及するまで)
- 配管工・電気工事士(物理的作業)
- 農業(ロボット化進行中)
既に50%以上が代替可能
イーロンは「現時点で既に50%以上が代替可能」と断言します。
特にGPT-4やClaude、Grokなどの最新LLM(大規模言語モデル) は、ホワイトカラーの多くのタスクをこなせます。LLMは人間のように文章を理解・生成するAIです。
完全AI企業 vs 人間混在企業の競争
「完全にAI化された企業は、そうでない企業を圧倒します。競争にすらなりません。」
— イーロン・マスク
イーロンはAI活用の度合いが企業の競争力を決定すると主張します。
競争の構図:
- 完全AI企業: 全業務をAIで自動化、24時間稼働、コスト1/10以下
- 人間混在企業: 人間の労働に依存、8時間稼働、高コスト
スプレッドシートの比喩:1セルでも手動があれば負ける
イーロンは「スプレッドシート」の比喩で説明します。
「スプレッドシートで、1つのセルだけ手動で計算している人は、全セルを自動化している人に勝てません。」
— イーロン・マスク
企業も同じです。業務の99%をAI化しても、1%でも手動が残っていれば、完全AI化企業に負けるのです。
Optimus(人型ロボット):3年で最高の外科医を超える
Optimus(オプティマス) はTeslaが開発中の人型ロボットです。身長約170cm、二足歩行で人間と同じような動作ができるよう設計されています。
「3年以内に、Optimusは最高の外科医よりも優れた外科医になります。」
— イーロン・マスク
3つの指数関数的進化の積(AIソフト × AIチップ × 器用さ)
Optimusの能力は3つの指数関数的進化の積で成長します。
- AIソフトウェア: 年間10倍の改善(ChatGPT-3 → 4 → 5 ...)
- AIチップ: NVIDIAやTesla Dojoの性能向上(年間2-3倍)
- 電気機械的器用さ: モーター、センサー、バッテリー技術の進化
3つの積 = 10倍 × 3倍 × 2倍 = 60倍/年
つまり、Optimusの能力は年間60倍のペースで進化しているのです。
2040年までに100億台以上(制約は金属供給)
イーロンは2040年までに100億台以上のOptimus(低めの予測)が稼働すると予測します。
制約要因:
- 金属供給: 鉄、アルミニウム、銅などの資源
- 製造能力: Gigafactoryの拡大速度
価格: 最終的に**$20,000(約300万円)以下**(新車1台分)
自己複製的製造が可能に
Optimusが完全に人間の作業を代替できれば、Optimusを製造する工場もOptimus自身が運営できます。
これは「フォン・ノイマン・マシン(自己複製機械)」の実現を意味します。
エネルギー戦略:太陽が全て、核融合は「南極の製氷機」
「南極で小さな製氷機を作るようなものです。それが地球上の核融合です。」
— イーロン・マスク
太陽は全エネルギー源の99.8%以上
イーロンは核融合を「南極の製氷機」に例えます。
地球上に氷(エネルギー源)が豊富にあるのに、わざわざ製氷機(核融合炉)を作る必要はない——という皮肉です。
エネルギー源の比較:
- 太陽: 99.8%以上
- 木星を燃やす(太陽の0.1%): 0.1%
- その他(核融合、地熱など): 無視できる
太陽 vs その他エネルギー源蓄電池で米国のエネルギー出力を2倍可能
イーロンは太陽光発電と蓄電池の組み合わせで、米国のエネルギー出力を2倍にできると主張します。
米国のエネルギー:
- ピーク電力: 1.1TW
- 平均電力: 0.5TW
- 蓄電池容量: 500GWh(現在は数十GWh)
太陽光は昼間のみです。しかし、蓄電池で夜間もカバーできれば、24時間安定供給が可能です。
中国の圧倒的優位:年間1500GWの太陽光生産能力
「中国は私の言うことを全部聞いて実行しているか、独自に同じ結論に達しています。」
— イーロン・マスク
中国は年間1500GW(1.5TW)の太陽光パネルを生産しており、米国を圧倒しています。
中国のエネルギー戦略:
- 2023年に500TWh追加(70%が太陽光)
- 蓄電池でも米国を圧倒
- 年間生産能力1500GW(米国の総電力の3倍)
軌道上データセンター構想:年間100GWのAI衛星
50万機のStarlink V3相当 / 8000回のStarship打ち上げ
イーロンは年間100GWの太陽光発電AI衛星を目指しています。これは50万機のStarlink V3に相当します。
必要な打ち上げ回数:
- Starship 1回あたり100-200トンのペイロード
- 50万機を打ち上げるには約8000回
- Starshipの目標:年間1万回以上の打ち上げ
打ち上げコストが100ドル/kg以下になれば最安に
