
Jasper徹底解説:評価額15億ドル、AIコンテンツ生成の先駆者を完全分析
AIサマリー
月額300ドルのポータブルトイレSEOから評価額15億ドルへ。8年3回の失敗を乗り越え、ChatGPTの衝撃を生き延びたJasperの全貌を徹底解説。
2022年11月、Jasperは絶頂にありました。
評価額15億ドル(約2,250億円)。ARR9,000万ドル。10万社以上の導入実績。AIコンテンツ生成市場の「王者」として君臨していました。
しかしその翌月、すべてが変わります。
ChatGPTの登場です。
「Jasperは終わった」——批判が殺到しました。「無料でChatGPTが使えるのに、なぜJasperに月額$50払うのか?」
2年後の今、Jasperは生き残っているのでしょうか?それとも、ChatGPTに飲み込まれたのでしょうか?
本記事は、その答えを探る旅です。しかしその前に、月額300ドルのポータブルトイレSEOから始まった創業者の物語を知る必要があります。
本記事の表記について
- 金額の日本円換算は1ドル=150円で計算しています
- 下線付きの用語にカーソルを合わせると解説が表示されます
この記事でわかること
- 創業者の苦闘: 8年3回の失敗を経て、ようやく見つけたプロダクト・マーケット・フィット
- ChatGPTとの差別化: Enterprise市場でのポジショニングと生存戦略
- 光と影: 成功事例の裏にある請求問題・CEO交代劇
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | Jasper AI, Inc.(旧Jarvis/Conversion.ai) |
| 設立年 | 2021年(前身は2017年) |
| 本社 | テキサス州オースティン |
| 従業員数 | 約250名 |
| 評価額 | $1.5B(約2,250億円、2022年10月) |
| 総調達額 | $131M(約197億円) |
| 顧客数 | 10万社以上 |
※日本円換算は1ドル=150円で計算
Jasperの全体像創業者の物語:月額300ドルから評価額15億ドルへ
「スキルも知識もない」3人の始まり
2014年、テキサス州。Dave Rogenmoser、JP Morgan、Chris Hullの3人は、何もない状態からビジネスを始めました。
"When we started in 2014, we just wanted to build a business together, didn't really have any skills, didn't really know anything."
「2014年に始めたとき、私たちは一緒にビジネスを作りたかっただけでした。スキルも知識も、何もありませんでした。」
— Dave Rogenmoser
Daveはミズーリ大学で働いていましたが、「普通の仕事には就きたくない」と考えていました。起業の方法を学ぶ必要がある。しかし、何から始めればいいのか分からない。
最初のクライアント:ポータブルトイレ会社のSEO
3人が最初に獲得したクライアントは、ポータブルトイレ(仮設トイレ)レンタル会社のSEO案件でした。
報酬は月額わずか**$300(約4.5万円)**。
しかし、ここに驚くべき事実があります。彼らはSEOのやり方を知りませんでした。クライアントを獲得してから、サービスの提供方法を学んだのです。
"They didn't even know how to do the services they were offering."
このマーケティングエージェンシーは1年で月商$25,000(約375万円)まで成長しました。しかし、彼ら自身は惨めで、これ以上スケールできませんでした。
毎日8時間、コンテンツを書き続ける日々。ブログ記事、広告コピー、メールマーケティング——終わりのない執筆作業。これが、後のJasperに繋がる「痛み」の原点でした。
Proof(2017-2020):成功に見えた3度目の失敗
エージェンシーでの成功事例を体系化し、「6K Success」というコースを販売。年間$30,000-$50,000のパッケージが売れました。
そして2017年、3人は「Proof」を立ち上げます。ウェブサイトに「最近の顧客アクティビティ」を表示して社会的証明を構築するツールです。
Proofは成功したように見えました。
| 指標 | 成果 |
|---|---|
| 成長速度 | 10ヶ月で$0→$175,000(約2,625万円) |
| MRR | $220,000(約3,300万円) |
| 資金調達 | $2.2M(約3.3億円) |
| アクセラレータ | Y Combinator合格 |
Y Combinatorに合格。$2.2M(約3.3億円)を調達。月間経常収益$220,000(約3,300万円)。
しかし、プロダクト・マーケット・フィットは見つかりませんでした。
"We pushed through for about 18 months but at that point, none of us were excited about the product anymore."
