AIマーケティングツール20個で3倍生産性を実現する方法【SaaStr実践】
AIサマリー
SaaStr創業者Jason LemkinとAmeliaが実践する、AIマーケティングツール20個の運用方法を解説。Reeve.art、Gamma、Opus Proなど具体的なツール活用でコンテンツ生産性を3倍化。営業とマーケの融合事例も紹介します。

SaaStr創業者Jason LemkinとマーケティングリーダーAmeliaが、20個のAIエージェント(自律的に行動するAI) を運用し、マーケティング生産性を3倍化した実践例を徹底解説します。
本記事の表記について
- 金額の日本円換算は1ドル=150円で計算しています
- 下線付きの用語にカーソルを合わせると解説が表示されます
本記事の元動画: SaaStr AI Agents in Marketing (YouTube)
この記事でわかること
- AIマーケティングツールの実践的な活用方法: Reeve.art、Gamma、Opus Proなど具体的なツールの使い方
- 営業ツールをマーケティングに転用する方法: QualifiedやArtisanを使ったパーソナライズドメール配信
- 20個のAIエージェント運用の実際: 複数エージェント協調と人間のオーケストレーション
- AIの限界と現実: 95%自動化、残り5%の重要性
- 営業・マーケ・サポートの融合トレンド: 部門の境界が消える未来
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トピック | AIマーケティング自動化 |
| カテゴリ | 対談解説・実践ガイド |
| 難易度 | 初級〜中級 |
| 話者 | Jason Lemkin & Amelia |
| 動画公開 | 2025年11月 |
Jason Lemkin & Amelia とは?
Jason Lemkin(SaaStr創業者・CEO)
Jason Lemkinは、SaaS(Software as a Service) 業界で最も影響力のあるコミュニティ「SaaStr」の創業者です。自身もEchoSignの創業者として**$100M ARR(約150億円の年間経常収益)** を達成し、Adobeに売却した経験を持ちます。
年間10万人以上が参加するSaaStrカンファレンスを主催し、SaaSマーケティング・営業の権威として知られています。
本記事での役割: AIコンテンツ戦略、Opus Pro・Recall活用、営業・マーケ・サポート融合の解説
Amelia(SaaStrマーケティング担当)
SaaStrのマーケティングリーダーとして、20個のAIエージェントを実務で運用する現場責任者です。Reeve.art、Gamma、Qualifiedなど最新AIツールを駆使し、コンテンツ生産性を3倍化した実績を持ちます。
本記事での役割: Reeve.art・Gamma実践例、営業ツールのマーケ転用、複数エージェント運用の現場知見
マーケティングAI活用が遅れている理由
AIマーケティング活用状況Skilled Venture Partnersの調査によると、マーケターのAI活用は営業やサポートに比べて遅れています。
セールス・サポートとの差
Phase 1(高普及):
- メッセージング: 75%
- リサーチ: 68%
Phase 2(低普及):
- キャンペーン分析: 32%
- クリエイティブ生成: 28%
- データエンリッチメント: 25%
Ameliaは「多くの人がAIをメッセージングやリサーチにしか使っていない」と指摘しています。実際にはクリエイティブ生成やキャンペーン最適化でもっと活用できるのです。
なぜマーケターは導入が遅いのか
- ツールの複雑さへの懸念: 営業ツールに比べて選択肢が多く、何を選べばいいか分からない
- ROI(投資対効果)測定の難しさ: 「生産性3倍」の定量化が難しい
- 既存ツールとの統合課題: Marketo、HubSpotなど既存マーテックスタックとの連携
しかし、実際には「ツールが足りないわけではない」とJasonは強調します。むしろ使い方の理解不足が問題なのです。
AIは「怠惰なマーケティング」を可能にしない
"Here's the problem. As great as these tools are, they do not enable lazy marketing. What they enable is better marketing and much more of it."