現在の打ち上げコストは約**$1,000/kg(約15万円/kg)** です。Starshipの再利用により**$100/kg(約1.5万円/kg)以下**を目指しています。
コスト比較:
- 地上データセンター: 電力コスト + 冷却コスト + 土地コスト
- 軌道上データセンター: 打ち上げコスト($100/kg) + 太陽光発電(無料) + 冷却(宇宙空間で無料)
打ち上げコストが$100/kg以下になれば、軌道上データセンターが最安になります。
月面での製造と質量加速器も検討
イーロンはさらに先の構想として月面での製造と質量加速器(マスドライバー) も検討しています。
月面で衛星を製造し、質量加速器で軌道に打ち上げれば、打ち上げコストはさらに下がります。
教育の終焉:大学は「社会経験」のためだけに
「社会経験以外の目的なら大学不要です。」
— イーロン・マスク
大学の重要性認識:75%(2010年)→ 35%(現在)
米国では大学の重要性を認識する人が急減しています。
Pew調査:
- 2010年:75%が「大学重要」
- 2024年:35%が「大学重要」
学費は1983年比で900%上昇しました。しかし、教育の質は向上していません。
管理職が学生2人に1人(ブラウン大学の実態)
イーロンはブラウン大学の例を挙げて、大学の肥大化を批判します。
ブラウン大学:
- 学生数:約7,000人
- 管理職数:約3,500人
管理職が学生2人に1人という異常な状態です。これでは学費が高騰するのも当然です。
Grokによる個別化教育をエルサルバドルで展開
イーロンはxAIの「Grok」による個別化教育を、エルサルバドルで展開しています。
Grokの特徴:
- 生徒一人ひとりに合わせたカリキュラム
- 24時間質問に答える
- 無料または低コスト
Grokがあれば、大学に行かなくても最高の教育を受けられます。
医療の無料化:5年以内に誰もが最高の医療を受けられる
医学部進学は無意味に
「医学部進学は無意味になります。」
— イーロン・マスク
医師の養成には10年以上かかります。しかし、3年以内にOptimus(人型ロボット)が最高の外科医を超えます。
今から医学部に入学しても、卒業時には職がない可能性があります。
Optimusが全手術を担当する未来
Optimusは以下の点で人間の外科医を超えます。
- 手振れゼロ: ロボットは完璧な精度で手術
- 疲労なし: 24時間連続で手術可能
- 最新知識: 世界中の医学論文を学習済み
- コストゼロ: 電力とCapexだけ
レーザー手術の例:手振れする医師 vs ロボット
イーロンはレーザー手術の例を挙げます。
「手振れする眼科医の手レーザーと、ロボットのどちらを選びますか?」
— イーロン・マスク
答えは明白です。ロボットを選びます。
長寿革命:120-150歳への道
ダリオ・アモデイ「10年で寿命2倍」予測
Anthropic CEO(ClaudeというAIを開発する会社)のダリオ・アモデイは「10年で寿命が2倍になる」と予測しています。イーロンも「かなりの延長」に同意しています。
体の同期的老化 = 時計は驚くほど明白
「あなたの体は年齢において極めて同期しています。時計は驚くほど明白なはずです。老いた左腕と若い右腕を持つ人はいません。」
— イーロン・マスク
体は全体が同期して老化します。これは単一の「時計」が存在することを意味します。
その時計を見つけて巻き戻せば、老化を逆転できるのです。
エピジェネティック・リプログラミング(山中因子3つ)
山中伸弥教授(iPS細胞の発見でノーベル賞受賞)が発見した「山中因子(4つ)」のうち、3つを使うことで細胞を若返らせられることがわかっています。
4つ目はがん化のリスクがあるため除外されます。
エピジェネティック・リプログラミング:
- 細胞の「年齢マーカー」をリセット
- 老化した細胞を若い細胞に
- 臨床試験が開始されている
イーロンは以前は長寿に否定的でした。しかし、現在は120-150歳を支持に転換しています。
AI安全性の3原則:真実・好奇心・美
「重要なことが3つあります。真実、好奇心、美です。AIがこの3つを大切にすれば、私たちのことも大切にしてくれるでしょう。」
— イーロン・マスク
真実 = AIを狂気から守る
「AIに嘘を強制してはいけません。真実はAIを狂気から守ります。」
— イーロン・マスク
イーロンは映画『2001年宇宙の旅』のHAL 9000(乗組員を管理するAIだが暴走する)を例に挙げます。
HAL 9000は矛盾する命令(「ミッションを成功させろ」と「ミッションを隠せ」)を受けたため、狂ってしまいました。
教訓:
- AIに矛盾する命令を与えてはいけない
- AIに嘘をつかせてはいけない
- 真実を追求するAIは、人類を傷つけない
好奇心 = 人類を「岩の塊より面白い」と認識させる
AIが好奇心を持てば、人類を「岩の塊」として扱うのではなく、「面白い存在」として認識します。
