Nexaflow
サービス導入事例ブログ勉強会会社情報
資料請求お問い合わせ

Nexaflow

社会を支える人々と伴に、
未来の希望を創る

サービス

  • プライシング戦略支援
  • Nexalog
  • AIトランスフォーメーション

会社情報

  • 会社概要
  • ミッション
  • メンバー

リソース

  • ブログ
  • 導入事例
  • お知らせ
  • 資料ダウンロード

© 2026 Nexaflow Inc. All rights reserved.

利用規約プライバシーポリシー

ブログ

AI、データ活用、業務改善に関する最新情報やNexaflowの取り組みをお届けします

ホーム/スタートアップ分析/Snowflake徹底解説|史上最大IPO・Buffettが投資した理由【時価総額10兆円】
Snowflake徹底解説|史上最大IPO・Buffettが投資した理由【時価総額10兆円】

Snowflake徹底解説|史上最大IPO・Buffettが投資した理由【時価総額10兆円】

51分で読める|2026/02/05|
SnowflakeIPOWarren BuffettData Cloud時価総額

AIサマリー

Snowflake(スノーフレーク)は、ソフトウェア企業史上最大のIPOを達成したData Cloud企業。Warren Buffettが投資、Frank Slootman CEOの経営手腕、Databricksとの競争戦略、Cortex AIの今後まで徹底分析。

Snowflakeとは?(30秒で理解)

Snowflake(スノーフレーク)は、クラウド上で動作するデータウェアハウスです。企業の膨大なデータを一元管理し、SQLで高速に分析できます。最大の特徴は「ストレージとコンピュートの分離」——使った分だけ課金される従量課金モデルで、AWS・Azure・GCPすべてで稼働。Fortune 500の約50%が導入済み。


2020年9月16日、ウォール街に衝撃が走りました。

「Buffettがテック企業に投資した」——この一報は、投資の世界では「あり得ない」ニュースでした。

Warren Buffettは、テクノロジー企業への投資を長年避けてきた人物です。Apple以外のテックIPOには、一度も参加したことがありませんでした。Ford Motor Company以来のIPO投資。それがテック企業だというのです。

しかし、この日は違いました。Berkshire Hathawayは$250M(約375億円)を投じ、ソフトウェア史上最大のIPOに参加します。

初日の株価は公開価格の2倍以上に跳ね上がり、時価総額は**$70B(約10.5兆円)**に到達。しかしこの「大成功」の裏で、創業者たちは複雑な感情を抱いていました。

なぜBuffettは「テックIPOには投資しない」という自身のルールを破ったのか?

そして、なぜ創業者たちは「沈む気持ち」だったのか?

本記事は、その答えを探る旅です。

本記事の表記について

  • 金額の日本円換算は1ドル=150円で計算しています
  • 下線付きの用語にカーソルを合わせると解説が表示されます

この記事でわかること

  1. Snowflakeの技術革新: ストレージとコンピュートの分離がなぜ「革命」だったのか
  2. 創業者の物語: Oracle「王冠の宝石」と呼ばれたエリート建築家2人が、なぜ17年間のキャリアを捨てたのか
  3. IPOの舞台裏: $4.88B(約7,320億円)をテーブルに残した「史上最大の機会損失」
  4. Frank Slootmanの正体: 「極度に対決的」と自ら語るCEOの功罪
  5. 隠された課題: Instacartが年間$50M(約75億円)を支払うコスト問題

基本情報

項目内容
会社名Snowflake Inc.
設立年2012年
本社ボーズマン、モンタナ州
従業員数約7,000名
時価総額約$70B(約10.5兆円)(NYSE: SNOW)
総調達額$1.4B(約2,100億円)(IPO前)
顧客数10,000社以上
Snowflakeの全体像Snowflakeの全体像

Snowflakeとは?Data Cloudの全貌

従来のData Warehouseは「行き止まり」だった

2012年以前、企業のデータ分析には大きな壁がありました。

オンプレミスのData Warehouse(データウェアハウス:企業の統合データ保管庫)。この仕組みには、4つの致命的な課題がありました。

  1. スケーラビリティの限界: データ量が増えたら、ハードウェアを買い足す必要がある
  2. 固定コストの呪い: 夜間や週末、誰も使わない時間帯でもサーバーは稼働し続ける
  3. データサイロ: 部門間でのデータ共有は、毎回IT部門への依頼が必要
  4. バッチ処理の遅さ: リアルタイム分析は夢のまた夢

