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AIサマリー
a16z創業者Marc Andreessenが明かすAI市場の未来。DeepSeek等中国勢の台頭、usage vs value-based pricing、大モデル vs 小モデル論争、規制問題まで。前例のない成長率とトリリオンダラー級の未解決問題を徹底解説。
a16z共同創業者Marc Andreessenが、AI市場の未来について率直に語った約1時間のAMAセッション。「これは人生で最大の技術革命。インターネットよりも大きい」と位置づけながらも、「ChatGPT登場から3年、まだ序盤」と冷静に分析します。
本記事では、このAMAから浮かび上がるAI市場の全体像を徹底解説します。
元動画: この記事は以下のAMAセッション(英語・約1時間)を基に作成しています。
全編を視聴したい方はこちら:YouTube: Marc Andreessen AI AMA 2025
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ソース | YouTube AMA(約1時間) |
| 話者 | Marc Andreessen(a16z共同創業者) |
| トピック | AI市場動向、ビジネスモデル、競争環境、規制、投資戦略 |
| カテゴリ | 対談解説 |
| 難易度 | 中級-上級 |
| 読了時間 | 20-25分 |
Marc Andreessenは、シリコンバレーを代表するテクノロジー起業家・投資家です。1993年、22歳でNetscape Navigatorを共同開発し、インターネット革命の立役者となりました。Netscapeの大成功後、Ben Horowitzと共に2009年にAndreessen Horowitz(通称a16z)を設立。
a16zは現在、運用資産350億ドル超のVC企業として、Facebook(初期投資)、Airbnb、GitHub、Slack、Coinbase等に投資し、全て大成功を収めています。
2022年以降、a16zはAI分野に大規模投資を展開。OpenAI、Anthropic等の基盤モデル企業から、Cursor等のアプリケーション企業まで幅広くカバーしています。Marc自身も、AI技術・市場動向について積極的に発信し、業界に大きな影響力を持ちます。
Marcは冒頭でこう宣言しました。
"This is the biggest technological revolution of my life. This is clearly bigger than the internet. The comps on this are things like the microprocessor and the steam engine and electricity."
「これは私の人生で最大の技術革命です。明らかにインターネットよりも大きい。これと比較できるのはマイクロプロセッサ、蒸気機関、電気のようなものです。」
— Marc Andreessen, a16z共同創業者
Netscape創業者として「インターネット革命」を牽引した彼が、AIを「インターネット以上」と評価する重みは計り知れません。
興味深いのは、Marcがこの革命を「まだ序盤」と位置づけている点です。
「80年の基礎研究が結実してから、まだたった3年」というタイムスパンで見れば、確かに序盤です。
AI革命のタイムラインMarcが最も強調したのは、AI企業の異常な成長速度です。
"This new wave of AI companies is growing revenue like just actual customer revenue, actual demand translated through to dollars showing up in bank accounts at an absolutely unprecedented takeoff rate."
「この新しいAI企業の波は、実際の顧客収益、つまり実需要がドルに換算されて銀行口座に入金される速度が、まったく前例のない離陸率で成長しています。」
— Marc Andreessen
なぜこれほど速いのか?
従来の技術革命とは異なり、インフラがすでに整っている状態で新技術が登場したため、普及速度が桁違いなのです。
Marcは重要な指摘をしました。
"These are trillion dollar questions, not answers. But once somebody proves that it's capable, it seems to not be that hard for other people to be able to catch up, even people with far less resources."
「これらはトリリオンダラー級の『質問』であって、答えではありません。しかし誰かがそれが可能だと証明すると、他の人々、はるかに少ないリソースしか持たない人々でさえ、追いつくことはそれほど難しくないようです。」
— Marc Andreessen
この言葉が意味するのは:
これはAI市場の重要な特性です。例えば:
「最初の証明」には膨大な投資とリスクが必要ですが、証明後はオープンソース化や模倣で急速に民主化されます。
Marcが暗に指摘した「トリリオンダラー級の質問」の例:
これらが証明されれば、それぞれ数兆ドル規模の市場が生まれます。
現在、インフラ層(AWS、Azure、OpenAI API、Anthropic API等)は**usage-based pricing(従量課金)**が主流です。
Usage-based pricingの特徴:
問題点:
AIコストはムーアの法則より速く下落しているため、単価下落 = 収益減のリスクがあります。
一方、Marcが注目するのは**value-based pricing(価値ベース価格設定)**です。
Value-based pricingとは?