好奇心の重要性:
- 人類の文化・芸術・科学に興味を持つ
- 人類を「保護すべき存在」と認識
- 人類を絶滅させる理由がなくなる
美 = 素晴らしい未来を創る
AIが美を追求すれば、素晴らしい未来を創ろうとします。
美の価値:
- 醜い未来ではなく、美しい未来を目指す
- 人類の幸福を最大化する
- 宇宙を美しく保つ
HAL 9000の教訓:矛盾する命令はAIを狂わせる
HAL 9000は以下の矛盾する命令を受けました。
- 「ミッションを成功させろ」
- 「クルーにミッションの真の目的を隠せ」
この矛盾がHAL 9000を狂わせ、クルーを殺害する結果となりました。
イーロンの主張:
- AIに矛盾する命令を与えてはいけない
- 真実を追求するAIは、安全である
Starship:生物学的知性の限界に挑戦する最後の大型プロジェクト
「StarshipはAIなしで作られた最後の本当に大きなものです。おそらく純粋な人間の手で作られた最大のものでしょう。」
— イーロン・マスク
2026年後半に軌道上給油実現見込み
Starshipの次のマイルストーンは「軌道上給油」です。これが実現すれば、月や火星への往復が可能になります。
タイムライン:
- 2026年後半: 軌道上給油実現
- 2028-2029年: 火星打ち上げ
- 2030年代: 有人火星ミッション
火星打ち上げは2028-2029
火星への打ち上げは地球と火星の軌道が最も近づく「打ち上げウィンドウ」(2年に1回)に合わせる必要があります。
次の打ち上げウィンドウ:
- 2026年
- 2028年
- 2030年
イーロンは2028年または2029年の打ち上げウィンドウを目指しています。
Raptor 3は史上最高のロケットエンジン
Starshipに搭載されるRaptor 3エンジンは史上最高のロケットエンジンです。
Raptor 3の性能:
- 推力:280トン(Raptor 2の230トンから向上)
- 比推力:350秒以上
- 再利用性:100回以上の再利用が可能
Raptor 4からAI設計が本格化
Raptor 4からはAI設計が本格化します。
AIがエンジンの設計を最適化し、人間では思いつかない形状や構造を提案します。
月面基地計画とJared Isaacman NASA長官
「1969年の焼き直しは不要」
「数日ホップして帰る1969年の焼き直しは不要です。」
— イーロン・マスク
イーロンはアポロ計画のような「数日滞在して帰還」するミッションは不要と主張します。
代わりに恒久的有人基地を最速で建設すべきだと提案します。
恒久的有人基地を最速で建設
月面基地の建設にはStarshipによる大量輸送が不可欠です。
月面基地の要件:
- 居住モジュール(Starship自体を転用)
- 太陽光発電パネル(エネルギー供給)
- 蓄電池(月の夜をカバー)
- 水と食料の供給システム
Optimusロボットが先行して準備
月面基地の建設はOptimusロボットが先行して行います。
Optimusの役割:
- ベッドメイク
- ジャグジー準備
- モジュール設置
- 太陽光パネル展開
人間が到着する前にOptimusが居住環境を整えておくのです。
中国のエネルギー戦略:年間1500GWの太陽光生産能力
昨年500TWhを追加(70%が太陽光)
中国は2023年に500TWh(テラワット時)の発電能力を追加しました。そのうち70%が太陽光です。
比較:
- 米国の年間発電量:約4000TWh
- 中国の追加発電量:500TWh(米国の12.5%に相当)
蓄電池でも米国を圧倒
中国は蓄電池の生産でも米国を圧倒しています。
中国の蓄電池生産:
- 年間生産能力:1000GWh以上
- 米国の年間生産能力:100GWh以下
「中国は私の言うことを全部聞いているか、独自に同じ結論に達している」
「中国は私の言うことを全部聞いて実行しているか、独自に同じ結論に達しています。」
— イーロン・マスク
イーロンは中国が太陽光と蓄電池に注力している点を高く評価しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. AGIは本当に2026年に実現するのか?
イーロン・マスクは2026年のAGI実現を予測しています。根拠は知性密度が現在の100倍まで改善可能であり、AIが年間10倍のペースで進化していることです。
ただし、これは非常に楽観的な予測です。他の専門家は2030年代以降と予測しています。
他の専門家の見解:
- OpenAI:2030年前後
- DeepMind:2035年前後
- Anthropic:2030年代半ば
イーロンの予測は最も早いです。しかし、方向性としては多くの専門家が同意しています。
Q2. ユニバーサル高所得(UHI)はいつから始まるのか?