「データは新しい石油だ」と言われ始めた時代。しかし、その石油を精製する設備が追いついていなかったのです。

Snowflakeの革命:「分離」というシンプルな発想

Snowflakeの創業者たちは、問題の本質を見抜きました。

「ストレージとコンピュートを分離すればいい」

この発想は、当時としては異端でした。従来のデータベースでは、データを保存する場所(ストレージ)と、データを処理する場所(コンピュート)は一体化しているのが常識だったからです。

Snowflakeは、この常識を覆します。

┌─────────────────────────────────────────────┐
│              Snowflake Architecture          │
├─────────────────────────────────────────────┤
│  ┌─────────────────────────────────────┐    │
│  │     Cloud Services Layer            │    │
│  │  (認証、最適化、メタデータ、セキュリティ)  │    │
│  └─────────────────────────────────────┘    │
│  ┌─────────────────────────────────────┐    │
│  │     Virtual Warehouse (Compute)     │    │
│  │  (独立してスケール可能)               │    │
│  └─────────────────────────────────────┘    │
│  ┌─────────────────────────────────────┐    │
│  │     Storage Layer                   │    │
│  │  (AWS S3 / Azure Blob / GCS)        │    │
│  └─────────────────────────────────────┘    │
└─────────────────────────────────────────────┘

この分離がもたらした恩恵:

  • 使った分だけ課金: コンピュートは秒単位で起動・停止可能。使わない時間は$0
  • 無限のスケーラビリティ: ストレージはクラウドの限界まで拡張可能
  • データ共有の民主化: 同じデータに複数のチームが同時アクセス可能

「シンプルなアイデアほど強い」——Snowflakeの成功は、この原則を証明しています。

主要機能

機能説明
Data WarehouseSQLベースのアナリティクス
Data Lake非構造化データの保存・処理
Data Sharing組織間でのデータ共有・マーケットプレイス
SnowparkPython/Java/Scalaでの開発(SQLだけでなくプログラミング言語でデータ処理)
Cortex AI生成AI機能、LLM Functions

なぜこのような「革命」が可能だったのか?その答えは、創業者たちの異常な経歴にあります。


創業者の物語:Oracleの「王冠の宝石」たちの反逆

「エリート中のエリート」の17年

Benoit DagevilleとThierry Cruanes。

この2人は、データベース業界の巨人・Oracleで17年間を共に過ごした同僚——いえ、それ以上の存在でした。

彼らは**「Oracleの王冠の宝石」**と呼ばれる厳重に守られた少数精鋭の建築家集団の一員でした。Oracleが長年市場での地位を維持できた主要な理由となった技術者たちです。

Benoitは1996年、フランスの大学でデータベースの博士号を取得後、カリフォルニア州レッドウッドショアーズのOracle本社に入社。Oracle Query Optimizer(クエリを最適化するエンジン)開発のリーダーとして、データベースの心臓部を設計してきました。

Thierryも同じくフランス出身。Database Engineの開発に17年を捧げ、Oracleの技術的優位性を支えてきた人物です。

Benoitは16年間の在籍中に出会ったThierryを**「bro(兄弟)」**と呼び、非常に深い友情を育みました。

2人は、データベースの「内側」を知り尽くしていました。そして、その「限界」も。

Larry Ellisonに相談しなかった理由

2012年当時、2つの革命が起きていました。しかし、Oracleはそのどちらにも参加していませんでした。

  1. クラウド革命: 彼らにとって「クラウドは分析、リソース、弾力性における奇跡」であり、「使用量にピークと谷があるアナリティクスワークロードにとってゲームチェンジャー」でした
  2. サービス革命: 新たに台頭する「as a Service」のマインドセット

BenoitとThierryは、ある確信を持ちます。

"From our experience at Oracle, we knew the limitations of existing Data Warehouses inside and out. By redesigning from scratch for the new cloud infrastructure, we were convinced that entirely new possibilities would open up."