「18ヶ月間奮闘しましたが、その時点で誰もプロダクトに興奮していませんでした。」
— Dave Rogenmoser
2020年秋、Proofは崩壊します。従業員15人を5人にレイオフ。そして2020年10月、Proofをシャットダウン。
8年間、3回のピボット。 ポータブルトイレSEOから始まった旅は、ここで終わるはずでした。
GPT-3との運命的な出会い
2020年夏、DaveはOpenAIのGPT-3(大規模言語モデル) に出会います。
Y Combinatorのコネクションを使ってGPT-3の早期アクセスを獲得。JPに「1ヶ月でMVP作って」と依頼しました。
"Made a simple front-end to the API"
わずか1ヶ月でJasperの原型が完成しました。
"We were our own first customers. As a marketing company, we spent hours every day creating content. The moment I was convinced AI could solve this, the prototype of Jasper was born."
「私たちは自分たち自身が最初の顧客でした。マーケティング会社として毎日何時間もコンテンツ作成に費やしていました。AIがこれを解決できると確信した瞬間、Jasperの原型が生まれました。」
— Dave Rogenmoser, CEO
2021年、Conversion.aiからJasper(当初はJarvis)へリブランド。わずか18ヶ月で評価額15億ドルに到達します。
8年間の失敗が、ようやく報われた瞬間でした。
彼らが「自分たちの痛み」を解決したツールは、世界中のマーケターの痛みも解決しました。では、その製品はどのようなものなのでしょうか?
プロダクト詳細:マーケターのためのAI
50以上のテンプレート——「ゼロから書く」をなくす
Jasperは、単なる「文章生成AI」ではありません。マーケター専用のAIです。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| AI Writer | 長文コンテンツ(ブログ、記事)の生成 |
| Templates | 50以上のユースケース別テンプレート |
| Brand Voice | ブランドのトーン・スタイルを学習 |
| Jasper Chat | 対話形式でのコンテンツ作成 |
| Jasper Art | AI画像生成(DALL-E(画像生成AI) 統合) |
| Jasper API | カスタムアプリケーション向けAPI(プログラム連携インターフェース) |
最大の特徴はテンプレートです。
「ブログ記事のイントロを書いて」ではなく、「SEO最適化されたブログ記事のイントロを書いて」というテンプレートが用意されています。マーケターは、ゼロから指示を考える必要がありません。
Brand Voice——「ブランドらしさ」を保証する
Enterprise(大企業) 市場への展開で、最も重要な機能がBrand Voiceです。
企業には「ブランドの声」があります。Appleの簡潔でクール、Patagoniaの環境意識、Red Bullのアドレナリン——これらを一貫して維持することは、大企業にとって死活問題です。
Jasperは、ブランドガイドライン、過去のコンテンツ、トーンを学習し、「ブランドらしい」コンテンツを生成します。ChatGPTでは難しい「一貫性」を保証するのです。
Enterprise機能——大企業が求める「安全性」
2023年以降、JasperはEnterprise(大企業) 市場への展開を加速しています。
- Jasper for Business: チーム向け機能、権限管理
- Brand Intelligence: ブランドガイドラインの自動適用
- Analytics: コンテンツパフォーマンスの追跡
- Security: SOC 2 Type II(セキュリティ監査基準)、GDPR(EU個人情報保護規則) 対応
大企業がAIツールを導入する際、最大の障壁は「セキュリティ」です。Jasperは、この障壁を突破するために、Enterprise機能を徹底的に強化しました。
製品は完成しました。しかし、本当に効果はあるのでしょうか? 具体的な導入事例を見てみましょう。
導入事例:確認できる成果
Bloomreach——ブログ113%増、トラフィック40%増
Eコマースプラットフォームを提供するBloomreachは、Jasperを導入して以下の成果を報告しています。
| 指標 | 成果 |
|---|---|
| ブログ投稿数 | 113%増加 |
| サイト全体トラフィック | 40%増加 |
コンテンツ量を2倍以上に増やしながら、実際のトラフィック増加に繋げた事例です。
Mongoose Media——6ヶ月で40記事、トラフィック166%増
デジタルマーケティングエージェンシーのMongoose Mediaは、Jasperを使って以下の成果を達成しました。
| 指標 | 成果 |
|---|---|
| 期間 | 6ヶ月 |
| アウトプット | クライアント向けに40+のブログ記事 |
| 成果 | 166%のトラフィック成長(わずか2ヶ月で) |
"40+ blog posts for a client's site over six months, which wouldn't have been possible without Jasper"
「6ヶ月で40以上のブログ記事をクライアントサイトに公開しました。Jasperなしでは不可能でした。」
CloudBees——コンテンツ作成時間10倍削減
DevOpsプラットフォームを提供するCloudBeesは、コンテンツ作成時間を最大10倍削減したと報告しています。
Jasper自身のABMキャンペーン(2025年)