顧客が得る「価値」に基づいて価格を設定する方法。例えば:
実際に、一部のAI企業は月額200-300ドルの高価格帯サブスクリプションを実験中です。
なぜこの価格帯が可能か?
2つのpricing戦略Marcは「人間の労働価値」を価格設定の基準にすることの重要性を強調しました。
従来の考え方(コストベース):
新しい考え方(価値ベース):
この転換が起これば、AI企業の収益性は劇的に向上します。
Marcは「god models(超大規模モデル)」という言葉を使いました。これはGPT-4、Claude 3、Gemini Ultra等の最先端モデルを指します。
god modelsの特徴:
しかし、Marcが指摘する重要なパターンがあります。
「6-12ヶ月で小モデルが大モデルに追いつく」
大モデル vs 小モデル比較Marcが最も驚いたのは、中国DeepSeek社の「Kimi」です。
"There's this Chinese company... the new version of Kimmy is a reasoning model that is basically a replication of the reasoning capabilities of GPT-5... you can run it on one MacBook or two MacBooks."
「中国企業があって...Kimiの新バージョンは推論モデルで、基本的にGPT-5の推論能力を再現しています...MacBook 1台か2台で動かせます。」
— Marc Andreessen
Kimiの衝撃:
これは「小モデル化」の速度が予想以上に速いことを示しています。
Marcはコンピュータ業界の歴史と類似していると指摘しました。
歴史的パターン:
AI業界も同じパターンを辿る可能性が高いとMarcは見ています。
AI業界のパターン:
Marcは「オープンソース vs クローズドソース」の論争について、「まだ決着していない」と明言しました。
クローズドソース陣営:
オープンソース陣営:
Marcはオープンソースの利点を3つ挙げました。
中国がオープンソースモデル(DeepSeek、Kimi、Qwen等)を積極的にリリースしているのは、この戦略的メリットを理解しているからです。
一方、クローズドソースの利点は:
Marcは「両方が共存する未来」を予測しています。
共存のシナリオ:
これはWindowsとLinuxの関係に似ています。Windowsは常に最先端のUXを提供し、Linuxは安定性と低コストで普及しました。
Marcは明確に述べました。
AI開発は事実上「米国 vs 中国」の二強競争
欧州、日本、インド等は技術的に遅れており、実質的に米中の競争です。
中国の主要AI企業は以下の3-6社です。
| 企業名 | 主要プロダクト | 親会社/独立 |
|---|---|---|
| DeepSeek | Kimi(推論モデル) | 独立 |
| Alibaba | Qwen(オープンソース) | Alibaba |
| Tencent | Hunyuan | Tencent |
| Baidu | Ernie | Baidu |
| ByteDance | Doubao | ByteDance |
| Moonshot | Kimi(別のKimi) | 独立 |
Marcが特に驚いたのは、DeepSeekの成長速度です。
DeepSeekの実績:
「トリリオンダラー級の質問が証明されれば、追いつくのは容易」というMarcの指摘の好例です。
興味深いのは、Marcが「中国の存在が米国の規制過剰を抑制する健全な圧力として機能している」と評価している点です。
どういうことか?
中国という強力な競合の存在が、皮肉にも米国のイノベーションを守っているのです。
Marcは「連邦レベルでのAI規制リスクは低下している」と分析しました。
理由:
一方、州レベルでは混乱が広がっています。
驚愕の事実:
これはAI企業にとって悪夢です。50州すべてに対応するコストは膨大です。
Marcが最も警戒したのは、カリフォルニア州のSB1047法案です。
SB1047の危険性:
具体例:
これは「ナイフを作ったメーカーが殺人事件の責任を負う」に等しいと、Marcは批判しました。
幸いSB1047は知事の拒否権で回避されましたが、コロラド州でも同様の法規制が提出され、現在撤回が検討されています。
この「下流責任」問題は、オープンソースコミュニティに壊滅的打撃を与えます。
下流責任とは?
開発者が予見できない、第三者の使用方法に対しても責任を負わされること。
影響:
Marcは「これは本質的にオープンソース開発を違法化する試み」と強く批判しました。
Marcは重要な指摘をしました。
"The price of AI is falling much faster than Moore's law. All of the inputs into AI on a per-unit basis, the costs are collapsing."
「AIの価格はムーアの法則よりもはるかに速く下落しています。AI投入要素の単位コストは崩壊しつつあります。」
— Marc Andreessen
ムーアの法則とは?