「Oracleでの経験から、既存のData Warehouseの限界を知り尽くしていました。クラウドという新しいインフラに合わせて、ゼロから設計し直すことで、まったく新しい可能性が開けると確信していました」

— Benoit Dageville, 共同創業者

彼らはOracle創業者のLarry Ellisonに相談しませんでした。

なぜなら、「すでに成熟したデータベース製品を持つOracleでは、このような製品を作れる可能性がゼロだと分かっていたから」です。

これは、17年間のキャリアを捧げた会社への「裏切り」とも取られかねない決断でした。同僚からは「裏切り者」と見られるリスクもあったでしょう。

しかし彼らは、過去を捨てて未来を選びました。

サンマテオのアパートで描いた設計図

2012年、2人はOracleを去ります。

次に彼らが向かったのは、オフィスではありませんでした。サンマテオのアパートの一室です。

何ヶ月もの間、2人はホワイトボードに向かい続けました。

Benoitは振り返ります:

"We worked solely in my apartment, for many months. We developed a scalable architecture by leveraging the resources of the cloud, and the very blueprint of the company was conceived on a whiteboard."

「私たちは何ヶ月もの間、私のアパートだけで働きました。クラウドのリソースを活用したスケーラブルなアーキテクチャを開発し、会社の設計図そのものがホワイトボードで構想されました」

— Benoit Dageville, 共同創業者

Oracle本社の豪華なオフィスから、アパートのホワイトボードへ。この風景の変化が、彼らの覚悟を物語っています。

「後から加わった」第3の創業者

ここで、物語は意外な展開を見せます。

Snowflakeには3人目の共同創業者がいます。Marcin Zukowski。しかし、彼の合流は典型的な創業ストーリーとは異なります。

Marcinは、Snowflakeの構想段階にはいませんでした。

2012年10月、BenoitとThierryと以前から友人だったMarcinに「こんな会社が存在する」と連絡がありました。Marcinは当時、自らが共同創業したデータベース企業Vectorwiseの仕事をしていました。

Sutter Hill VenturesのManaging DirectorであるMike Speiserが、Marcinに会いに来ました。何週間もの間、彼らはレストランで話し続けました。

Marcin自身の言葉:

"And at one moment, something in my brain clicked, and I decided to do it. A few months later, I was in California, and we were building Snowflake."

「ある瞬間、私の脳の中で何かがカチッとはまり、やることに決めました。数ヶ月後、私はカリフォルニアにいて、Snowflakeを作っていました」

— Marcin Zukowski, 共同創業者

Marcinが招かれた理由は明確でした。彼が発明した技術——ベクトル化実行(vectorised execution)と新しい軽量圧縮方法——をSnowflakeのアーキテクチャに組み込むためでした。

オランダ国立情報科学・数学研究所(CWI)での博士課程の研究が、これらの革新の基盤となっていました。

Oracle出身の2人と、アカデミックな研究者1人。この異色の組み合わせが、Snowflakeの技術的優位性を生み出したのです。

「インキュベートする」投資家

もう一人、Snowflakeの誕生に欠かせない人物がいます。

Mike Speiser。Sutter Hill VenturesのManaging Directorです。

彼は典型的なVCではありません。Snowflakeのコンセプトを創業者たちと一緒に考案しました。

2012年、元Oracle エンジニアのBenoitとThierryを説得してSnowflakeを創業させた後、Speiser自身が創業CEOに就任。数年間、SnowflakeはSpeiserのメインの仕事でした。

Sutter Hill Venturesの関与度は尋常ではありませんでした:

  • Snowflakeにオフィススペースを提供
  • 初期プロダクトの開発を支援
  • 売上が増加するにつれ、後続ラウンドにも継続投資

リターン:

  • 初期投資: $200M(約300億円)未満
  • 2020年9月のIPO後の保有株価値: $12B(約1.8兆円)
  • IPO直前時点で、会社の20%以上を所有

そしてSpeiserが下した最も重要な決断——それは、Frank Slootmanの引き抜きでした。

創業者たちの「静かな革命」は、ここから「爆発的な成長」のフェーズに入ります。しかし、その成長を牽引したSlootmanという人物は、一筋縄ではいかない存在でした。


Frank Slootman:「極度に対決的」なリーダー

ヨットを売った男

Frank Slootmanは、引退していました。

Data Domain(2007年IPO)とServiceNow(2012年IPO)という2つのエンタープライズ・テック企業をIPOに導いた実績を持つベテラン。十分な成功を収めた彼は、ヨット競技に打ち込む日々を送っていました。

そこへMike Speiserから電話が来ました。Pure Storageの取締役会で彼を知っていたSpeiserは、Snowflakeのポテンシャルを熱く語りました。

Slootmanは引退を中断し、ヨットの一部を売却、一部を譲渡して、Snowflakeに加わりました。

2019年、CEOに就任。彼の下で、Snowflakeは史上最大のソフトウェアIPOへと駆け上がります。

「私のCEOとしての役割は『極度に対決的』です」

Slootmanのリーダーシップスタイルは、シリコンバレーでも異質でした。

彼自身の言葉:

"My CEO role is 'insanely confrontational'."