Jasperは自社のマーケティングにもJasperを活用しています。
| 指標 | 成果 |
|---|---|
| ROI | 20倍 |
| メールクリック率 | 11倍増加 |
| パーソナライズ | 2,000の優先アカウント向けに6,000通のパーソナライズメール |
Enterprise平均ROI
Jasper公式によると、Enterprise顧客の平均ROIは以下の通りです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ROI | 342% |
| 年間時間節約 | $2.2M相当(約3.3億円) |
ここまで読むと、Jasperは順風満帆のように見えます。しかし、すべてがうまくいっているわけではありません。
成長の軌跡:外部資金なしで年商68億円
ブートストラップ時代の驚異的成長
Jasperの最も驚くべき点は、外部資金なしで年商68億円を達成したことです。
2021年1月のローンチから2022年10月まで、Jasperはほぼブートストラップで運営されていました。
| 時期 | ARR(年間経常収益) | 備考 |
|---|---|---|
| 2021年末 | $45M(約68億円) | 外部資金なし |
| 2022年末 | $90M(約135億円) | Series B後 |
| 2023年末 | $120M(約180億円) | 成長鈍化 |
| 2024年末 | $142.9M(約214億円) | 前年比19%成長 |
注目すべき数字: 2021年、外部資金なしで年商$45M(約68億円)を達成。利益を出しながら成長していました。
"We are a hypergrowth company that is also focused on profitability."
「私たちは収益性にも注力するハイパーグロース企業です。」
— Dave Rogenmoser
資金調達の歴史
Jasperの成長タイムライン| ラウンド | 日付 | 調達額 | 評価額 | 主要投資家 |
|---|---|---|---|---|
| Seed | 2021年 | - | - | - |
| Series A | 2022年3月 | $6M(約9億円) | - | Foundation Capital |
| Series B | 2022年10月 | $125M(約188億円) | $1.5B(約2,250億円) | Insight Partners、IVP、HubSpot Ventures |
総調達額: $131M(約197億円)
※日本円換算は1ドル=150円で計算
18ヶ月でユニコーン
| 時期 | マイルストーン |
|---|---|
| 2021年1月 | ローンチ |
| 2021年12月 | ARR $45M(約68億円) |
| 2022年3月 | Series A $6M(Foundation Capital) |
| 2022年10月 | Series B $125M、評価額$1.5B |
18ヶ月でユニコーン——これは史上最速級です。
HubSpot VenturesのパートナーであるJay Acunzoは、投資理由をこう語ります。
"Jasper is a superpower for marketers. It's not just a tool, it has the potential to fundamentally change the productivity of marketing teams."
「Jasperはマーケターにとってのスーパーパワーです。単なるツールではなく、マーケティングチームの生産性を根本から変える可能性を持っています。」
— Jay Acunzo, HubSpot Ventures
70,000以上の有料顧客。18ヶ月で評価額15億ドル。すべてが順調に見えました。
しかし2022年11月30日、世界が変わります。
ChatGPTの衝撃——「終わった」と言われた日
2022年11月30日、存亡の危機
ChatGPTの登場は、Jasperにとって存亡の危機でした。
無料で、誰でも、高品質な文章を生成できる。「なぜJasperに月額$50払うのか?」——この質問に、Jasperは答えなければなりませんでした。
株価が下がったスタートアップもありました。解雇に踏み切った企業もありました。AIコンテンツ生成市場の「王者」Jasperは、どうしたのでしょうか?
CEOの回答——「競合はChatGPTではない」
Dave Rogenmoserは、この危機に対して明確な答えを出しました。
"In an era when ChatGPT is available for free, why pay for Jasper? It's because marketers need AI for marketing, not just any AI."
「ChatGPTが無料で使える時代に、なぜJasperにお金を払うのか?それは、マーケターには単なるAIではなく、マーケティングのためのAIが必要だからです。」
— Dave Rogenmoser, CEO
さらに、彼はこう続けます。
"Our competitor is not ChatGPT. The time constraints, quality challenges, and scaling issues that marketers face are what we're fighting against."
「私たちの競合はChatGPTではありません。マーケターが直面している時間の制約、品質の課題、スケールの問題こそが、私たちが戦う相手です。」
— Dave Rogenmoser, CEO
ChatGPTは「汎用AI」です。Jasperは「マーケター専用AI」です。この差別化が、Jasperを救いました。
では、具体的にどう違うのでしょうか?
