AI、データ活用、業務改善に関する最新情報やNexaflowの取り組みをお届けします

AIサマリー
SaaStrがAI GTMで6ヶ月に達成した成果:アウトバウンド2万件送信・7%応答率、インバウンド100万ドル売上。Artisan、Qualified、Agent Forceの実践活用法と年間5-8万ドルの投資ROIを詳解。
SaaS業界をリードするSaaStrが、6ヶ月のAI GTM(Go-to-Market:市場開拓戦略)導入で劇的な成果を上げました。アウトバウンドで2万件のメッセージ送信と7%の応答率、インバウンドで100万ドルの売上貢献を達成。本記事では、Chief AI Officer Ameliaと創業者Jason Lemkinが語る20のAIエージェント運用の全貌を解説します。
元動画: SaaStr AI GTM Podcast(約60分)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ソース | SaaStrポッドキャスト(約60分) |
| 話者 | Amelia(Chief AI Officer)、Jason Lemkin |
| トピック | AI GTM実践、20のAIエージェント運用 |
| カテゴリ | 実践ガイド・ケーススタディ |
| 難易度 | 中級〜上級 |
SaaStrは、世界最大級のSaaS企業コミュニティを運営し、年次カンファレンスに1万人以上を集める業界のリーダーです。創業者Jason Lemkinは、著名なVCでもあり、SaaS業界のベストプラクティスを発信し続けています。
**Amelia(Millie)**は、SaaStrのChief AI Officerとして、20のAIエージェントの導入・運用を統括しています。彼女の役割は、Artisan(アウトバウンド)、Qualified(インバウンド)、Salesforce Agent Force(データ活用)など複数のAIツールを実際に運用し、データとメトリクスを分析することです。
Jason Lemkinは、AI導入の戦略的な意思決定、ベンダー選定、予算配分、そしてAI時代のベストプラクティスを語る役割を担います。
SaaStrは、「実験的な組織」として、最新のAIツールを積極的に導入し、成功と失敗の両方を包み隠さず共有しています。ハイプではなく、データドリブンなアプローチで、何が機能し、何が機能しないかを明確にする点が高く評価されています。
SaaStrは2024年5月から11月の6ヶ月間で、約20のAIエージェントを導入し、以下の成果を達成しました。
これは、人間のSDR(Sales Development Representative:営業開発担当)の10倍以上のスケールに相当します。
Qualified(インバウンドAI)は、わずか3.5ヶ月で100万ドルの売上に貢献し、10月の成約の70%がAI経由という驚異的な成果を記録しました。
ArtisanとQualifiedの2つのエージェントを合わせて、次回のロンドンイベントのチケット売上の20%を占める見込みです。
SaaStr AI GTM 6ヶ月の主要指標"An agent can't today figure out make something that isn't working work. But if you know what's working and then this is important, you train the agent with it. Then you get 24/7 infinite firepower backing up your best practices."
「現在のエージェントは、機能していないものを機能させることはできません。しかし、何が機能しているかを理解し、そしてこれが重要ですが、それでエージェントをトレーニングすれば、ベストプラクティスを支える24時間365日の無限の火力を得られます。」
— Jason Lemkin, SaaStr Founder
多くの企業がAI導入に失敗する理由は、「AIが魔法のように問題を解決してくれる」と期待するためです。しかし、Jason Lemkinが強調するように、AIは機能していないプロセスを改善することはできません。
AIの本質は、既に機能しているプロセスを24時間365日、無限にスケールさせることです。例えば、優秀なSDRが成功しているメール文面や対話パターンをAIに学習させることで、そのベストプラクティスを何千、何万回も再現できます。
もしアウトバウンドメールの応答率が0%、SDRが何も成約できていない状態でAIを導入しても、結果は変わりません。まず、人間が小さな成功を生み出し、その成功パターンをAIに学習させることが重要です。
Artisanは、アウトバウンドメール送信を自動化するAI SDRツールです。SaaStrでは、5つの異なるユースケース(ラプススポンサー、現在のスポンサー、過去の参加者、メール開封者、コールドアウトバウンド)ごとにAIエージェントをトレーニングしています。
"Our outbound emails per rep across the board 6 months ago was anywhere between 75 to 285 at the high end. Now, our AI is doing 3,000 on its own per month in one platform."
「6ヶ月前の担当者あたりのアウトバウンドメール数は、75通から最大285通でした。現在、私たちのAIは1つのプラットフォームだけで月間3,000通を送信しています。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
人間のSDRが月間75〜285通を送信するのに対し、Artisan AIは月間3,000通を送信します。これは10倍以上のスケールに相当します。
人間SDR vs Artisan AI - 月間送信数とスケール比較Qualifiedは、インバウンドリードを自動的に対話し、商談化するAIツールです。単なるミーティングブッカーではなく、コンテキスト収集エンジンとして機能します。
"The inbound agent has been responsible for already a million dollars of revenue. 70% of our October close one came from the AI."