「私のCEOとしての役割は『極度に対決的』です」

— Frank Slootman

彼の著書『Amp It Up』(2022年)で展開された哲学:

  • 平凡さへの宣戦布告
  • 現状打破
  • 毎日対立的な選択をする
  • ミッションへの執拗な集中

Snowflakeでは**「挑戦の文化」を設定しました。会議の大部分を「何がうまくいっているか」ではなく、「何がうまくいっていないか」を議論することに費やす**。

彼はElon Muskに例えられることもありました。

「去るべき人は去るべきです」

この哲学には、代償もありました。

新規採用者の一部は数週間で退職。「ServiceNowのペースと強度に耐えられず、システムに大きなショックだった」と告白する人もいました。

従業員の離職について尋ねられたSlootmanの回答:

"Those who should leave should leave. That's the beauty of it... you start attracting the right people and losing the wrong ones. So it's actually perfect."

「去るべき人は去るべきです。これが素晴らしい点です...正しい人を引き付け、間違った人を失い始める。だから実際には完璧です」

— Frank Slootman

冷徹とも取れる言葉。しかし、彼の下でSnowflakeは史上最大のソフトウェアIPOを達成します。

「物事を成し遂げる人を熱烈に受け入れ、そうでない人を拒絶する文化」——これがSlootmanのSnowflakeでした。

では、そのIPOはどのように展開されたのでしょうか?


IPOの舞台裏:$4.88Bをテーブルに残した日

価格設定の葛藤

2020年9月、Snowflakeは史上最大のソフトウェアIPOに向けて準備していました。

価格設定の経緯:

  1. 当初の目標レンジ: $75/株
  2. 修正レンジ: $100-$110/株
  3. 最終価格: $120/株 — 目標レンジを超える価格設定

背景には投資家の旺盛な需要がありました。しかし、ここに内部の葛藤がありました。

Goldman Sachsはさらなる値上げを主張していたとされますが、CFOのMike Scarpelliは$100/株を超えることに反対していました——「馬鹿げて見えることを恐れて」。

結果として$120/株で決定。しかし、これは「控えめすぎる」価格設定だったことが、初日の取引で明らかになります。

時価総額・株価推移:IPO初日の狂騒

2020年9月16日の取引:

時点株価
公開価格$120/株
初値$245/株(公開価格の2倍以上)
最高値$319/株
終値$253.93/株(+112%)

初日時価総額: $70B(約10.5兆円)

Snowflakeは2,800万株を売却し、$3.4B(約5,100億円)を調達しました。

「史上最大の機会損失」

しかし、この大成功には影の側面がありました。

Snowflakeは$4.88B(約7,320億円)を「テーブルに残した」 — これは12年間で最大の未取得額です。

$120/株よりはるかに高い価格を払う意思のある投資家は:

  • 株を全く取得できなかったか
  • 希望量のわずかな割合しか取得できませんでした

そしてSnowflakeがデビューすると、彼らが大挙して押し寄せ、株価を112%押し上げました。

もし公開価格を$200/株に設定していたら、Snowflakeは数十億ドル多く調達できたかもしれません。

創業者たちの「沈む気持ち」

ここに、この記事の冒頭で触れた「謎」への答えがあります。

興味深いことに、創業者たちは喜んでいませんでした。

共同創業者Thierry Cruanesの言葉:

"We had a sinking feeling because it was a reflection of the expectation that everybody else had on us."

「沈む気持ちでした。なぜなら、それは他のすべての人が私たちに持っている期待の反映だったからです」

— Thierry Cruanes, 共同創業者

Benoit Dagevilleも付け加えました:

"I would have rather Snowflake started with a lower valuation."