「問題はここにあります。これらのツールがどれほど優れていても、怠惰なマーケティングを可能にするわけではありません。より良いマーケティングと、より多くのマーケティングを可能にするのです」
— Jason Lemkin
Jasonのこの発言は、AI活用の本質を突いています。
AIの本質:「より良い」と「より多く」
AIは2つの価値を提供します:
- Better Marketing(より良いマーケティング): データ分析、パーソナライゼーション、品質向上
- Much More of It(より多くのマーケティング): コンテンツ量産、自動配信、スケール化
しかし、AIに丸投げして放置すれば、低品質な結果しか得られません。
1日20-30分の人間のオーケストレーションは必須
"If you can't put in 20 or 30 minutes a day to do this, don't start the project. If you want to do nothing, we can't help you."
「1日20-30分を投資できないなら、プロジェクトを始めないでください。何もしたくないなら、私たちはあなたを助けられません」
— Jason Lemkin
SaaStrでは20個のAIエージェントを運用していますが、JasonもAmeliaも毎日20-30分を品質チェック・戦略調整に充てています。
【ツール1】Reeve.art:B2B向けビジュアル生成の決定版
Reeve.artとは何か
Reeve.artは、B2B(企業間取引) ユースケースに特化したAI画像生成ツールです。ChatGPTやMidjourneyと異なり、現実的なビジネスビジュアルを生成することに特化しています。
Reeve.artの強み
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| ロゴ保持 | アップロードしたロゴをそのまま維持 |
| 現実的ビジュアル | カートゥーン風ではなくリアルな画像 |
| テキスト精度 | 画像内のテキストが正確に生成される |
| B2B特化 | モックアップ、イベント資料、営業資料 |
"For B2B use cases, for real business stuff, the 95% chance it's gonna be much better than what you get out of Chat GPT."
「B2Bのユースケースや、実際のビジネス用途では、ChatGPTから得られるものよりも95%の確率で優れたものになります」
— Jason Lemkin
実践例:イベント資料を5分で作成
Ameliaは、Replet社のSaaStrイベントスポンサーシップ提案資料を、Reeve.artで作成しました:
- コンセプト入力: 「Vibe Coding Lab at SaaStr Annual」
- 参照画像アップロード: 過去のイベント会場写真、Repletロゴ
- 生成指示: 「屋外テント、コーディングしている人々、Repletロゴを目立たせる」
- 結果: 最初の1ショットで使えるモックアップが完成
"Reeve is really good at doing mockups. I used to have to ask our designer, 'Hey, can you do a quick mockup.' One, that takes really long. Two, Reef was like, this was a first shot image."
「Reeveはモックアップ作成が本当に得意です。以前はデザイナーに『ちょっとモックアップ作って』と頼んでいました。1つには時間がかかるし、2つには、Reeveは最初の1ショットでこれを作りました」
— Amelia
いつReeve.artを使うべきか
適用シーン:
- 営業資料のモックアップ
- イベントバナー・サイネージ
- SNS投稿用画像
- プレゼン資料のビジュアル
不向きなシーン:
- アート性重視のクリエイティブ
- 抽象的なコンセプト表現
- 人物の顔写真生成(制限あり)
【ツール2】Gamma:5分でプレゼン資料を作る方法
資料作成ワークフローGammaとは何か
Gammaは、AI駆動のプレゼン生成ツールです。2025年に**$100M ARR(約150億円の年間経常収益)** を達成し、評価額**$2B(約3,000億円)** に到達した急成長スタートアップです。
Gammaの実践手順
"Don't over complicate it. Take five bullets on anything that you're doing, give it to Gamma, and watch the agent build a deck for you."