「インバウンドエージェントはすでに100万ドルの売上に貢献しています。10月の成約の70%がAI経由でした。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
Qualifiedは、以下の情報を統合し、営業チームに引き渡します。
これにより、営業チームはディスカバリーコールを飛ばして、いきなり提案に入ることができます。
Qualifiedは、イベントチケットの割引コード配布、リマインドメール送信も自動化しています。ロンドンイベントでは、チケット売上の20%がAI経由になる見込みです。
Qualifiedのコンテキスト収集から商談化までのプロセスフローSalesforce Agent Forceは、Salesforceデータを全て活用できる点が最大の強みです。SaaStrでは、営業チームがフォローしなかった1,000件の「ゴースト化したリード」に対するアウトリーチに使用しています。
Agent Forceは、Salesforceに蓄積された全てのデータ(過去の商談履歴、メモ、行動データ)を参照できます。これにより、**中間層(営業チームがフォローしきれていないリード)**に対する効果的なアウトリーチが可能になります。
Agent Forceには、月間3,000件の送信キャップがあります。これは、Artisanの月間300,000件と比較すると大きな制限です。しかし、Artisanで学んだトレーニング手法をコピー&ペーストで適用できるため、導入はスムーズでした。
Artisan vs Qualified vs Agent Force - 3大ツール比較表SaaStrがAI GTM導入で得た6つの重要な学びを紹介します。
"It does require literally the majority I would say, of both mine and Jason's time to run all these agents and use them successfully. If we could run more agents they would fail if we didn't put in as much time."
「これらすべてのエージェントを成功裏に実行するには、文字通り私とJasonの時間の大半が必要です。もし同じだけの時間をかけなければ、より多くのエージェントを実行しても失敗するでしょう。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
多くの人が「AIを導入すれば楽になる」と期待しますが、現実は違います。20のエージェントを運用するには、Chief AI OfficerとFounderの時間の大半が必要です。
AI導入後、すぐに人員を削減したり、コストが下がることを期待してはいけません。SaaStrでは、6ヶ月かけて初めて大きな成果が出始めました。
"Take your best A players and inject AI and figure it out with them in the trenches. Then you become this S-tier team together with AI."
「最高のA級人材を選び、AIを注入し、彼らと一緒に現場で試行錯誤してください。そうすれば、AIと共にSランクチームになれます。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
Chief AI Officerがいない場合でも、最高のA級人材にAIツールを与え、現場で試行錯誤させることで、AI時代のSランクチームを作ることができます。
SaaStrは、外部のエージェンシーやコンサルタントを一切使っていません。自分たちで学び、試行錯誤することが、最も効果的です。
多くの企業が「データガバナンス」を理由にAI導入を遅らせますが、SaaStrは「まず試して、問題があれば修正する」というアプローチを取っています。
"20 is not the right amount for most people. I'm only adding one more tool for the rest of the year. I'm going deeper on our current tools."
「20というのは多くの人にとって適切な数ではありません。私は今年残りで1つだけツールを追加します。現在のツールをより深く使い込んでいます。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
Ameliaは、「20は万人向けではない」と強調しています。1〜数個のツールから始め、機能させてから追加するのがベストです。
AI GTM導入のステップバイステップ・タイムラインAI GTMツールの典型的な価格帯は、**年間6〜10万ドル(オンボーディング含む)**です。これには、ツール費用、オンボーディング、トレーニング、サポートが含まれます。
"I would budget 50 to 80 grand or more. And if you can't afford that, don't expect much today."
「年間5〜8万ドル以上を予算として見込むべきです。それが払えないなら、今日の時点では多くを期待しないでください。」
— Jason Lemkin, SaaStr Founder
安価版(数百ドル/月)は2026年に登場予定ですが、現時点では以下の理由で効果が薄いです。
Jason Lemkinは、自然減(Attrition)で空いた予算をAIツールに振り替えることを推奨しています。
"Don't fire anyone good to replace them with AI if you haven't learned anything. If someone's failing, if they can't close anything... maybe just replace that budget with AI. If your SDR can't do anything, you know, you can't do worse than zero."
「何も学んでいないのに、優秀な人材をAIに置き換えるために解雇しないでください。もし誰かが失敗していて、何も成約できないなら...その予算をAIに置き換えるだけです。SDRが何もできないなら、ゼロより悪くなることはありません。」
— Jason Lemkin, SaaStr Founder
AI GTMツールの予算配分モデル多くの企業が、10社のベンダーを同時に比較しようとしますが、これは時間の無駄です。Jason Lemkinは、2社程度のベイクオフに絞ることを推奨しています。
2社に絞ることで、各ツールを深く理解し、実際のトレーニングとオンボーディングに時間を割くことができます。
"Don't waste your time with an idiot sales rep. Ask to talk to an FTE or a solution architect or an onboarding specialist."