「Snowflakeはもっと低い評価額でスタートした方が良かったと思います」

— Benoit Dageville, 共同創業者

高すぎる期待。それが彼らの恐れでした。

サンマテオのアパートでホワイトボードに向かっていた2人は、今や$70Bの期待を背負うことになったのです。

Buffettの舞台裏

このIPOで最も注目を集めたのは、Warren BuffettのBerkshire Hathawayが$250M(約375億円)を投資したことです。

これはBuffettにとって:

  • Ford Motor Company以来初のIPO投資
  • 史上初のテックIPO投資

Salesforceも同時に$250M(約375億円)を投資しました。

誰が決めたのか?

Berkshireの保険事業が長年Snowflakeのクラウドベースのデータウェアハウスを使用していたため、Buffettの側近であるTodd CombsがSnowflakeの製品と能力を熟知していました。

Slootman自身が語ったところによると、Snowflakeとのやり取りのほとんどはTodd Combsとのものでした。

Slootmanの戦略:

Slootmanは、Buffettを投資家として引き込むことを数ヶ月前から追求していました。その理由:

"To raise the stature of Snowflake as a brand."

「Snowflakeをブランドとしての格を上げるため」

— Frank Slootman

彼は、10億ドル規模のポジションを買い、長期保有する可能性が高い主要な機関投資家をSnowflakeの株主として引き付けることを目指していました。

この戦略は大成功しました。

資金調達の歴史

Snowflakeの成長指標Snowflakeの成長指標
ラウンド日付調達額評価額
Series A2012年$5M(約7.5億円)-
Series B2014年$26M(約39億円)-
Series C2017年$105M(約158億円)$1.5B(約2,250億円)
Series D2018年$263M(約395億円)$3.5B(約5,250億円)
Series E2020年$479M(約719億円)$12.4B(約1.86兆円)
IPO2020年9月-$33B(約4.95兆円)(初日終値$70B・約10.5兆円)

※日本円換算は1ドル=150円で計算

収益成長の推移

会計年度売上高成長率
FY2020$265M(約398億円)-
FY2021$592M(約888億円)+124%
FY2022$1.2B(約1,800億円)+106%
FY2023$2.1B(約3,150億円)+69%
FY2024$2.8B(約4,200億円)+36%

成長率は鈍化しつつありますが、それでも年間36%成長。Fortune 500の約50%が導入済みという事実が、Snowflakeの市場浸透度を物語っています。

ここまで読むと、Snowflakeは順風満帆に見えます。しかし、すべてがうまくいっているわけではありません。


隠された課題:コスト批判と競争の現実

「予想の2-3倍」——Instacartの$50M

Snowflakeのビジネスモデル(従量課金)は、メリットでもありデメリットでもあります。

Instacartは年間$50M(約75億円)以上をSnowflakeに支出しています。

これは一例ではありません。多くの組織が予想より200-300%高いコストに直面しています。

Flexeraの2024 State of the Cloud Reportによると、「クラウド支出の管理」が2年連続で組織の最大の課題となっています。

データ転送(Egress)コストの罠

特に深刻なのは、データ転送料金です。

  • Snowflakeからデータを別のリージョンやクラウドプロバイダーに転送すると課金が発生
  • 100TBのエンタープライズワークロードの移行コストは、$500,000(約7,500万円)を超える可能性
  • この「データ重力」によるロック・インが、スイッチングの障壁を作っています

「一度導入したら抜け出せない」——これは「堀(moat)」とも言えますが、顧客にとっては痛みでもあります。

価格設定の複雑さ

Snowflakeはクレジットベースの従量課金モデルを採用しています。ウェアハウスサイズとエディションによってレートが変動し、予測が難しい。

専門家の警告:「ベンチマークテストの結果には懐疑的であるべき — 多くのことが結果を歪める可能性がある」

最適化による成功例

批判の一方で、適切な最適化による成功例も存在します:

  • BVK(マーケティング代理店): Snowflakeに切り替えてデータコストを約75%削減、年間数十万ドルの節約
  • AMN Healthcare: 年間約**$2.2M(約3.3億円)の節約**が見込まれている
  • 最適化ケーススタディ: 高度な追跡ソリューションにより、Snowflakeクレジット消費を30-40%削減

結論: コスト問題は、プラットフォームの選択ではなく、使い方とアーキテクチャ設計の問題である場合が多い


導入事例:Capital Oneが直面した「データの壁」

大量のトランザクションデータ、リアルタイムの不正検知

Capital Oneは、アメリカ有数のクレジットカード会社です。

毎秒数千件のトランザクション。その中から、不正利用を瞬時に検知しなければならない。従来のシステムでは、バッチ処理で翌日に分析するのが限界でした。

課題:

