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リストプライシング vs セールスプライシング:いつ、どちらを使う?

リストプライシング vs セールスプライシング:いつ、どちらを使う?

13分で読める|2026/01/26|
プライシング価格戦略BtoB SaaS営業

AIサマリー

標準価格表で販売するリストプライシングと、営業交渉で決めるセールスプライシング。SaaS企業はどう使い分けるべきか、判断基準を解説します。

価格を公開するか、交渉で決めるか。

SaaS企業の価格ページを見ると、「Free」「Pro」「Enterprise」と並んでいて、Enterpriseだけ「Contact Sales」になっていることがあります。これは、顧客セグメントによって価格設定方式を使い分けているからです。

本記事では、リストプライシングとセールスプライシングの使い分けを解説します。


この記事でわかること

  1. 2つの方式の定義: リストプライシングとセールスプライシングとは
  2. 使い分けの基準: どの場面でどちらを使うか
  3. ハイブリッドアプローチ: 現実的な組み合わせ方

基本情報

項目内容
トピック価格設定方式の選択
カテゴリBtoB SaaS
難易度中級
対象読者プライシング担当、営業企画
リストプライシング vs セールスプライシングリストプライシング vs セールスプライシング

2つの方式の定義

リストプライシングとは

リストプライシング(List Pricing)は、公開された標準価格表に基づく価格設定です。

特徴内容
価格公開Webサイトに価格表を掲載
交渉なし(表示価格で購入)
購入方法セルフサービス
一貫性全顧客同一価格

採用企業例:

  • Slack: Free / Pro / Business+ / Enterprise Grid
  • Notion: Free / Plus / Business / Enterprise
  • HubSpot Starter

セールスプライシングとは

セールスプライシング(Sales Pricing)は、営業交渉による個別価格設定です。

特徴内容
価格公開非公開(「Contact Sales」)
交渉営業担当との交渉で決定
購入方法営業主導
カスタマイズ顧客ごとに異なる価格

採用企業例:

  • Salesforce Enterprise
  • ServiceNow
  • Workday

使い分けの判断基準

リストプライシングが適する場面

以下の条件に当てはまる場合、リストプライシングが適しています。

  1. SMB(中小企業)向け製品

    • 取引単価が低い(年間$10K未満)
    • 顧客数が多い
    • 営業コストを抑えたい
  2. セルフサービス販売

    • デモなしで購入できる
    • 無料トライアルから有料転換
  3. 市場透明性が高い

    • 競合が価格を公開している
    • 価格比較されやすい

セールスプライシングが適する場面

以下の条件に当てはまる場合、セールスプライシングが適しています。

  1. エンタープライズ向け製品

    • 取引単価が高い(年間$50K以上)
    • 顧客数が限られる
    • 営業リソースを投資できる
  2. カスタマイズが多い

    • 導入支援が必要
    • SLA、セキュリティ要件が顧客ごとに異なる
  3. 競合が少ない

    • ニッチ市場
    • 価格比較されにくい

判断フレームワーク

観点リスト向きセールス向き
顧客規模SMBEnterprise
取引単価〜$10K/年$50K+/年
販売方式セルフサービス営業主導
カスタマイズ少多
競合状況多い少ない

ハイブリッドアプローチ

HubSpot、Salesforce、Notionなど、多くのSaaS企業は両方を組み合わせています。

階層別の使い分け

Free        → リストプライシング(無料)
Starter     → リストプライシング($10/月)
Pro         → リストプライシング or ボリューム割引
Enterprise  → セールスプライシング(Contact Sales)