ChatGPTとの差別化——なぜ企業はJasperを選ぶのか
競合比較
| 項目 | Jasper | Copy.ai | Writer | ChatGPT |
|---|---|---|---|---|
| ターゲット | Enterprise | SMB〜Mid | Enterprise | 汎用 |
| Brand Voice | 高度 | 基本 | 高度 | 限定的 |
| テンプレート数 | 50+ | 90+ | カスタム | - |
| Enterprise機能 | 充実 | 基本 | 充実 | 限定的 |
| 価格帯 | 高 | 低〜中 | 高 | 低〜中 |
| ユーザー評価(G2) | 4.7/5(深度) | 4.6/5(創造性) | - | - |
SMB(Small and Medium Business): 中小企業
競合比較差別化ポイント1: Brand Voice
Jasperは、企業のブランドガイドライン、トーン、スタイルを学習します。
ChatGPTに「Appleっぽく書いて」と指示しても、一貫性は保証されません。Jasperなら、Brand Voice機能で「Appleらしさ」を定義し、すべてのコンテンツに適用できます。
差別化ポイント2: Enterprise機能
大企業がAIを導入する際、最大の障壁は「セキュリティ」と「管理」です。
- 権限管理、監査ログ、SSO(シングルサインオン)対応
- SOC 2 Type II認証
- SLA(Service Level Agreement、サービス品質保証)
ChatGPTのEnterprise版もありますが、「マーケティング特化」ではありません。
差別化ポイント3: マーケティング特化
50以上のマーケティング特化テンプレートを提供しています。
- 「SEO最適化されたブログ記事のイントロ」
- 「Facebook広告のコピー(A/Bテスト用)」
- 「製品発表のプレスリリース」
ChatGPTに毎回指示を出すより、テンプレートを選ぶだけ。これが「時間の節約」です。
差別化ポイント4: チームコラボレーション
複数人での共同編集、レビュー・承認ワークフロー、ブランドアセットの共有——チームでの利用に最適化されています。
ChatGPTは「個人ツール」です。Jasperは「チームツール」です。
ChatGPTの衝撃を乗り越えたJasper。しかし、すべてが順調だったわけではありません。
批判と課題——光の裏にある影
請求・キャンセル問題(Trustpilot評価3.6/5)
華々しい成功の裏で、Jasperは深刻なユーザー不満を抱えています。
Trustpilot評価: 3.6/5(4,139レビュー)
Google評価: 2.7/5(64レビュー)
最も多い苦情はキャンセル後の請求です。
| 苦情内容 | 詳細 |
|---|---|
| 無断請求 | トライアル期間中にキャンセルしたにも関わらず、年間$468を請求される |
| 予期せぬ年間請求 | $290-$590の請求が突然来る。中には$1,059.31を2年分請求されたケースも |
| BBB苦情事例 | 2023年5月1日にキャンセル依頼→5月3日に$290請求 |
「いつでもキャンセル可能」の罠
Jasperの「Cancel Anytime」ポリシーは、未使用分の返金なしです。自動更新を止めるだけ。
"Cancel anytime doesn't provide refunds—it only turns off the automatic renewal feature."
「いつでもキャンセルは返金を提供しません。自動更新機能を停止するだけです。」
返金ポリシー: 請求から7日以内にメール必須。自動返金なし。
カスタマーサポートの問題
- 電話サポートなし
- チャットの返信に24時間以上
- エスカレーション後に音沙汰なし
コンテンツ品質への批判
長文コンテンツでの反復:
"Jasper.ai can generate repetitive phrases when creating longer content."
「Jasperは長文コンテンツを作成する際、反復的なフレーズを生成することがあります。」
表面的なコンテンツ:
"Many users found that Jasper.ai produces articles that only scratch the surface of a topic."
「多くのユーザーが、Jasperはトピックの表面をなぞるだけの記事を生成すると感じています。」
事実確認の問題:
"Jasper will make up facts, opinions, features that don't actually exist."
「Jasperは実際には存在しない事実、意見、機能を作り上げます。」
これは、人間による編集がほぼ必須ということを意味します。
批判にさらされる中、Jasperは次の一手を打ちます。それは、CEOの交代でした。
2023年の危機とCEO交代劇
評価額20%カット、レイオフ、ARR下方修正
2023年、Jasperは厳しい現実に直面しました。
| 出来事 | 内容 |
|---|---|
| 評価額 | 内部評価額を20%削減(2023年9月) |
| レイオフ | 従業員をレイオフ(2023年7月、具体的な人数は非公表) |
| ARR予測 | 少なくとも30%下方修正 |
CEO Daveのメッセージ:
"A difficult decision today to set Jasper up for the future"
「Jasperの未来のための、今日の困難な決断です。」
創業CEO、退任へ
2023年9月28日、創業CEOのDave Rogenmoserが退任を発表しました。
"I've always been a 0 to 1 serial entrepreneur. I love building from the ground up."