「複雑に考えないでください。やりたいことを5つの箇条書きにして、Gammaに渡すだけ。エージェントがあなたのためにデッキを作るのを見てください」
— Jason Lemkin
5ステップで完成:
- コンセプトを5つの箇条書きに: 例「Replet Vibe Coding Lab / 屋外テント / ライブコーディング / ネットワーキング / スポンサー特典」
- Gammaに入力: 無料版でも利用可能
- エージェントが自動生成: レイアウト、配色、フォントを自動選択
- カスタマイズ: Reeve.artで生成した画像を差し替え、テキスト調整
- 共有・追跡: Gammaリンクで共有すると、誰が見たか追跡可能
Gammaの活用事例
| 用途 | 効果 |
|---|---|
| 営業資料 | 顧客ごとにカスタマイズ版を量産 |
| マーケティング資料 | イベント告知、スポンサー提案 |
| ウェビナー資料 | 毎週のウェビナー資料を効率化 |
| 内部プレゼン | 経営会議、戦略提案資料 |
PowerPointとの比較
| 項目 | PowerPoint | Gamma |
|---|---|---|
| 作成時間 | 1-2時間 | 5-10分 |
| デザイン品質 | スキル依存 | 一貫して高品質 |
| 共有機能 | ファイル送付 | リンク共有、閲覧追跡 |
| カスタマイズ性 | 高い | 中程度(テンプレート利用) |
| B2B適性 | 普通 | 高い(ビジネス向けデザイン) |
コンテンツ生産性を3倍にする考え方
"What we've been able to do is triple our content output with AI."
「私たちはAIでコンテンツ出力を3倍にできました」
— Jason Lemkin
Jasonが実現した「3倍化」の秘訣は、AIの正しい使い方にあります。
AIで「増幅」、AIで「コピー」しない
間違ったアプローチ(多くの人がやっている):
- 他人のLinkedIn投稿をAIで再加工
- トレンドトピックをAIに書かせる
- 競合のコンテンツを言い換える
→ 結果: 似たり寄ったりの内容、Googleの低評価、読者の離脱
正しいアプローチ(SaaStrがやっている):
- 自分の思想・経験をコアに: Jasonの10年以上のSaaS経験、Ameliaの実務知見
- AIでリサーチ・データ追加: Crunchbase、Venrockのデータを追加
- AIで拡張・最適化: 文章の改善、SEO最適化、複数フォーマットへの変換
"The mistake a lot of folks make is they use crappy social media tools that regurgitate content... What we do is you architect the content, you create the content, and you use AI to turbocharge it."
「多くの人が犯す間違いは、他人のコンテンツを再加工するだけの粗悪なツールを使うことです。私たちがやるのは、コンテンツを自分で設計し、作成し、AIでターボチャージするのです」
— Jason Lemkin
核心部分は人間が作る
AIの役割:
- データ収集・分析
- 文章の改善
- フォーマット変換
- SEO最適化
人間の役割:
- オリジナルのアイデア
- 独自の視点
- ブランドボイス
- 戦略的判断
「10倍良くする」レバレッジ
"AI can let you take great ideas and make them 10 times better. That's where you get the leverage."
「AIは素晴らしいアイデアを10倍良くすることができます。それこそがレバレッジを得る方法です」
— Jason Lemkin
具体例: Jasonの記事作成プロセス
- テーマ決定: 「VCファンディングの変化」(Jasonの専門領域)
- 初稿作成: 自分の経験・視点を書く(30分)
- AIでデータ追加: CrunchbaseとVenrockのデータをClaudeで分析・統合(10分)
- 品質チェック: データの正確性確認、文章調整(10分)
- 公開: SaaStr.comで公開、SNSでシェア
結果: 従来2時間かかっていた記事作成が50分に短縮 → 2.4倍の生産性
【ツール3】Opus Pro:YouTubeから自動クリップ抽出
コンテンツ再利用ワークフローOpus Proとは何か
Opus Proは、YouTube動画から最適なクリップを自動抽出し、ランク付け、SNS投稿まで自動化するツールです。
"You're wasting your content if you don't do this. Opus is really good at extracting text from YouTube and finding the best clips."