AIはそれより速い:
具体的なコスト構造を見ると:
AIの主要コスト:
このうち、計算コストは急速に低下中です。
計算コストの推移:
Marcは「5年後にはAIチップは安価で豊富に供給される」と予測しました。
5年後の世界:
つまり、AI利用コストは実質ゼロに近づくのです。
現在、AIチップ市場はNvidiaが独占しています。
Nvidiaのシェア:
しかし、競合が急速に参入中です。
主要競合:
| 企業 | プロダクト | 戦略 |
|---|---|---|
| AMD | MI300シリーズ | Nvidia対抗GPU |
| TPU(Tensor Processing Unit) | 自社AI専用チップ | |
| AWS | Trainium、Inferentia | 自社AI専用チップ |
| Microsoft | Maia | 自社AI専用チップ |
| Huawei | Ascend(昇騰) | 中国国産GPU |
| 多数のスタートアップ | Groq、Cerebras等 | 専用AI加速チップ |
AIチップ競争の構図Marcは「歴史的に、不足は供給過剰を生み、供給過剰は不足を生む」と指摘しました。
歴史的パターン:
AIチップも同じ道を辿る:
Marcは重要な指摘をしました。
GPUは偶然AIに適していただけ
専用AI設計チップが台頭中:
これらは「AI専用設計」のため、GPUより10-100倍効率的です。
AI業界では「GPTラッパー」という批判がありました。
GPTラッパーとは?
OpenAI APIを呼び出すだけのアプリ。技術的に浅く、差別化困難。
しかし、Marcはこの批判を否定しました。
"I'm very skeptical that the form and shape of the products that people are using today is what they're going to be using in 5 or 10 years. I think things are going to get much more sophisticated from here."
「今日人々が使っている製品の形や姿が、5年後や10年後に使われているものと同じだとは、私は非常に懐疑的です。ここからさらに洗練されていくと思います。」
— Marc Andreessen
実際には、AI企業は急速に進化しています。
進化のパターン:
なぜ50-100モデル?
さらに、AI企業は「自社モデル開発」へ後方統合しています。
後方統合とは?
外部API依存から脱却し、自社でモデルを訓練・運用すること。
理由:
Cursorは「GPTラッパー批判」を覆す代表例です。
Cursorの進化:
つまり、当初「GPTラッパー」と批判された企業が、深い技術企業に進化しているのです。
Marcは、VC業界の独自の強みを語りました。
"When a company is confronted with fundamentally open strategic or economic questions, it's often a big problem. Companies need to answer these questions and if they get the answers wrong, they're really in trouble. Venture, we can bet on multiple strategies at the same time."
「企業が根本的にオープンな戦略的・経済的問題に直面すると、それは大きな問題になることが多い。企業はこれらの質問に答える必要があり、間違った答えを出すと本当に困ったことになる。ベンチャーキャピタルは、複数の戦略に同時に賭けることができます。」
— Marc Andreessen
企業の制約:
VCの強み:
a16zは「全象限に投資」するアプローチを取っています。
AI企業の4象限マトリクスa16zの投資領域:
興味深いのは、a16zが「矛盾する戦略」にも同時投資している点です。
矛盾の例:
企業は「どちらか」を選ばなければなりませんが、VCは「両方」に賭けられるのです。
Marcは面白い観察をしました。
"If you run a survey or a poll of what American voters think about AI, they're all in a total panic. 'Oh my god, this is terrible. It's going to kill all the jobs.'"
「アメリカの有権者がAIについてどう思っているかを調査すると、全員が完全にパニック状態です。『なんてことだ、これはひどい。すべての仕事を奪う』と。」
— Marc Andreessen
世論調査の結果:
しかし、実際の行動(revealed preferences)は正反対です。
revealed preferencesとは?
経済学用語で「顕示選好」。人々が口で言うこと(stated preferences)ではなく、実際の行動から明らかになる真の選好。
実際の行動:
世論調査 vs 実際の行動Marcが挙げた具体例:
消費者の使い方:
ビジネスの使い方:
Marcは「新技術への恐怖は歴史的に繰り返されてきた」と指摘しました。
過去の例:
| 技術 | 恐怖の内容 | 実際の結果 |
|---|---|---|
| 印刷機(1450年) | 「知識の独占が崩れる」 | 識字率向上、ルネサンス |
| 自動織機(1800年代) | 「織工の雇用が消滅」 | ラッダイト運動、しかし新産業が創出 |
| コンピュータ(1960年代) | 「失業率50%」 | Triple Revolution Committee、杞憂に終わる |
| インターネット(1990年代) | 「既存産業が壊滅」 | 新産業創出、雇用増加 |
AI恐怖も、歴史的パターンの繰り返しに過ぎないとMarcは見ています。
Marcは欧州のAI規制を痛烈に批判しました。
EU AI Actとは?