移行のタイミング

スタートアップはリストプライシングから始めることが多いです。営業リソースが限られるため、セルフサービス販売を優先するからです。

フェーズ推奨方式理由
PMF前リスト顧客獲得スピードを優先
PMF後リスト + セールス大口顧客を獲得
スケール期ハイブリッド最適化セグメント別に最適化

請求への影響

価格設定方式によって、請求の運用が大きく変わります。

リストプライシングの請求

観点特徴
自動化高い(システムで完結)
更新セルフサービス
請求サイクル標準化
例外処理少ない

セールスプライシングの請求

観点特徴
自動化低い(個別設定が必要)
更新営業が関与
請求サイクルカスタム可能
例外処理多い

運用負荷の比較

セールスプライシングは、以下の点で運用負荷が高くなります。

  1. 契約書の個別作成: 顧客ごとに条件が異なる
  2. 請求設定の個別化: 割引率、支払条件のカスタマイズ
  3. 更新時の交渉: 毎年の価格交渉

これを支えるために、ZuoraやChargebeeのような請求管理システムが必要になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 価格を公開しないデメリットは?

価格非公開には以下のデメリットがあります。

  • 検討から脱落: 価格がわからないと検討対象から外れる
  • 不信感: 「高そう」という印象を与える
  • リードの質低下: 予算が合わない問い合わせが増える

一方、エンタープライズ向けでは「Contact Sales」が標準であり、デメリットは限定的です。

Q2. 値引き交渉への対応は?

セールスプライシングでは値引き交渉が発生します。

対応の原則:

  • 値引きの上限を事前に決める(例: 最大20%)
  • 値引きの条件を明確にする(例: 3年契約で15% OFF)
  • 値引きではなく追加価値で交渉する(例: 導入支援を無料化)

Q3. 既存顧客と新規顧客で価格が異なる場合は?

セールスプライシングでは、同じ製品でも顧客ごとに価格が異なることがあります。

既存顧客が「新規顧客の方が安い」と知った場合、不満につながります。

対策:

  • 価格の透明性を保つ(値引き条件を明示)
  • 既存顧客にも同等の条件を提示する
  • 長期顧客向けのロイヤルティ割引を設ける

まとめ

主要ポイント

  1. 顧客セグメントで使い分ける: SMBはリスト、Enterpriseはセールス
  2. 取引単価と販売方式が判断基準: 高単価・営業主導ならセールス
  3. ハイブリッドが現実解: 多くのSaaS企業は両方を併用

次のステップ

  1. 自社の顧客セグメントを整理する
  2. 各セグメントの取引単価を分析する
  3. セグメント別に最適な方式を検討する

参考リソース

価格戦略

  • SaaS Pricing Strategy - OpenView
  • Pricing Page Examples - Price Intelligently

🔗

請求/Billing シリーズ

導入

  • 意味ある請求とは

詳細

  • 契約体系との連動
  • リスト vs セールス(この記事)
  • BtoB変動の壁

応用

  • Zuoraの成長理由
  • サイクル設計
  • 会計処理との関係

本記事は請求/Billingシリーズの一部です。

この記事の著者

猪良 幸太郎

猪良 幸太郎

東京理科大学卒業後、国内独立系コンサルティングファームに入社し、IT・業務コンサルタント兼マネージャーとして業務最適化やシステム導入プロジェクトを経験。その後プライシングスタジオに入社し、執行役員兼ビジネス本部長として顧客のプライシング変革支援をリードする傍ら、自社の新規事業立ち上げの推進にも従事。

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目次

  • この記事でわかること
  • 基本情報
  • 2つの方式の定義
  • リストプライシングとは
  • セールスプライシングとは
  • 使い分けの判断基準
  • リストプライシングが適する場面
  • セールスプライシングが適する場面
  • 判断フレームワーク
  • ハイブリッドアプローチ
  • 階層別の使い分け
  • 移行のタイミング
  • 請求への影響
  • リストプライシングの請求
  • セールスプライシングの請求
  • 運用負荷の比較
  • よくある質問(FAQ)
  • Q1. 価格を公開しないデメリットは?
  • Q2. 値引き交渉への対応は?
  • Q3. 既存顧客と新規顧客で価格が異なる場合は?
  • まとめ
  • 主要ポイント
  • 次のステップ
  • 参考リソース
  • 価格戦略

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