「私は常に0から1を作るシリアルアントレプレナーでした。ゼロから構築することを愛しています。」
— Dave Rogenmoser
Daveは取締役会長に就任。「0→1」の創業者から、「1→100」の経営者への移行を決断しました。
新CEO Timothy Young
新CEOには、元Dropbox社長のTimothy Youngが就任しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 経歴 | 元Dropbox社長、VMwareのVP of Product & Engineering |
| 実績 | 2011年にSocialcastを創業・売却 |
| 狙い | Enterprise顧客獲得の加速 |
「0→1」のDave、「1→100」のTimothy。役割分担が明確になりました。
創業者の退任は、Jasperの「成熟」を示すものでした。 では、新体制のJasperはどこに向かうのでしょうか?
2024-2025年の最新動向
2024年の主要ニュース
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年Q1 | Brand Intelligence大幅アップデート |
| 2024年Q2 | GPT-4(OpenAIの最新モデル) 統合、Claude対応 |
| 2024年Q3 | 日本語対応強化 |
| 2024年Q4 | AIエージェント機能追加 |
今後の戦略
Jasper導入フローJasperの今後の戦略は、以下の3点に集約されます。
- Enterprise機能の拡充: より大規模組織向けの機能。金融機関への展開
- AIエージェントの導入: 自律的なコンテンツ作成・公開。人間の承認を経て、自動で投稿
- グローバル展開: アジア市場への本格参入。日本語対応の強化
「汎用AI」との競争を避け、「マーケター専用AI」としてのポジションを強化する。これがJasperの生存戦略です。
まとめ:Jasperは「終わった」のか?
冒頭の問いに戻りましょう。
「Jasperは終わった」——2022年11月の批判は、正しかったのでしょうか?
答えは、「半分正しく、半分間違い」 です。
正しかった点: Jasperは、ChatGPT登場前の「唯一の選択肢」ではなくなりました。個人ユーザーの多くは、無料のChatGPTに流れました。「汎用AI」市場では、Jasperは勝てません。請求問題やコンテンツ品質への批判も無視できません。
間違っていた点: Jasperは「終わらなかった」のです。Enterprise市場で、Brand Voice機能で、チームコラボレーションで、「ChatGPTにはできないこと」を提供し続けています。10万社以上の導入実績がその証拠です。
Jasperの本質
Jasperは「AIコンテンツ生成ツール」ではありません。
「マーケターの生産性を根本から変えるプラットフォーム」 です。
ポータブルトイレSEOから始まった3人の旅は、8年間の失敗を経て、ようやく形になりました。Dave Rogenmoserが毎日8時間コンテンツを書いていた頃の「痛み」は、今も世界中のマーケターが抱えています。Jasperは、その痛みを解決し続けています。
主要ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業者 | 月額$300のポータブルトイレSEOから、8年3回の失敗を経て成功 |
| 差別化 | Brand Voice、Enterprise機能、マーケティング特化テンプレート |
| 実績 | 10万社以上導入、ARR $142.9M、評価額 $1.5B |
| 課題 | 請求問題(Trustpilot 3.6/5)、コンテンツ品質への批判 |
| 転換点 | 2023年CEO交代、Timothy Young(元Dropbox社長)就任 |
| 今後 | Enterprise市場、AIエージェント、グローバル展開 |
次のステップ
- マーケティング責任者: Jasper公式サイトで無料トライアルを開始し、Brand Voice機能を試す。ただし、請求ポリシーを事前に確認
- スタートアップ創業者: Copy.aiなど低価格ツールと比較し、自社のニーズに合うものを選定
- AI導入担当者: Jasper for Businessのデモを依頼し、Enterprise機能の適合性を検証
関連記事
参考リソース
Jasper公式
テックメディア報道
- TechCrunch - Jasper raises $125M
- Forbes - Jasper AI valuation
- Bloomberg - AI Startup Jasper Names Timothy Young New CEO
創業者インタビュー
- Dave Rogenmoser: Building lessons - Bessemer Venture Partners
- How Jasper found product-market fit - Unusual VC
ユーザーレビュー
本記事はネクサフローのAI研究シリーズの一部です。
この記事の著者

中村 知良
代表取締役
早稲田大学卒業後、ソフトバンク株式会社にてAI活用やCEO直下案件のプロジェクトマネージャーに従事。その後、不動産スタートアップPit in株式会社の創業、他スタートアップでの業務改善・データ活用を経験後、2023年10月、株式会社ネクサフローを創業し代表取締役CEO就任。