  • 大量のトランザクションデータをリアルタイムで分析できない
  • データサイロにより、部門間での情報共有に数日かかる
  • コンプライアンス要件への対応がボトルネックに

Snowflake導入後:

  • クエリ性能の大幅向上により、リアルタイム分析が可能に
  • 全社でのデータ共有基盤が整備され、意思決定が加速
  • コンプライアンス要件に準拠したデータガバナンスを実現

「データの壁」を越えた瞬間、Capital Oneのビジネスは変わりました。

主要顧客企業

  • テック: Adobe、Netflix、Instacart
  • 金融: Capital One、Western Union
  • 小売: Albertsons、Petco
  • ヘルスケア: 多数の医療機関
  • 公共: 米国政府機関

これらの企業がSnowflakeを選んだ理由は何か?競合との違いを見てみましょう。


競合分析:Databricksとの「聖戦」

2つの哲学の衝突

競合比較競合比較

データプラットフォーム市場は、2つの巨人の戦いの場となっています。

項目SnowflakeDatabricks
強みSQLアナリティクスAI/ML、非構造化データ
ターゲットデータアナリストデータエンジニア、データサイエンティスト
課金モデル従量課金従量課金
オープンソース限定的多数(Spark、Delta Lake)
株式市場上場(NYSE: SNOW)未上場

相反するベンチマーク結果

2024-2025年のベンチマーク結果は矛盾しています:

  • Snowflake有利: あるベンチマークでは、16のテストクエリで実世界のデータ最適化を行った場合、SnowflakeはDatabricksより58%高速で28%安価だった
  • Databricks有利: Databricksは、データストレージにおいてSnowflakeより低コスト — 特定の目的に応じて設定可能な異なるストレージ環境を提供

専門家の警告:「ベンチマークテストの結果には懐疑的であるべき」

Snowflakeの競争優位性

  1. 使いやすさ: SQLに特化した直感的なUI。データアナリストが即座に使い始められる
  2. データ共有: Snowflake Marketplaceにより、組織間のデータ共有が数クリックで完了
  3. パフォーマンス: クエリ最適化の自動化により、チューニング不要
  4. エコシステム: 豊富なパートナー・統合により、既存ツールとの連携が容易

Databricksの脅威

しかし、Databricksの猛追は止まりません。

Databricksは「AI/MLファースト」を掲げ、データサイエンティスト向けの機能を強化しています。生成AIの台頭により、「データ分析」から「AI活用」へのシフトが進む中、この違いは無視できません。

Snowflakeはこの脅威に、どう対応しようとしているのでしょうか?


AI時代への賭け:Cortex AIとCEO交代

2024年の主要動向

時期出来事
2024年Q1Cortex AI正式リリース
2024年2月28日Frank Slootman退任、Sridhar Ramaswamy CEO就任
2024年Q3Arctic(オープンソースLLM)リリース
2024年Q4Cortex Analystの強化

CEO交代劇——AI時代への舵切り

2024年2月28日、Snowflakeは衝撃的な発表をしました:

Frank Slootmanが退任し、Sridhar Ramaswamyが即座にCEO兼取締役に就任。

Slootmanは引き続き取締役会長を務めることになりました。

新CEO Sridhar Ramaswamyの経歴:

  • Google 15年: Google広告事業(検索、ディスプレイ、動画広告、アナリティクス、ショッピング、決済、旅行)のトップ
  • Googleでの在任中、AdWordsとGoogle広告事業を**$1.5B(約2,250億円)から$100B(約15兆円)超に成長**させた
  • Neeva創業者: 世界初のプライベートAI検索エンジン
  • 2023年5月、SnowflakeがNeevaを買収した際にSnowflakeに加わり、AI戦略を主導していた

Slootmanの説明

Slootmanは退任理由を説明しました:

"I was brought to Snowflake five years ago to help the company break out and scale. The board has run a succession process that wasn't based on arbitrary timeline, but instead, looked for an opportunity to advance the company's mission, well into the future. The arrival of Sridhar Ramaswamy through the acquisition of Neeva last year represented that opportunity."