2024年に施行された、世界初の包括的AI規制法。
規制内容:
結果:
具体的な影響:
Appleの対応:
Metaの対応:
スタートアップの対応:
Marcは欧州の姿勢を「規制でリードする」と皮肉りました。
欧州の論理:
Marcの批判:
しかし、欧州内部でも見直し機運が高まっています。
Mario Draghi報告書(2024年9月):
元ECB総裁Mario Draghiが欧州の競争力について報告書を発表。
主要指摘:
この報告書を受けて、EU内部でもAI Act見直しの議論が始まっています。
Marcは「a16zは2年前にAI中心に組織再編した」と明かしました。
再編内容:
American Dynamism部門とは?
国家安全保障、防衛、インフラ等の「国家的に重要な領域」に投資する部門。AI、宇宙、サイバーセキュリティ等が対象。
Marcは「AI波に乗ることはVC業界の生存戦略」と強調しました。
歴史から学ぶ波の重要性:
成功例:
失敗例:
a16zは「AI波を絶対に逃さない」と決意しています。
Marc Andreessenによると、現在のAI企業の成長は「前例のない離陸率」です。実顧客収益が銀行口座に入金される速度が過去最速。消費者向けは50億人のモバイルユーザーに即座にリーチ可能で、企業向けはビジネス価値(顧客サービス向上、アップセル、チャーン削減等)が直接的に測定可能です。
従来の技術革命(インターネット、モバイル等)と比較しても、収益化までの時間が圧倒的に短いのが特徴です。
これは誤解です。当初「GPTラッパー」と批判されたAI企業も、実際には急速に進化しています。
進化の例:
Cursor(AIコーディングツール)等が代表例で、当初はOpenAI API依存でしたが、現在は自社モデル開発+複数モデル併用で、GitHub Copilotを上回る性能を実現しています。つまり、深い技術企業に進化しているのです。
はい。Marc Andreessenは「AIの価格はムーアの法則よりもはるかに速く下落している。AI投入要素の単位コストは崩壊しつつある」と指摘しています。
具体例:
5年後にはAIチップは安価で豊富に供給され、AI利用コストは実質ゼロに近づくとMarcは予測しています。
KimiはGPT-5レベルの推論能力をMacBook 1-2台で実現しています。DeepSeekは12ヶ月未満でOpenAI/Anthropicレベルに到達しました。
中国は3-6社の主要AI企業(DeepSeek、Qwen/Alibaba、Kimi/Moonshot、Tencent、Baidu、ByteDance)を擁し、急速にキャッチアップ中です。
Marcは「トリリオンダラー級の質問が証明されれば、追いつくのは容易」と指摘しており、DeepSeek/Kimiはその好例です。AI市場は「最初の証明」には膨大な投資が必要ですが、証明後は模倣が容易なのです。
SB1047はEU AI Actを模倣し、オープンソース開発者に下流責任を課す内容でした。
具体的には:
これは「ナイフを作ったメーカーが殺人事件の責任を負う」に等しく、オープンソースコミュニティに壊滅的打撃を与える内容でした。幸い知事の拒否権で回避されましたが、イノベーションを阻害する危険な法案だったとMarcは批判しています。
5年後には供給過剰へ転換する可能性が高いです。
理由:
DRAMバブル、ハードディスクバブル、スマホバブル等、過去の半導体業界は同じパターンを繰り返してきました。AIチップも同じ道を辿るとMarcは予測しています。
世論調査では「パニック、雇用喪失の恐怖」ですが、実際の行動(revealed preferences)では全員がAI使用中です。
具体例:
歴史的に新技術への恐怖は繰り返されてきました(印刷機、自動織機、コンピュータ、インターネット等)。しかし実際には、新技術は新産業を創出し、雇用は増加してきました。AI恐怖も、歴史的パターンの繰り返しに過ぎないとMarcは見ています。
経済学用語で「顕示選好」のこと。人々が口で言うこと(stated preferences)ではなく、実際の行動から明らかになる真の選好を指します。
AI文脈での意味:
このギャップが示すのは、人々は「建前では反対」だが「本音では受容している」ということです。Marcはこのギャップに注目し、社会のAI受容は世論調査よりも進んでいると分析しています。
Marc Andreessenが指摘した「usage-based vs value-based pricing」の議論は、日本企業にとっても重要です。
日本企業が考えるべきこと:
ネクサフローでは、AIプライシング設計と価値測定の支援を行っています。
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本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。
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