「これをやらないならコンテンツを無駄にしています。Opus ProはYouTubeからテキストを抽出し、最高のクリップを見つけるのが本当に得意です」
— Jason Lemkin
Opus Proのワークフロー
- YouTube URL入力: 動画URLをコピー&ペースト
- AI分析: テキスト抽出、トピック分析、エンゲージメント予測
- クリップ抽出: 60秒〜3分のクリップを自動生成
- スコアリング: AIが各クリップに「バイラル度スコア」を付与
- SNS最適化: LinkedIn、X、Facebook用にフォーマット調整
- 自動投稿: スケジュール設定で自動配信
コンテンツを無駄にしない戦略
Before(AIなし):
- 1時間のウェビナー → 1本の動画 → YouTube放置
- 総視聴回数: 500回
After(Opus Pro活用):
- 1時間のウェビナー → 10本のクリップ → LinkedIn/X/Facebookで配信
- 総視聴回数: 5,000回(10倍)
SaaStrでは、毎週のウェビナーから8-10本のクリップを生成し、1ヶ月間にわたって配信しています。
【ツール4】Get Recall + Claude:1動画→5記事の錬金術
Get Recallとは
Get Recallは、YouTube動画から高品質な要約テキストを生成するツールです。Descriptよりも要約精度が高いとJasonは評価しています。
Claudeとの組み合わせ
"You can take this session and turn it into five or six articles by getting the text from Get Recall and YouTube and then just asking Claude to write articles out of it."
「このセッションからテキストを取得し、Claudeに記事を書かせれば、5-6本の記事に変えることができます」
— Jason Lemkin
コンテンツ再利用の実践手順:
- 動画URLをGet Recallに入力: 自動でテキスト抽出
- テキストデータ取得: 要約版とフル版の両方を取得
- Claudeに記事作成を依頼:
- プロンプト例: 「このウェビナーから、Reeve.artの活用方法について1,500文字の記事を書いてください」
- 5-6本の記事に変換: 各ツール紹介、戦略解説、FAQ記事など
- 編集・公開: 人間が品質チェック、ブランドボイス調整
1本の動画から生成できるコンテンツ:
- 10本のSNSクリップ(Opus Pro)
- 5-6本のブログ記事(Get Recall + Claude)
- 1本のニュースレター記事
- 1本のLinkedIn投稿
合計: 1本の動画 → 17-18個のコンテンツ
営業ツールをマーケティングに転用する実践例
営業・マーケ・サポートの融合Qualifiedの活用事例
Qualifiedは本来、営業エンゲージメントツールです。しかしAmeliaは、これをマーケティングドリップキャンペーンに転用しています。
"I don't actually care anymore that some of these emails that I'm sending for marketing are in sales tools. I just think of them as go to market tools now."
「マーケティング用に送っているメールの一部が営業ツールに入っていても、もう気にしていません。今ではそれらをGTM(Go-To-Market)ツール と考えています」
— Amelia
行動トリガーによる1対1メール
実践例: SaaStr Londonイベント告知
- トリガー設定: 「London関連メールを3通以上開封 かつ 未購入」
- AI生成メール:
- パーソナライズド挨拶(名前、会社名)
- 過去に読んだSaaStr記事への言及
- London関連の興味を踏まえた内容
- 割引コード提供
- 自動配信: Qualifiedが自動で送信
- 結果追跡: 開封率、クリック率、コンバージョン率を測定
成果:
- 送信数: 3,000通
- 開封率: 35%(業界平均20%を大きく上回る)
- クリック率: 8%(業界平均2-3%を大きく上回る)
ArtisanとAgent Forceの活用
| ツール | 本来の用途 | マーケティング活用例 |
|---|---|---|
| Artisan | AI SDR(営業自動化) | パーソナライズドメールキャンペーン |
| Agent Force | Salesforce AI | CRM統合マーケティング自動化 |
| Qualified | 営業エンゲージ | ドリップキャンペーン、リード育成 |
「GTMツール」という新しい概念
Ameliaが提唱する「GTMツール」とは、営業・マーケ・サポートの境界を超えたツールです。
従来の考え方:
- 営業ツール(Salesforce、Outreach)
- マーケツール(Marketo、HubSpot)
- サポートツール(Zendesk、Intercom)
新しい考え方:
- GTMツール(Qualified、Artisan、Agent Force) → すべての顧客接点を統合
AIエージェント20個の協調運用
マルチエージェントアーキテクチャSaaStrが運用する20個のエージェント
SaaStrでは、以下のようなエージェントを運用しています:
- Jason AI: SaaS戦略、VP of Sales採用、資金調達に関する質問に回答
- Amelia AI: マーケティング施策、AIツール活用、イベント案内
- London Agent: SaaStr Londonイベントの詳細案内、セッション推奨
- Content Agent: 記事作成、要約、SEO最適化
- Email Agent: パーソナライズドメール作成、ドリップキャンペーン
- その他15個: 各専門領域に特化したエージェント
複数エージェント間の文脈保持
設計ポイント:
- 会話履歴の共有: すべてのエージェントが過去のやり取りを参照可能
- 転送時の文脈維持: 「Jason AIに質問したが、Amelia AIに転送された」場合でも、文脈が失われない
- 専門領域の明確化: 各エージェントの得意分野を明示し、適切に転送
"This experience is still better than the crappy experience I just had with a bunch of random human beings who actually could not tell myself the internet's down."