「無能な営業担当で時間を無駄にしないでください。FTE、ソリューションアーキテクト、オンボーディングスペシャリストと話すよう依頼してください。」
— Jason Lemkin, SaaStr Founder
営業担当ではなく、FTE(Full-Time Equivalent:フルタイム従業員)やソリューションアーキテクトと直接話すことで、技術的な詳細や実装の可能性を正確に把握できます。
現在、AI GTMツールのベンダーは需要過多のため、データ不足の顧客は断られることもあります。機能しているプロセスがある企業が優先されます。
Ameliaは、「20は多くの人にとって適切な数ではない」と強調しています。
"20 is not the right amount for most people. I think even like a few is maybe the right amount for most people."
「20というのは多くの人にとって適切な数ではありません。おそらく数個が多くの人にとって適切です。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
1〜数個のツールから始め、機能させてから追加するのがベストプラクティスです。
SaaStrが20のエージェントに到達したのは、以下の理由があります。
Ameliaは、2026年は「量より質」のフェーズに入ると述べています。新しいツールを追加するのではなく、現在のツールをより深く使い込むことに注力します。
SaaStrでは、Artisanで学んだトレーニング手法を、Agent ForceやQualifiedに転用しています。
Artisanで作成したプロンプトやコーチング内容を、Agent Forceにコピー&ペーストするだけで成功しました。
AIツールは異なっても、**「AIとの対話方法」(プロンプティング、コーチング、データ構造の理解)**は共通です。
Ameliaは、「6ヶ月で1つのツールを深く学べば、他のツールは数週間で習得できる」と述べています。
多くの企業はChief AI Officerがいません。しかし、最高のA級人材を選び、AIを注入すれば、Chief AI Officerに育てることができます。
優秀な営業担当、マーケター、カスタマーサクセス担当を選び、AIツールを与えます。
外部のコンサルタントを雇うのではなく、現場で一緒に試行錯誤することが重要です。
"Take your best A players and inject AI and figure it out with them in the trenches. Then you become this S-tier team together with AI."
「最高のA級人材を選び、AIを注入し、彼らと一緒に現場で試行錯誤してください。そうすれば、AIと共にSランクチームになれます。」
— Amelia, SaaStr Chief AI Officer
AI GTMファネル - アウトバウンド/インバウンドの全体像年間5〜8万ドル以上が現実的な予算です。オンボーディング含む年間6〜10万ドルが典型的な価格帯です。安価版(数百ドル/月)は2026年登場予定ですが、現時点ではデータ取り込み量が限定的で効果が薄い傾向にあります。
SaaStrの実績では7%の応答率、4%のポジティブ応答率を達成しています。これは業界平均の約2倍です。月間3,000件送信(人間SDRの10倍のスケール)で達成しており、2〜3週間のウォームアップ期間が必須です。
SaaStrのQualified実績では3.5ヶ月で100万ドルの売上貢献を達成しました。10月単月では成約の70%がAI経由です。イベントチケット売上の20%もAI経由で実現しています。
Chief AI OfficerとFounderの時間の大半が必要です。SaaStrのAmeliaは「プラットフォームが増えても楽にはならない」と強調しています。即座のROI/人員削減は誤った期待です。
アウトバウンドならArtisan(月間300,000件上限)、インバウンドならQualified(コンテキスト収集エンジン)、Salesforceデータ活用ならAgent Force(月間3,000件上限)がおすすめです。2社程度のベイクオフで比較することを推奨します。
「20は万人向けではない」とAmeliaは述べています。1〜数個から始め、機能させてから追加するのがベストです。2026年は量より質の深掘りフェーズです。
Jasonは「優秀な人材を解雇しないで」と強調しています。自然減(Attrition)で空いた予算をAIに振り替えるのが倫理的です。SDRが何も成約できないなら、その予算をAIに置き換えることは可能です。
最高のA級人材を選び、AIを注入し、現場で一緒に試行錯誤してください。外部エージェンシーやコンサルは不要です。6ヶ月で1つのツールを深く学べば、他は数週間で習得可能です。
AI技術の基礎を学びたい方は、AI技術解説シリーズをご覧ください。
本記事はネクサフローのAI実践シリーズの一部です。
こちらの記事も参考にしてください

a16z創業者Marc AndreessenとBen Horowitzが語るAIの本質。LLMは創造的か?IQと成功の相関はわずか0.4。転移学習ができる人間は1万人中3人。AIバブルは本当か?中国とのAI競争、ロボティクス革命の現実を徹底解説。

SaaStr創業者Jason LemkinとAmeliaが実践する、AIマーケティングツール20個の運用方法を解説。Reeve.art、Gamma、Opus Proなど具体的なツール活用でコンテンツ生産性を3倍化。営業とマーケの融合事例も紹介します。

a16z創業者Marc Andreessenが明かすAI市場の未来。DeepSeek等中国勢の台頭、usage vs value-based pricing、大モデル vs 小モデル論争、規制問題まで。前例のない成長率とトリリオンダラー級の未解決問題を徹底解説。