プライシングとは?価格設定の基本と3つの戦略を解説
AIサマリー
プライシング(価格設定)の基本概念から、コストプラス・競合ベース・バリューベースの3つの価格戦略まで、初心者にもわかりやすく解説します。

価格設定は、売上と利益を左右する最も重要な経営判断の一つです。本記事では、プライシングの基本概念から実践的な価格戦略まで、体系的に解説します。
この記事でわかること
- プライシングの定義: 価格設定とは何か、なぜ重要なのか
- 3つの価格戦略: コストプラス、競合ベース、バリューベースの違い
- 価格設定の3つの視点: コスト・市場・戦略から価格を検討する方法
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トピック | プライシング基礎 |
| カテゴリ | ビジネス・経営 |
| 難易度 | 初級 |
プライシングの全体像プライシングとは
プライシング(Pricing) とは、製品やサービスの価格を決定するプロセスのことです。単に「いくらで売るか」を決めるだけでなく、企業の収益性、市場でのポジショニング、顧客との関係性に大きな影響を与える戦略的な意思決定です。
なぜプライシングが重要なのか
プライシングは、売上を構成する2つの要素のうちの1つです。
売上 = 価格 × 販売数量
価格を1%上げた場合と、販売数量を1%増やした場合を比較すると、価格改善の方が利益へのインパクトが大きいことが多くの研究で示されています。
たとえば、原価率70%の商品の場合:
- 価格を1%上げると → 利益は約3.3%増加
- 販売数量を1%増やすと → 利益は約1%増加
プライシングに影響を与える4つの要素
- コスト: 製造原価、仕入原価、運営コスト
- 競合: 競合他社の価格水準、市場の相場
- 顧客価値: 顧客が感じる製品・サービスの価値
- 市場環境: 需要と供給のバランス、経済状況
3つの価格戦略
価格を決める方法には、大きく分けて3つのアプローチがあります。それぞれの特徴、メリット・デメリットを理解して、自社に合った戦略を選択しましょう。
3つの価格戦略の比較コストプラス法(Cost-Plus Pricing)
原価に一定の利益率を上乗せして価格を決定する方法です。
計算式:
販売価格 = 原価 × (1 + 利益率)
メリット:
- 計算がシンプルで分かりやすい
- 確実に利益を確保できる
- 価格設定の根拠を説明しやすい
デメリット:
- 顧客の支払意欲を考慮していない
- 競合との価格差が生まれやすい
- 利益の最大化が難しい
適しているケース: 受託開発、建設業、製造業など
競合ベース法(Competitive Pricing)
競合他社の価格を参考に、自社の価格を決定する方法です。
アプローチ例:
- 競合と同じ価格に設定
- 競合より10%安く設定
- 競合より20%高く設定(プレミアムポジション)
メリット:
- 市場の相場から外れにくい
- 競争力を維持しやすい
- 顧客の比較検討に対応しやすい
デメリット:
- 価格競争に巻き込まれやすい
- 自社の価値を反映しにくい
- 利益率が圧迫されるリスク
適しているケース: コモディティ商品、小売業、価格比較されやすい業界
バリューベース法(Value-Based Pricing)
顧客が感じる価値に基づいて価格を決定する方法です。最も利益を最大化しやすい戦略とされています。
考え方:
価格 = 顧客が得られる価値 × 価値の一部
メリット:
- 高い利益率を実現できる
- 顧客にとっての価値を意識したサービス設計になる
- 価格競争を回避できる
デメリット:
- 顧客価値の定量化が難しい
- 価値を伝えるマーケティングが必要
- 顧客セグメントごとの価格設定が必要な場合も
適しているケース: SaaS、コンサルティング、高付加価値サービス
価格設定で押さえるべき3つの視点
価格を決める際は、以下の3つの視点をバランスよく検討することが重要です。
価格設定プロセス1. コスト視点:下限を把握する
価格の下限を決めるために、コストを正確に把握します。
- 変動費: 原材料、仕入れ、販売手数料など
- 固定費: 人件費、オフィス賃料、システム費用など
- 損益分岐点: 最低限必要な価格ライン
2. 市場視点:競合と顧客を知る
競合や顧客について調査し、適正な価格帯を把握します。
- 競合他社の価格帯と自社のポジション
- 顧客の支払意欲(WTP: Willingness To Pay)
- 価格感度(価格変動への反応)
3. 戦略視点:目標を明確にする
価格設定で達成したい目標を明確にします。
- 利益最大化: 最も高い利益を得る
- シェア拡大: 市場シェアを増やす
- ブランド構築: プレミアムイメージを確立する
価格変更のプロセス
一度決めた価格を変更する際は、より慎重なプロセスが必要です。現状分析、影響シミュレーション、顧客への告知など、具体的な手順は「価格変更のやり方」で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 価格を上げると顧客が離れませんか?
適切な価値提供と丁寧な告知を行えば、多くの場合、離反は想定より少ないです。むしろ、低価格で無理を続けると、サービス品質の低下や事業継続リスクにつながります。
Q2. 競合より高くても売れますか?
価格以外の差別化要因(品質、サポート、ブランド、利便性など)があれば、競合より高くても選ばれます。重要なのは「価格に見合う価値」を提供することです。
Q3. 価格設定で最もやってはいけないことは?
根拠なく「なんとなく」で価格を決めることです。また、コストを把握せずに競合に合わせて安くすることも危険です。
Q4. SaaSの価格設定で重要なポイントは?
顧客セグメントごとの価値の違いを反映した複数プランの設計、無料プランから有料プランへの導線設計、年払い割引の設定などが重要です。
Q5. 価格改定はどのくらいの頻度で行うべきですか?
業界や商品特性によりますが、少なくとも年1回は価格の妥当性を見直すことをおすすめします。インフレや原価上昇がある場合は、より頻繁な見直しが必要です。
まとめ
プライシング重要ポイント主要ポイント
- プライシングは経営の最重要課題: 価格は利益に直結する最もレバレッジの高い要素
- 3つの戦略を理解する: コストプラス、競合ベース、バリューベースの特徴を把握
- バリューベースを目指す: 長期的には顧客価値に基づく価格設定が最も持続可能
次のステップ
- 自社の現在の価格設定方法を振り返る
- 顧客が感じている価値を調査する
- 競合の価格帯を整理する
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本記事はネクサフローのプライシングシリーズの一部です。