「この(複数AIエージェント間の)体験は、インターネットが落ちていることすら教えてくれなかった人間たちとのひどい体験よりも、まだマシです」
— Amelia
AmeliaのVerizon体験:
- 5人の担当者に転送
- 45分の通話時間
- 最終的に「エリア障害」という単純な回答
→ 複数AIエージェントの方が、バラバラな人間より優れた体験を提供
エージェントオーケストレーションの現実
1日20-30分の人間による調整が必要:
- 品質チェック: AIが生成したメール、記事の確認
- 戦略調整: キャンペーンの優先順位変更
- エラー修正: 誤った情報の訂正
- 学習データ更新: 新しい製品情報、イベント情報の追加
完全自動化は低品質な結果を生む:
- ブランドボイスの喪失
- 不正確な情報の配信
- 顧客の質問への不適切な回答
AIの限界:95%自動化、残り5%が成否を分ける
なぜ100%自動化できないのか
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 品質コントロール | AIの誤り、不正確な情報を人間がチェック |
| ブランドボイス維持 | 企業独自のトーン、語り口を維持 |
| 戦略的判断 | キャンペーン優先順位、新施策の決定 |
| 倫理的判断 | 炎上リスク、コンプライアンス確認 |
「怠惰なマーケター」は救われない
"If you can't put in 20 or 30 minutes a day to do this, don't start the project. If you want to do nothing, we can't help you."
「1日20-30分を投資できないなら、プロジェクトを始めないでください。何もしたくないなら、私たちはあなたを助けられません」
— Jason Lemkin
AIの期待値を正しく設定する:
- ❌ 「AIに丸投げすれば全自動」
- ✅ 「AIで95%を効率化、残り5%に集中」
AIが得意なこと・不得意なこと
| 得意なこと | 不得意なこと |
|---|---|
| 反復作業(クリップ抽出) | 戦略立案 |
| データ処理(分析、要約) | ブランド構築 |
| クリエイティブのバリエーション | 文脈理解(微妙なニュアンス) |
| パーソナライゼーション | 倫理的判断 |
営業・マーケ・サポートの融合が始まっている
従来のマーケティング vs AIマーケティングAIによる部門境界の消失
"AI is leading to convergence between sales and marketing, but in fact it is even leading at some level to convergence between sales, marketing and support."