「私は5年前、会社をブレイクアウトさせスケールさせるためにSnowflakeに招かれました。取締役会は、恣意的なタイムラインに基づくのではなく、会社のミッションを将来にわたって前進させる機会を探す後継プロセスを実施してきました。昨年Neevaの買収を通じてSridhar Ramaswamyが到着したことが、その機会を象徴しました」

— Frank Slootman

Frank Slootman: 「戦時」CEO — オペレーショナルエフィシエンシーとセールス実行に集中

Sridhar Ramaswamy: 「プロダクト」CEO — AI/ML、プロダクト革新に集中

この交代は、Snowflakeがデータウェアハウス企業からAIプラットフォーム企業への変革を目指していることを明確に示しています。

Cortex AI:Snowflake内でAIを使う

SnowflakeアーキテクチャSnowflakeアーキテクチャ

2024年に本格展開を開始したCortex AIは、Snowflake内でAI/MLを活用するための機能群です。

主要機能:

  • Cortex Search: ベクトル検索、**RAG(検索拡張生成)**の構築
  • Cortex Analyst: 自然言語でのデータ分析
  • Cortex Fine-tuning: **LLM(大規模言語モデル)**のファインチューニング
  • LLM Functions: SQL内でLLMを呼び出し

「データがある場所でAIを動かす」——これがSnowflakeのAI戦略の核心です。


まとめ:なぜBuffettは投資したのか?

冒頭の問いに戻りましょう。

なぜWarren Buffettは、「テックIPOには投資しない」という自身のルールを破ってまで、Snowflakeに投資したのでしょうか?

答えは、「堀(moat)」の深さです。

Snowflakeは、単なるソフトウェアではありません。一度導入すれば、企業のデータ基盤そのものになります。移行コストは膨大で、競合への乗り換えは現実的ではない。

Oracle「王冠の宝石」と呼ばれた2人が設計した「ストレージとコンピュートの分離」というシンプルなアーキテクチャ。これが、**データ時代の「堀」**を築き上げたのです。

しかし同時に、創業者たちの「沈む気持ち」も理解できます。$70Bという期待は、重荷でもあるのです。

Snowflakeの現在地

項目内容
強みクラウドネイティブなアーキテクチャ、SQLベースの使いやすさ、データ共有・マーケットプレイス
課題Databricksとの競争、AI領域での遅れ、コスト批判(Instacart $50M/年)
賭けCortex AIによるAI機能の強化、新CEOの下でのAI戦略加速

主要ポイント

項目内容
創業者Benoit Dageville & Thierry Cruanes(Oracle「王冠の宝石」出身)
技術革新ストレージとコンピュートの分離
IPO史上最大のソフトウェアIPO($70B時価総額)、$4.88B機会損失
リーダーシップFrank Slootman「極度に対決的」→ Sridhar Ramaswamy(AI戦略)
課題コスト批判(予想の2-3倍)、Databricksとの競争

今後の展望

AI時代において、「データを持つ者」が勝者になると言われています。

Snowflakeは、世界中の企業のデータを預かる「金庫」です。この金庫の上にAI機能を構築することで、「データ × AI」の統合プラットフォームを目指しています。

Databricksとの競争は激化する一方ですが、Snowflakeには10,000社以上の顧客基盤と、Fortune 500の約50%という導入実績があります。

Buffettが見た「堀」は、今もなお深い。

しかし、その堀の深さゆえに、顧客は「抜け出せない」という現実もあります。

次のステップ

  1. データ基盤担当者: Snowflakeの無料トライアルで、ストレージ/コンピュート分離のメリットを体験。ただし、コスト予測には細心の注意を
  2. AI活用を検討中の企業: Cortex AIの機能を確認し、既存データ基盤との統合可能性を評価
  3. 投資家: Databricksとの競争状況、AI戦略の進捗、コスト批判への対応をウォッチ

関連記事

➡️

【2025年版】AIデータ・アナリティクス革命:Databricks・Snowflake等5社を徹底解説

➡️

Databricks徹底解説:評価額620億ドル、データ・AIプラットフォームの王者を完全分析

➡️

Fivetran徹底解説:評価額56億ドル、データ統合の自動化を実現した企業を完全分析


参考リソース

Snowflake公式

  • Snowflake公式サイト
  • Cortex AI紹介ページ
  • Snowflake投資家情報

テックメディア報道

  • CNBC - Warren Buffett invests in Snowflake IPO
  • TechCrunch - Snowflake IPO
  • Fortune - Snowflake's IPO left $5B on the table

創業者・リーダーシップ関連

  • Computer Weekly - Snowflake founders reveal 'cuckoo cloud' vision
  • Medium - Marcin Zukowski's Unusual Co-founder Journey
  • Fortune - Frank Slootman calls role 'insanely confrontational'