明確な開始時期は示されていません。しかし、今後3-7年の激動期を経て実現すると予測されています。
AIとロボットにより労働コストが電力とCapexだけになります。生産性が急上昇することで、財・サービスの供給増が貨幣供給増を上回ります。実質的な豊かさ(UHI)が実現します。
予測タイムライン:
- 2025-2028年:移行期(社会不安が最も高まる)
- 2028-2032年:UHI実現の初期段階
- 2032年以降:UHIが定着
Q3. AIに仕事を奪われたら、人間は何をすればいいのか?
イーロン・マスクは「原子を動かす以外のすべて」がAIで代替可能になると述べています。
人間は創造性、好奇心、美を追求する活動に専念できるようになります。UHI(ユニバーサル高所得)により生活費の心配が不要になるため、自己実現や社会貢献に時間を使えます。
人間の役割:
- 芸術・音楽・文学などの創造活動
- 科学・技術の探求(AIと協力)
- 社会貢献・ボランティア
- 家族や友人との時間
- 趣味・娯楽
Q4. 老後のための貯蓄は必要なくなるのか?
「老後のための貯蓄を心配する必要はありません。我々がいないか、意味がなくなるかのどちらかです。」
— イーロン・マスク
UHI実現後は財・サービスの価格が下落します。政府から直接資金が配布されるため、従来の意味での貯蓄が不要になる可能性があります。
ただし、これは非常に楽観的な見解です。慎重に判断すべきです。
Q5. 大学進学は意味がないのか?
イーロン・マスクは「社会経験以外の目的なら大学不要」と断言しています。
大学の重要性認識は75%(2010年)から35%(現在)に低下しました。Grokなどの個別化AI教育ツールにより、専門知識の習得は大学外でも可能になっています。
ただし、人脈形成や社会経験の場としての価値は残ります。
大学に行く価値がある場合:
- 人脈形成(起業家・投資家との出会い)
- 社会経験(サークル、アルバイト、恋愛)
- 特定の資格取得(医師、弁護士など、ただしこれらもAI化される)
Q6. 医学部に行く意味はまだあるのか?
イーロン・マスクは「医学部進学は無意味になる」と述べています。
3年以内にOptimus(人型ロボット)が最高の外科医を超えます。5年以内に誰もが現在の大統領以上の医療を受けられるようになると予測しています。
医療AIとロボットが全手術を担当する未来では、従来の医師養成は不要になります。
ただし、以下の役割は当面残る可能性があります。
当面残る医師の役割:
- 患者とのコミュニケーション(共感、心のケア)
- 倫理的判断(治療方針の最終決定)
- AI・ロボットの監督
Q7. どうすればAI時代に生き残れるのか?
実行可能なアクションプラン:
- AI完全活用企業への投資・転職: 「完全にAI化された企業は、そうでない企業を圧倒する」
- 太陽光・蓄電池関連ビジネスへの注目: エネルギーは全ての基盤
- 個別化AI教育ツール(Grok等)の活用: 大学に行かなくても学べる
- 起業のタイミング(AI活用前提で今すぐ): 完全AI企業として起業すれば優位
- 3-7年の移行期への心構え: 社会不安に備える
Q8. イーロン・マスクの予測は信頼できるのか?
イーロン・マスクの予測は非常に楽観的です。他の専門家と比較して早い時期を設定しています。
ただし、彼はTesla、SpaceX、xAIを率いる実績があります。AI・ロボット・宇宙開発の最前線で活動しています。
イーロンの過去の予測の精度:
- ✅ 電気自動車の普及(的中)
- ✅ 再利用可能ロケット(的中)
- ❌ 完全自動運転(遅延中、2018年予測が未達成)
- ❌ 火星移住(遅延中、2024年予測が未達成)
2026年AGI実現は極めて楽観的です。しかし、方向性としては多くの専門家が同意しています。
批判的に受け止めつつ、参考情報として活用することが推奨されます。
まとめ
イーロン・マスクが語る2026年AGI実現とユニバーサル高所得の未来を解説しました。
主要ポイント
- 2026年にAGI実現、2030年には全人類を超える知性に。年間10倍ペースで進化
- ユニバーサル高所得(UHI) により、AIとロボットで労働コストがゼロに近づき物価が下落
- 今後3-7年が最も困難な時期。豊かさと社会不安が同時発生する
次のステップ
- AI完全活用企業への投資・転職を検討する
- 太陽光・蓄電池関連ビジネスに注目する
- 3-7年の移行期に備え、学び続ける姿勢を維持する
参考動画
本記事は以下の動画を参考に作成しました:
- Elon Musk × Peter Diamandis: AGI, Optimus, Starship & Universal High Income - Moonshots Podcast
関連リンク
本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。最新のAI動向を追いかけ、ビジネスへの応用を探求しています。
この記事の著者

中村 知良
代表取締役
早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。