「AIは営業とマーケティングの融合を引き起こしていますが、実際にはあるレベルで営業、マーケティング、サポートの融合をも引き起こしています」
— Jason Lemkin
融合の理由:
- 共通のAIプラットフォーム: QualifiedやAgent Forceは営業・マーケ・サポートすべてに対応
- 1対1パーソナライゼーション: すべての顧客接点で同じデータを活用
- リアルタイム対応: 営業、マーケ、サポートの境界が曖昧に
具体的な融合事例
| 従来の分類 | 新しい活用 | ツール例 |
|---|---|---|
| サポート | リード獲得 | Deli |
| 営業 | マーケキャンペーン | Qualified |
| マーケ | 1対1パーソナライズ | Artisan |
Deliの例:
- 本来: サポートチャットボット
- 新しい活用: サポート対応中にリード情報を収集、営業に転送
- 結果: サポート満足度向上 + リード獲得の両立
EC業界ではすでに融合済み
Jasonの指摘:
- EC業界では、営業・マーケ・サポートの区別がない
- B2B SaaSは3-5年遅れている
- 今後3年で急速に融合が進む
ニュースレター自動化の現状と未来
2025年時点の課題
完全自動化ツールは未存在:
- Ameliaは「完全自動ニュースレターツールはまだ見つけていない」と明言
- 株価・ニュース集約は自動化済み(SaaStr.ai)
- 個人的な声、学び、独自の視点はまだ人間が必要
自動化できる部分・できない部分
| 自動化済み | 未自動化(人間が必要) |
|---|---|
| 株価・ニュース集約 | 個人的なメッセージ |
| 記事リンク収集 | 独自の視点・解釈 |
| 最新動画の埋め込み | ブランドボイス |
| 基本的な要約 | 学びの共有 |
3-4ヶ月以内の改善見込み
Jasonの予測:
- LLM(大規模言語モデル) の進化により、パーソナライズド技術が向上
- 「somewhere in the middle(中間的な解決策)」が登場
- 完全自動ではないが、90%自動化は可能に
理想の未来:100万通の異なるニュースレター
セグメント単位から1対1へ
従来のアプローチ:
- 10セグメント × 同じ内容 = 10パターン
- 例: 「営業担当者向け」「マーケター向け」「経営者向け」
AIによる未来:
- 100万人 × 100万通り = 完全パーソナライゼーション
- 例: Aさんは「Reeve.artの記事を読んだ」→ 次は「Gammaの活用法」を配信
行動ベースの動的コンテンツ
パーソナライゼーション要素:
- 読んだ記事の履歴
- 興味トピック(クリック履歴から推測)
- 購買段階(リード、顧客、アップセル対象)
- 職種・役職
- 会社規模・業界
AIが動的に選定:
- 各ユーザーに最適な記事を3-5本選択
- 件名もパーソナライズ
- 配信時間も最適化(開封率が高い時間帯)
技術的実現可能性
現在のLLM性能で可能:
- GPT-4、Claude 3.5 Sonnetは十分な性能
- コンテンツ選定ロジックは既に実装可能
課題はコスト・インフラ:
- 100万通を動的生成するコスト
- API呼び出し回数制限
- 配信インフラのスケール
よくある質問(FAQ)
Q1. AIでコンテンツを3倍にする具体的な方法は?
回答: 自分のコンテンツをベースにして、AIでリサーチ・データ追加・拡張を行います。
他人のコンテンツをコピーするのではなく、自分の思想をAIで強化することが重要です。Jason Lemkinはこの方法でコンテンツ出力を3倍にしました。
具体的には:
- 自分でコアアイデアを執筆(30分)
- AIに関連データを収集・追加させる(10分)
- 品質チェック・調整(10分)
Q2. 営業ツールをマーケティングに使う利点は?
回答: パーソナライズドメールの自動化、行動トリガーによる最適タイミング配信が可能になります。
SaaStrではQualifiedを使い、3,000通のキャンペーンで開封率35%(業界平均20%)、クリック率8%(業界平均2-3%)を達成しています。
営業ツールは元々1対1エンゲージメントに特化しているため、マーケティングドリップにも最適です。
Q3. YouTube動画から記事を自動生成する手順は?
回答: 以下の3ステップです:
- Get RecallでYouTube動画のテキスト取得: URL入力だけで完了
- Claudeで記事化: 「このテキストから〇〇について1,500文字の記事を書いて」と依頼
- 5-6本の記事に変換可能: 各ツール紹介、戦略解説、FAQ記事など
1本の動画から17-18個のコンテンツ(記事+クリップ)を作成できます。
Q4. 複数のAIエージェントを運用する際の注意点は?