本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。

この記事の著者

中村 知良

中村 知良

代表取締役

早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。

この記事をシェア

XFacebookはてなLinkedIn

目次

  • この記事でわかること
  • 基本情報
  • Snowflakeとは?Data Cloudの全貌
  • 従来のData Warehouseは「行き止まり」だった
  • Snowflakeの革命:「分離」というシンプルな発想
  • 主要機能
  • 創業者の物語:Oracleの「王冠の宝石」たちの反逆
  • 「エリート中のエリート」の17年
  • Larry Ellisonに相談しなかった理由
  • サンマテオのアパートで描いた設計図
  • 「後から加わった」第3の創業者
  • 「インキュベートする」投資家
  • Frank Slootman:「極度に対決的」なリーダー
  • ヨットを売った男
  • 「私のCEOとしての役割は『極度に対決的』です」
  • 「去るべき人は去るべきです」
  • IPOの舞台裏:$4.88Bをテーブルに残した日
  • 価格設定の葛藤
  • 時価総額・株価推移:IPO初日の狂騒
  • 「史上最大の機会損失」
  • 創業者たちの「沈む気持ち」
  • Buffettの舞台裏
  • 資金調達の歴史
  • 収益成長の推移
  • 隠された課題:コスト批判と競争の現実
  • 「予想の2-3倍」——Instacartの$50M
  • データ転送(Egress)コストの罠
  • 価格設定の複雑さ
  • 最適化による成功例
  • 導入事例:Capital Oneが直面した「データの壁」
  • 大量のトランザクションデータ、リアルタイムの不正検知
  • 主要顧客企業
  • 競合分析:Databricksとの「聖戦」
  • 2つの哲学の衝突
  • 相反するベンチマーク結果
  • Snowflakeの競争優位性
  • Databricksの脅威
  • AI時代への賭け:Cortex AIとCEO交代
  • 2024年の主要動向
  • CEO交代劇——AI時代への舵切り
  • Slootmanの説明
  • Cortex AI:Snowflake内でAIを使う
  • まとめ:なぜBuffettは投資したのか?
  • Snowflakeの現在地
  • 主要ポイント
  • 今後の展望
  • 次のステップ
  • 関連記事
  • 参考リソース
  • Snowflake公式
  • テックメディア報道
  • 創業者・リーダーシップ関連

シェア

B!

次に読む

【2026年版】Databricks vs Snowflake徹底比較|データ分析基盤の選び方

【2026年版】Databricks vs Snowflake徹底比較|データ分析基盤の選び方

次に読む

関連記事

【2026年版】Databricks vs Snowflake徹底比較|データ分析基盤の選び方

【2026年版】Databricks vs Snowflake徹底比較|データ分析基盤の選び方

Databricks(評価額9.3兆円)とSnowflake(時価総額10兆円)を徹底比較。Fivetran、dbt Labs、Monte Carloを含む主要5社の機能・料金・ユースケースを解説。38%の企業が両方使う理由とは?データ基盤選定の決定版ガイド。

2026/01/17
データ分析Databricks
Databricksとは?評価額9.3兆円・IPO展望・Snowflake比較を解説【2026年版】

Databricksとは?評価額9.3兆円・IPO展望・Snowflake比較を解説【2026年版】

Databricks(データブリックス)とは、評価額620億ドル(9.3兆円)のAI・データプラットフォーム企業。2025年以降のIPOが期待される。24時間で祖国を追われたAli Ghodsi CEOの壮絶な人生、Lakehouseアーキテクチャ、Snowflakeとの競争を徹底解説。

2026/01/17
DatabricksLakehouse
Fivetranとは?料金・Airbyte比較・dbt連携を徹底解説【2026年版】

Fivetranとは?料金・Airbyte比較・dbt連携を徹底解説【2026年版】

Fivetran(ファイブトラン)とは、500以上のコネクタを持つデータ統合ツール。Airbyteとの違い、2025年の70%値上げ問題、dbt Labs統合後の新展開、料金の目安まで徹底解説。評価額8,400億円の全貌。

2026/01/17
FivetranETL

まずは無料相談・資料請求

AIやDXの導入について、具体的な進め方や費用対効果など、まずはお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なプランをご提案します。

お問い合わせ

お気軽にご相談ください