回答: 以下の3つが重要です:
- 1日20-30分の人間のオーケストレーションが必要: 品質チェック、戦略調整は必須
- 専門領域を持たせる: Jason AI(SaaS戦略)、Amelia AI(マーケティング)など役割分担
- 相互参照と文脈保持の設計: エージェント間で会話履歴を共有し、転送時も文脈を維持
SaaStrは20個のエージェントを運用していますが、完全放置はできません。
Q5. Reeve.artとChatGPTの画像生成はどう違う?
回答:
| 項目 | Reeve.art | ChatGPT |
|---|---|---|
| 特化分野 | B2Bビジュアル、モックアップ | 汎用的、アート性重視 |
| ロゴ保持 | ✅ アップロードしたロゴをそのまま維持 | ❌ ロゴが変形・消失することも |
| リアルさ | ✅ 現実的なビジネス画像 | △ カートゥーン風になりがち |
| B2B適性 | 95%の確率でChatGPTより優れる | 普通 |
Jason Lemkinは「B2Bユースケースでは95%の確率でReeve.artの方が優れている」と評価しています。
Q6. AIエージェントは完全自動化できるのか?
回答: 95%まで自動化可能ですが、残り5%(品質コントロール、戦略判断)が成否を分けます。
Jason Lemkinは「AIは怠惰なマーケティングを可能にしない」と明言しています。完全放置すると低品質な結果になるため、1日20-30分の人間による調整が必須です。
Q7. 営業・マーケ・サポートの融合はいつ実現する?
回答: EC業界ではすでに実現済みです。
B2B SaaSは3-5年遅れており、今後3年で急速に融合が進むとJasonは予測しています。
QualifiedやAgent Forceなどのツールがこの融合を推進しています。「営業ツール」「マーケツール」ではなく、「GTMツール」として捉える考え方が主流になります。
Q8. ニュースレターの完全自動化はいつ可能になる?
回答: 2025年11月時点では完全自動化ツールは存在しませんが、3-4ヶ月以内に改善が見込まれます。
SaaStr.aiでは株価・ニュース集約は自動化済みですが、Ameliaの個人的な声や学びの部分はまだ人間が必要です。LLMの進化により、90%自動化は近い将来実現可能とJasonは見ています。
まとめ
AIツール成熟度マップ主要ポイント
- AIは「怠惰」を許さない: より良いマーケティングと、より多くのマーケティングを可能にするが、1日20-30分の人間のオーケストレーションは必須
- B2B特化ツールを選ぶ: Reeve.artはChatGPTよりB2Bビジュアルで優れる。Gammaは5分でプレゼン資料を作成
- 1動画→17-18コンテンツ: Opus ProとGet Recall + Claudeで、1本の動画から記事・クリップを大量生成
- 営業ツールをマーケに転用: QualifiedやArtisanでパーソナライズドメール、開封率35%を実現
- 20個のAIエージェント運用: 専門化されたエージェントが協調動作、複数人間よりも優れた体験を提供
- 95%自動化、残り5%が重要: 完全自動化は低品質。品質コントロールと戦略判断が成否を分ける
- 営業・マーケ・サポートは融合する: EC業界ではすでに実現済み、B2B SaaSも3年以内に追随
次のステップ
今日試せること(5分以内):
今週試せること(30分以内):
- Reeve.artで既存営業資料の画像を改善
- Get RecallでYouTube動画のテキストを取得、Claudeで記事化
今月取り組むこと(1-2時間):
- QualifiedまたはArtisanで営業ツールのマーケティングドリップを設計
- 複数のAIツールを組み合わせたワークフローを構築
長期的に目指すこと(3ヶ月):
- 10-20個のAIエージェント運用体制の構築
- 営業・マーケ・サポートを統合した組織設計
- コンテンツ生産性3倍化の実現
関連記事
参考リソース
- 元動画: SaaStr AI Agents in Marketing
- SaaStr AI Agents Arsenal
- Reeve.art 公式サイト
- Gamma 公式サイト
- Opus Pro 公式サイト
- Get Recall 公式サイト
- Skilled Venture Partners - State of AI GTM Study
本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。実践的なAIマーケティング支援についてはお問い合わせください。
この記事の著者

中村 知良
代表取締役
早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。


